ドル円、110円台を維持できず見切り売り発動。新型肺炎の感染拡大が重石
海外時間の為替概況
13日(木)の海外市場でドル円は反落。@新型コロナウィルスの感染拡大(中国湖北省が感染基準を見直したことで感染者数が1万4840人に急増)を受けた世界的なリスク回避ムード再燃(株安・円高)や、A110円台での上値の重さを嫌気した見切り売りの発動が重石となり、欧州時間朝方には、一時109.61まで下げ幅を広げました。しかし、109円台半ばでは押し目買い意欲も根強く、また対ユーロでのドル買いが続落を阻むと、引けにかけて幾分持ち直す展開に。本稿執筆時点(日本時間4時10分現在)では109.82近辺で推移しております。 尚、注目された米・1月消費者物価指数はほぼ事前予想通りの結果となったことから、ドル円相場への影響は限られたものに留まりました。
一方、ユーロドル相場は続落。@ドイツやアイルランドにおける政局不透明感の高まりや、A冴えない欧州ファンダメンタルズを受けた金融緩和長期化観測(欧州経済の先行き懸念→ECBによる金融緩和長期化観測→欧州債利回り低下→ユーロ売り)、B欧州委員会による「中国を発生源とする新型コロナウィルスの感染拡大は主要な下方リスク」との警告が重石となり、米国時間にかけては、2017年4月以来、約2年10ヶ月ぶり安値1.0834 まで急落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時10分現在)では1.0841近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/3(月)に記録した安値108.32をボトムに反発に転じると、2/12には一時110.14まで上昇しました。この間、200日移動平均線や一目均衡表雲下限及び上限、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンド、109.70近辺に控える強力なチャートポイント(添付チャートの赤色水平線)を全て上抜けするなど、テクニカル的に見て「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となっております(但し、昨日は110円台での上値の重さを嫌気して一時109.61まで反落)。
ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク)、D朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、E新型コロナウィルスの感染拡大リスク(パンデミックリスク)、F英合意なき離脱の再燃リスク、G米大統領選挙の先行き不透明感など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的に「底堅さ」を見せつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが、「続伸を阻む」シナリオが想定されます。本日発表される一連の米経済指標(小売売上高や設備稼働率、鉱工業生産、ミシガン大消費者信頼感指数など)が冴えない結果となれば、「米景気減速懸念→米利下げ観測再燃→米長期金利低下→ドル売り」の経路で、ドル円が再度押し下げられるリスクも想定されます。新型コロナウィルスに絡むヘッドラインや、米経済指標の結果を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目110円をバックに戻り売りが強まる展開。109.50を割り込めばストップSELL発動の恐れも)。
本日の予想レンジ:109.30ー110.10
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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