<< 東京市場の動き >>
週明け17日の東京市場は、レンジ取引。109円後半、20ポイントにも満たない狭いレンジのなかでの一進一退だった。
週末は引き続き新型コロナウイルスに関する話題が多く観測されるなか、英紙タイムズによる「英首相、5Gめぐる対立を懸念し訪米計画を先送り」、「米USTR、エアバス補助金めぐりEU向け追加関税を15%に引き上げると発表」といった別の内容も思惑を呼んでいた。
そうしたなか週明けのドル/円は109.80円レベルと、前週末高値とさほど変わらないレベルで寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける。NYなどがプレジデンツデーにあたり休場となることもあり、売買はおおむね手控えられていた。
途中、日本のGDPが発表され、内容はネガティブサプライズと言ってよいものだったが影響は極めて軽微。結局、109.70-85円といった20ポイントにも満たないほぼ横這い推移をたどると、16時時点では109.85円前後で取引を終え、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナウイルス」について。
中国外相から「世界の公衆衛生のために多大な努力を払った」、「透明性のある態度で国際社会に情報発信してきた」などとした自己肯定発言が相次ぎ聞かれただけでなく、新華社通信は論説で「新型ウイルスの流行でも中国経済への影響は限定的」、中国人民銀副総裁は会見で「国内企業支援による不良債権増加に国内銀は耐えられる」と述べたとされるなど、ある種の国威発揚とも言えるようなニュースが目についた。
ただ、その反面で「中国湖北省全域で住民に外出の原則禁止令が通知された」、「中国本土、1700人超の医療従事者が新型ウイルスに感染」などといった情報が漏れ伝えられていたうえ、当局の発表で新型コロナウイルスによる感染者数は中国本土だけで7万人超え、死者数は1770人となったことが明らかにされている。
<< 欧米市場の見通し >>
新型コロナウイルスの拡散が止まらない状況下、日本の経済状況が気掛かりだ。前述したように、本日発表された日本の第4四半期GDPは事前予想マイナス3.0%強に対し、実にマイナス6.3%という衝撃的な数字となった。確かに前期は消費増税や台風が相次いだことなどの影響を否定出来ないものの、足もとの今年第1四半期に関しても新型ウイルスの影響を受けることが確実であるため、実質的には景気後退局面入りしている可能性すら否定出来ない。まだしばらく市場は新型ウイルスの話題が席巻しそうだが、多少なりとも落ち着きをみせファンダメンタルズに着目した場合、ドルはいよいよレンジ上限を抜けていく展開をたどることになるのかもしれない。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など気掛かりな要因は引き続き目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題。また、先でも取り上げたファーウェイをめぐる「米英の確執」懸念や、「米による対EU向け関税引き上げ」の動きなども気掛かりだ。本日は米加市場が休場ということもあり、欧州関係のニュースが波乱要因になる可能性もある。
テクニカルに見た場合、109.53-110.14円という61ポイントレンジがすでに1週間を超えてきたが、いましばらくのあいだ狭いボックス相場が続くと予想する参加者は少なくない。
ちなみに、抜けた場合の次のテクニカルポイントは上方向なら110.30円で、下方向は109.20円レベル。ただ、保ち合いの長期化からレンジを抜けたら、それらレベルでは止まらないとの指摘も聞かれている。
一方、本日は米加市場が休場となることもあり、これといった米経済指標の発表や要人の講演などは予定されていない。目立ったイベントなどがなく、株価や金利の動きに着目しつつ、基本的にはレンジ取引が続く公算が大きい。
また欧州に関しても、注目要因の多くは明日以降に予定されており、本日はそれらをにらんだ手控えムードの強い展開をたどる可能性がある。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.55-110.15円。ドル高・円安方向は、直近のドル戻り高値110.14円が最初の抵抗。超えれば、年初来高値110.30円や110円半ばなどが視界内に。
対するドル安・円高方向は、足もとのレンジ下限である109.53円の攻防にまずは注目。ただ、割り込んでも大崩れは見込みにくく、108円台は目先かなり遠くなったイメージだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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