ドル円見通し 週末安値からは下げ渋るが上値は重い。感染拡大の影響はまだ序盤!(20/2/4)

ドル円も株高と指標発表が一巡すると上値が重くなった。

ドル円見通し 週末安値からは下げ渋るが上値は重い。感染拡大の影響はまだ序盤!(20/2/4)

【概況】

新型コロナウイルスの感染拡大報道が過熱し始めた1月21日に110円を割り込んだところから円高ドル安が加速してきた。1月27日朝安値108.73円の後は30日夜までは持ち合いだったが31日にはNYダウが前日比603.41ドル安の大幅下落となり、ドル円も2月1日未明には108.30円まで安値を切り下げたが、その後は下げ渋っている。

2月3日は春節明けの上海市場が再開したが、上海総合株価指数は8%を超える下落で開始し、その後も安値圏に止まり前日比7.7%安で終えた。中国証券監督管理委員会が投資信託のファンドマネジャー等に対して投資家への償還の必要がない限り株式を売却しないように圧力をかけたとの報道もあった。また中国人民銀行が市場に約19兆円規模の資金供給をして混乱を回避する姿勢を示した。これらの影響で急落開始後はほぼ横ばい程度だったが、この安値を積極的に買い拾う動きは見られなかった。

NYダウは先週末に前日比603.41ドル安の大幅下落となり年初来安値を更新したが、週明けのダウ先物は上海市場の急落を想定内として買い戻しの動きとなり、日中も前日比200ドルを超える上昇となり、金融市場全般を落ち着かせた。NYダウの2月3日は前日比143.78ドル高と戻したが、この日の戻り高値からは200ドル以上の下落となった。このため日足は前日の大陰線に孕まれる形の上ヒゲ小陰線となり、下げ渋り程度の印象となっている。

米サプライ管理協会ISMが発表した1月の米製造業景況指数は50.9となり12月の47.8から上昇して市場予想の48.5を上回った。これは株高ドル高要因となったが影響は限定的だった。ドル円も株高と指標発表が一巡すると上値が重くなった。

【感染拡大のリスク消化はまだ先】

2月4日9時時点の新型肺炎による中国本土内の死者数は前日比57人増の425人でSARSを上回った。感染者数は3236人増の20471人、感染疑いも5072人増の23214人と拡大している。春までにピークアウトするのではないかとの楽観論もあるが、4月から5月にかけての間をピークとし、東京五輪までには収束しないのではないかとの悲観論もある。

中国の経済活動停滞への懸念も広がっているが、中国石油大手の中国石油化工が需要減を背景に2月の石油処理能力を日量約60万バレル削減するとの報道もあった。2月3日のNY原油は4日続落で前日比1.45ドル安の50.11ドルで終了したが、安値では49.80ドルまで下げて2019年1月以来の安値水準となった。1月8日にイラン情勢の緊張により65.65ドルの高値をつけたが、そこからの下落率は24%を超えている。中国の活動停滞、景気減速、世界への波及、中国人海外旅行者の激減と訪問先での爆買いがなくなり、世界の工場でもある中国の稼働停滞によるサプライチェーンの断絶懸念も強まる。世界景気への影響はこれから本格化すると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月27日朝安値から5日目となる2月1日早朝安値を直近のサイクルボトムとしてやや戻している。1月29日高値を基準として今回のトップ形成期は2月3日から5日に欠けての間と想定されるが、既に2月3日深夜高値でサイクルトップをつけてしまっている可能性がある。

108.50円を割り込んでも切り返す内は2月3日深夜高値超えからもう一段高へ戻す可能性ありとみるが、108.50円割れから続落の場合は2月1日安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして2月6日朝から10日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月3日夜の反発で遅行スパンが好転しているが先行スパン突破へ進めずにいるため遅行スパンも再び悪化しやすい位置にある。2月3日深夜高値超えからはもう一段高へ戻す可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは下げ再開と仮定して安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月3日夜には50ポイント台を回復したが60ポイント超えへ進めずにいる。60ポイント超えから続伸の場合はもう一段高を試す可能性が出てくるが、すでに戻り一巡の可能性もあるので40ポイント割れからは下げ再開と仮定して30ポイント割れへの低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月1日早朝安値108.30円を下値支持線、2月3日深夜高値108.79円を上値抵抗線とする。
(2)108.795円以下での推移中は一段安警戒とし、2月1日早朝安値割れからはまず108.00円試し、さらに株安同調で下げが加速する場合は1月8日安値107.65円試しを想定する。3日深夜高値を上抜けないか、一時的に上抜いても108.75円以下での推移に留まる場合は5日にかけても安値試しへ進みやすいとみる。また108円を割り込んだ後に108.25円以下での推移なら1月8日安値試し、あるいは割り込んでの一段安へ進みやすい状況も続くとみる。
(3)2月3日深夜高値108.79円を上抜く場合は109円台序盤試しとその後の反落警戒とする。1月17日からの下落基調から脱却するには1月29日高値109.26円を上抜く必要があると思われる。

【当面の主な予定】

2/4(火)
米大統領、一般教書演説
06:45 (NZ) 12月 住宅建設許可件数 前月比 (11月 -8.5%)
08:50 (日) 1月 マネタリーベース 前年同月比 (12月 3.2%)
12:30 (豪) 豪準備銀行 政策金利 (現行 0.75%、予想 0.75%)
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 0.2%、予想 0.0%)
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数 前年同月比 (11月 -1.4%、予想 -0.7%)
24:00 (米) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 -0.7%、予想 1.2%)


2/5(水)
06:45 (NZ) 10-12月期失業率 (前期 4.2%、予想 4.2%)
06:45 (NZ) 10-12月期就業者数 前期比 (前期 0.2%、予想 0.4%)
06:45 (NZ) 10-12月期就業者数 前年同期比 (前期 0.9%、予想 1.2%)
10:45 (中) 1月財新サービス業PMI (12月 52.5、予想 52.0)

17:10 (欧) デギンドスECB副総裁、講演(フランクフルト)
17:55 (独) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 54.2、予想 54.2)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 52.2、予想 52.2)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 52.9、予想 52.9)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.0%、予想 -1.1%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 2.2%、予想 2.2%)
22:15 (米) 1月 ADP非農業部門就業者増加数 前月比 (12月 20.2万人、予想 16.0万人)
22:30 (米) 12月 貿易収支 (11月 -431億ドル、予想 -478億ドル)
23:45 (米) 1月 サービス業PMI改定値 (12月 53.2、予想 53.2)
24:00 (米) 1月 ISM非製造業景況指数 (12月 55.0、予想 55.1)

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る