ドル円 今週も109円台後半でのもみあい (週報2月第3週)

新型コロナウイルスの感染拡大懸念は続くものの、新たに飛びつくような材料が出てくるわけでもなく、振り返ると昨年末以来の狭い値幅の週で終わりました。

ドル円 今週も109円台後半でのもみあい (週報2月第3週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、週前半はドル高となり水曜欧州市場で110.14レベルの高値をつけましたが、ちょうど週半ばで折り返し週末には週初の水準へと押す一週間かけての行って来いとなりました。新型コロナウイルスの感染拡大懸念は続くものの、新たに飛びつくような材料が出てくるわけでもなく、振り返ると昨年末以来の狭い値幅の週で終わりました。

新型コロナウイルスですが、中国そして日本においても感染者拡大が続いており、不安心理を煽るのはよくはありませんが、金融市場参加者には理由の無い楽観が広がっているような気がしてなりません。背景として米国株高を挙げる人も多いのですが、米国の株高を先導しているのは主にハイテク株で、それだけを見て日本株も買うという動きはやや疑問です。

また、今朝発表された10〜12月期GDP速報値を見てもわかる通りで、国内の個人消費は消費増税以降冷え込んでいて、この数字は私が個人的に小売りや外食の方たちから聞いてきた実感とかなり一致しています。また、新型コロナウイルス感染拡大とともに外食では一段と客足が遠のいているという話を聞いていますし、客船で話題の横浜を見に行っても人手が明らかに少なく、ここまで観光客が少ない中華街は最近には記憶がありません。当然のようにお店の人も少なかったです。

こうした状況を見る限り、1〜3月期も個人消費の冷え込みは続きそうですから、当面(冬の間)は国内の状況が改善するとは思えませんし、そうであるならば日本株も円相場もリスクオフに動きやすいと考えた方がよいと思います。

さて今週は、1月FOMCの議事要旨公表と地区連銀総裁講演が続きますので、ドル要因として米国の景気判断のヒントが出てきます。またユーロ要因としてはECB理事会の議事要旨公表、ECB理事講演、そして主要国のPMI速報値があり、欧州の経済状況が引き続き弱いのかどうかを判断することとなります。ドルの動き、ユーロドルから来るドルの動きからドル円についても状況判断していくこととなるでしょう。

また、1月につけた110.29レベルにしても先週の110.14レベルにしても、110円台前半には依然として実需を中心としたドル売りオーダーが控えています。この上値の重さはテクニカルな観点からも説明できますので、日足チャートをご覧ください。

最近しつこく言い続けている右上のレジスタンスライン(ピンクの太線)は、2015年6月高値の125.86レベルから引いてきたレジスタンスラインですが、この長期レジスタンスラインは月足チャートで見ると先月は110.20レベル、今月は110.00レベルと毎月20銭のスピードで下げてきています。そして、長期レジスタンスなので数十銭は誤差のうちですが、見事に上値を抑えられています。

逆に明確に上抜けしてくる時には要注意ですが、それまでは1月高値の上にストップを置いてドル安・円高を見込むシナリオのほうがワークするのではないかと考えられます。今週は109.45レベルをサポートに110.05レベルをレジスタンスと、引き続き109円台後半でのもみあいを見ておきますが、市場参加者のリスクオフが後退しているだけに、いざという時の円高の動きにだけは警戒しておきましょう。

今週の週間見通し

ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

2月17日(月)
**:** NY市場休場
08:50 本邦10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏12月建設支出
23:00 レーンECB理事講演
**:** ユーロ圏財務相会合


2月18日(火)
08:50 本邦1月貿易収支(通関)
09:30 豪中銀理事会議事要旨公表
18:30 英国1月失業率
19:00 ドイツ2月ZEW景況感指数
22:30 米国1月NY連銀勢増業景況指数
24:00 米国2月NAHB住宅市場指数
**:** EU財務相会合

2月19日(水)
17:00 南ア1月CPI
18:00 ユーロ圏12月経常収支
18:30 英国1月CPI・PPI
20:00 トルコ中銀政策金利発表
22:10 (アトランタ連銀総裁講演)
22:30 米国1月PPI
22:30 米国1月住宅着工・建築許可件数
22:30 クリーブランド連銀総裁講演
25:45 ミネアポリス連銀総裁講演
27:30 ダラス連銀総裁講演
28:00 FOMC議事要旨公表
30:30 (リッチモンド連銀総裁講演)
30:45 NZ10〜12月期PPI


2月20日(木)
09:30 豪州1月失業率
16:00 ドイツ1月PPI
16:45 フランス1月CPI
18:30 英国1月小売売上高
19:30 デギンドスECB副総裁講演
21:30 ECB理事会議事要旨公表
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
24:00 ユーロ圏2月消費者信頼感速報値
24:00 米国1月景気先行指数
25:00 週間原油在庫統計

2月21日(金)
08:30 本邦1月CPI
17:15 フランス2月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ2月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏2月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国2月製造業・サービス業PMI速報値
19:00 ユーロ圏1月CPI
23:35 ダラス連銀総裁講演
23:45 米国2月製造業・サービス業PMI速報値
24:00 米国1月中古住宅販売件数
24:15 ブレイナードFRB理事講演
26:00 レーンECB理事講演
27:30 クラリダFRB副議長講演
27:30 クリーブランド連銀総裁講演


22日(土)
**:** G20(〜23日)

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月10日(月)
月曜のドル円は祝日を控えて終日鈍い動きとはなっていましたが、先週後半の110円台での上値の重さを意識して早朝から売りが先行し109.56レベルの安値をつけました。しかし、金曜安値も抜けられず109.88まで戻した後は狭いレンジの中でじり安のまま一日を終えました。


2月11日(火)
東京市場が休場となったアジア市場では海外の株価指数先物の上昇とともに前日の売りに対する買い戻しが目立ちましたが、パウエルFRB議長の議会証言を前にほぼ行って来い。パウエル議長は現状の金融政策を適切と発言したことを受けドル買いで反応、109.97レベルの高値をつけましたがすぐに元の水準へと押し、前日終値水準での引けとなりました。

2月12日(水)
ドル円は欧州市場までは底堅いものの目立った動きは見られませんでしたが、欧州市場に入り株価指数先物が上昇する動きとともにリスクオンとなりました。先週高値を上抜けると仕掛け的なドル買いも加わり一時110.14レベルの高値をつけましたが、すぐに失速し買われる前に水準に押してNY市場入り。NY市場ではユーロドルの下げとともに改めてドル買いの動きとなり、高値圏に近づいての引けとなりました。


2月13日(木)
ドル円は東京市場から中国内のコロナウイルス感染者大幅拡大や日本でも着実に感染が広がっていることを嫌気したリスクオフの動きによる円買いの動きが目立ちました。欧州市場では株が一段安となる動きとともに一時109.61レベルの安値をつけましたが、その後は109.80前後で動意薄のまま一日を終えています。

2月14日(金)
ドル円は終日ほとんど動意が見られず、109.80前後でのもみあいに終止しました。株式市場は上値の重たい展開となっていましたが、為替市場ではリスクオフともならず、週明け月曜のNY市場が休場となることもあって積極的に動こうという参加者はいなかった様子でした。

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