ドル円 1月に続き長期レジスタンスが効くか(週報2月第2週)

先週のリスクオフの巻き返しを通り過ぎてリスクオンにまで動いた株式、為替市場には違和感を覚えざるを得ません。

ドル円 1月に続き長期レジスタンスが効くか(週報2月第2週)

ドル円 1月に続き長期レジスタンスが効くか

今週の週間見通し

先週のドル円は、週初に中国の金融市場再開があり、人民銀行が流動性を供給し株式市場では空売り禁止と中国発の金融危機を防ぐ動きを好感したこと、また状況に応じて金融緩和や財政出動も行われるとの楽観的な思惑が急速にリスクオフ巻き返しの動きへと繋がりました。株式市場は米国株式市場を筆頭に軒並み大幅高となり、木曜には前日のNASDAQ、S&P500に続いてNYダウも史上最高値を更新と、新型コロナウイルスの感染者拡大をよそにすっかりリスクオン相場になっていました。

ただ、今回の米国株はNASDAQにおいてもテスラやマイクロソフトといった一部のハイテク関連株が急上昇した動きが主導した面が強く、新型コロナウイルスとは別次元での動きであったと思っています。ただ、為替市場も強い株式市場を見て円安に動き7日早朝には110.02レベルの高値をつけました。翌8日は米国株が最高値から調整の動きとなりドル円も週末前に110円を何度かトライして抜けられなかったことからやや反落しての引けとなっています。

問題は先週の株式市場を中心とした楽観的な動きが今後も続くかどうかということになりますが、その後も新型コロナウイルスによる感染者は拡大し、武漢では日本人の死亡者が報告され、死亡者は既に2002〜3年のSARS流行時の死亡者を上回っています。中国市場も再開したとは言っても、企業活動は依然として再開できていないところも多く、製造業の再開の遅れは今後着実に中国経済の減速へと繋がります。

経済指標等による実際の数字の確認は3月以降というところですが、おそらく2月中に出てくる予想は軒並み下方修正されることとなるでしょうし、中国の景気減速の影響はやや遅れを伴って世界経済の減速懸念へとつながります。1月中旬に署名合意した米中通商協議第1段階が順調に履行されたとしても、今回の中国を中心とした経済活動鈍化の影響はじわりと効いてくるに違いありません。

そうしたことを考えると、どうも先週のリスクオフの巻き返しを通り過ぎてリスクオンにまで動いた株式、為替市場には違和感を覚えざるを得ません。今週は経済指標には目立ったものがありませんが、先週のアイオワ州党員集会では最年少のブティジェッジ前サウスベンド市長がサンダース上院議員を0.1ポイント上回り勝利したものの、獲得代議員の数は同じとなり、双方が勝者と言ってよさそうです。

そして今週はニューハンプシャー州予備選挙がありますが、アイオワ州とどちらかで勝者とならないと民主党では最終的な指名を得ることは困難というジンクスがあり(唯一クリントン元大統領は指名を勝ち取った)、そういう点でも注目されそうです。ちなみに、現時点の予想ではニューハンプシャー州ではサンダース氏が圧倒的にリードしているとの世論調査もあり、そうだとすると最終的には現職のトランプ大統領対サンダース上院議員になる可能性が高まりそうですが、果たしてどうなるのか結果を見守りましょう。

材料的には先週の動きが楽観的過ぎたことから調整を見やすいと言えるのですが、テクニカルには非常に興味深い動きが見られます。先週金曜のコラムでも取り急ぎ上げましたが、ドル円は長期レジスタンスに阻まれる展開となっています。日足チャートをご覧ください。

右上を下げているレジスタンスライン(ピンクの太線)は2015年6月高値の125.86レベルから引いてきたレジスタンスラインですが、この長期レジスタンスラインは月足チャートで見ると先月は110.20レベルに位置し先月高値は110.30とほぼ誤差無しで反落。そして今月は110.00レベルに位置していて、現時点では先週の110.02で折り返す動きとなっています。

月足チャートレベルのレジスタンスであることから、50銭程度までは誤差のうちと見てよいと思いますが、仮に先月同様に今月も反落する動きを見せた場合、2020年のテクニカルを考える上で重要なレジスタンスラインとなってくることは間違いありません。毎月約20銭ずつ下げていきますので、今後の動き次第では2020年のドル高値を既に見たという可能性も考えておく必要があるのではないかと思います。

今週は先週の楽観に対する調整と、特にテクニカルな観点から戻り売りが出やすい流れを考え、下値は1月末安値と先週安値の61.8%押し(108.97)とほぼ重なる109.00レベルをサポートに、上値は上述の通り110.00レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

2月10日(月)
08:50 本邦12月貿易収支(国際収支)
10:30 中国1月CPI・PPI
16:00 トルコ11月失業率
27:45 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
29:15 フィラデルフィア連銀総裁講演

2月11日(火)
**:** 東京市場休場
09:30 豪州1月企業景況感
18:30 英国10〜12月期GDP速報値
18:30 英国12月鉱工業生産
24:00 パウエルFRB議長議会証言(下院)
27:00 (セントルイス連銀総裁講演)
28:15 ミネアポリス連銀総裁講演

2月12日(水)
10:00 NZ中銀政策金利発表
11:00 NZ中銀総裁会見
19:00 ユーロ圏12月鉱工業生産
20:00 南ア12月小売売上高
22:30 フィラデルフィア連銀総裁講演
24:00 パウエルFRB議長議会証言(上院)
24:30 週間原油在庫統計

2月13日(木)
09:15 豪中銀総裁討論会参加
16:00 トルコ12月鉱工業生産
16:00 ドイツ1月CPI
17:30 スペイン中銀総裁会見
22:30 米国1月CPI
22:30 米国新規失業保険申請件数

2月14日(金)
16:00 ドイツ10〜12月期GDP速報値
16:00 トルコ12月経常収支
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP改定値
19:00 ユーロ圏12月貿易収支
22:30 米国1月小売売上高
22:30 米国1月輸入物価
23:15 米国1月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国2月ミシガン大消費者信頼感速報値
24:00 米国12月企業在庫
25:45 クリーブランド連銀総裁講演

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月3日(月)
 ドル円は週末NY後場以降の底堅さを東京市場でも続けました。欧州市場に入りポンド売りがユーロ売りにも波及し、ドルの動きとしてはドル買いとなったことからドル円はNY昼前に108.80まで戻しましたが、積極的に買い上げるほどの動きも見られず、高値圏でもみあいのまま引けました。

2月4日(火)
 ドル円は株式市場とともに大きくリスクオフの巻き返しが目立つ一日となりました。中国市場では人民銀行が月曜の市場再開とともに流動性供給を行いましたが、加えて金融緩和や財政出動にも動くであろうとの思惑から株式市場が上昇、NY市場ではNASDAQが史上最高値更新となり、ドル円も109.55レベルまで上伸し高値引けとなりました。



2月5日(水)
 ドル円は東京市場では前日の上げの調整もあり若干上値が重たい流れが続いていました。欧州市場に入り中国で新型コロナウイルス治療薬開発というニュースが入り、株式市場とともにドル円が上昇し前日高値を上回った後も底堅い地合いが続きました。NY市場では英国でワクチン開発に進展とのニュースに株価が一段高、ドル円は109.85レベルまで上伸し高値圏での引けとなりました。

2月6日(木)
 ドル円は東京市場では日経平均株価とともにダウ先物が夜間取引で上昇する動きに沿って109.97レベルの高値をつけました。しかし、110.00には売りが並んでいることからその後は上下ともに動きにくい地合いのままNY市場入り。NY市場では欧州通貨売りの動きがドル買いとなり、引けにかけては110.00の大台をワンタッチしての高値引けとなりました。

2月7日(金)
 ドル円は株価の動きと週末前のポジション調整も重なってドルの上値が重たい展開が続きました。その後、欧州市場でユーロが下げた時と、NY市場で雇用統計が強かった時と2度ほど110円をトライしたものの抜け切れず、引けにかけては米国株価のじり安に沿って上値の重たいままでの週末クローズとなりました。

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