ドル円、直近高値110.30を前に伸び悩む展開。ユーロは約2年9ヶ月ぶり安値圏へ
海外時間の為替概況
12日(水)の海外市場でドル円は小幅上昇。@新型コロナウィルスの感染者数が先月30日以来の低水準に留まったこと、A上記@を受けてグローバルに株高が進んだこと、B対ユーロでドル高が進行したこと等が支援材料となり、欧州勢参入後には、一時110.14(1/21以来、約3週間ぶり高値)まで上値を伸ばしました。もっとも、年初来高値110.30(1/17)を前に戻り売りが強まると、米国時間にかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間3時40分現在)では110.02近辺で推移しております。
一方、ユーロドル相場は続落。@ユーロ圏・12月鉱工業生産指数(結果▲2.1%、予想▲1.6%)が市場予想を大幅に下回ったことや(約4年ぶり低水準)、A上記@を受けて、「欧州経済の先行き懸念→ECBによる金融緩和長期化観測→欧州債利回り低下→ユーロ売り」の流れが強まったこと等が重石となり、米国時間午後にかけては、2017年5月以来、約2年9ヶ月ぶり安値1.0876 まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間3時40分現在)では1.0878近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/3(月)に記録した安値108.32をボトムに反発に転じると、昨日(2/12)は一時110.14まで上昇しました。この間、200日移動平均線や一目均衡表雲下限及び上限、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンド、109.70近辺に控える強力なチャートポイント(添付チャートの赤色水平線)を全て上抜けするなど、テクニカル的に見て「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となっております(但し、110円台では戻り売り意欲も根強く、年初来高値110.30を前に伸び悩む動きも確認されます)。
ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク)、D朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、E新型コロナウィルスの感染拡大リスク(パンデミックリスク)、F英合意なき離脱リスクの再燃、G米大統領選挙の先行き不透明感など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的に「持ち直し」の兆しを見せつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが、「続伸を阻む」シナリオが想定されます。本日発表される一連の米経済指標(消費者物価指数や新規失業保険申請件数など)が冴えない結果となれば、「インフレ鈍化→米景気減速懸念→米利下げ観測再燃→米長期金利低下→ドル売り」の経路で、ドル円が下落に転じるリスクも想定されます。新型コロナウィルスに絡むヘッドラインや、米経済指標の結果を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(1/17に記録した年初来高値110.30をバックに戻り売りが強まる展開)。
本日の予想レンジ:109.60ー110.40
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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