ドル円見通し 1月14日高値を上抜き、年初のダブル底からの上昇継続(20/1/17)

15日深夜安値109.79円からジリ高となり、17日朝には14日午前高値を上抜いた。

ドル円見通し 1月14日高値を上抜き、年初のダブル底からの上昇継続(20/1/17)

【概況】

ドル円はイラン情勢の有事緊張から1月6日朝安値107.75円、1月8日午前安値107.65円と二度の108円割れへ下落したが、米・イランによる全面戦争突入が回避されたために両安値をダブルボトムとして反騰に転じた。
1月13日夜には12月2日高値109.72円を超えて一段高に入り、14日午前には110.21円をつけて昨年5月以来となる110円台回復を見た。その後は連騰一服となってやや下げていたが、15日深夜安値109.79円からジリ高となり、17日朝には14日午前高値を上抜いた。
イラン情勢による揺れ返し上昇に加え、1月15日に米中通商協議の第1段落合意が署名されたことで米中関係改善を期待して株高が進み、米経済指標が良好だったことや企業決算好調によりNYダウは1月14日から3日連続で立会中の史上高値を更新、4日連続で終値ベースでの最高値を更新、16日は前日比267.42ドル高と大幅上昇となった。米経済指標も概ね良好だったためにドル円は株高に背中を押されて一段高へ進んだと思われる。

1月16日に米商務省が発表した12月の小売売上高は前月比0.3%増で市場予想と一致し、11月は当初発表の0.2%増から0.3%増に上方修正された。また自動車関連とガソリンを除くコアでは0.5%増で予想と一致した。
米労働省が発表した週間の新規失業保険申請は季節調整済みで20万4000件となり前週比1万件減少して市場予想の21万6000件を下回った。失業保険受給者総数は176万7000人で前週から3万7000人減少した。
米フィラデルフィア連銀の1月製造業景況指数は17で市場予想の3.8を上回った。

【株高に背中を押される】

NYダウは昨年、7月への上昇で1昨年10月高値を超えて史上最高値を更新、8月にいったん下げたもののその後の反騰から11月には最高値を再度更新し、さらに年末から年明けへと高値更新を続けてきた。その一方でドル円は昨年4月からの下落を引きずって昨年7月の株高には反応しきれずに8月26日へ大幅下落となった。その後の戻りも11月以降は110円に到達できない程度に止まり、株高と比較するとかなり上値の重い慎重な動きに留まってきた。米中通商協議が第一段階の合意に至っても第2段階以降の協議が不調に終わるのではないかという先行きの不透明感や、米中通商摩擦の長期化による実体経済への悪影響等を意識したために株式市場程には楽観的になれないというところもあったと思う。またメジャー通貨の加重平均であるドル指数も10月1日高値からは下落基調にあり、ドル円にとっては株高による上昇圧力よりもドル指数の下落圧力が勝っていた。

しかし、イラン情勢による急落とその後の情勢変化による反騰が、かえって押し目形成に寄与し、株高がさらに続く中でドル円も慎重さで超えられなかった110円の壁を突破した。もう少し戻り高値を試して良いのではないかとの市場心理の改善が17日朝にはさらに高値を更新させていると思われる。

【2円以上の下落からのV字反騰した前例】

12月2日高値109.72円から1月8日安値107.65円までの下げ幅は2.07円だった。そこからV字反騰して高値を更新しているのだが、2円以上の急落からV字反騰した前例としては、昨年3月5日高値から3月25日へ2.40円の下落後に4月24日へ高値を更新したところが挙げられる。その時は高値更新から更に一段高へ加速するかに見えたものの若干の高値更新でダブルトップを形成して下落に転じた。1昨年の10月4日高値から同年10月26日へ3.17円の下落後に11月12日へ反騰したところでは高値更新に失敗して三角持合いを形成、10月4日高値から2か月弱となる11月28日の戻り高値から下落に転じている。
この様に、V字反騰しても長続きしないで2か月程度の間隔で高値をつけて下落に転じた前例もあるということは押さえておきたい。しかし2か月を超えて続伸してゆく場合は、それら前例を超えるより能動的な上昇期と捉える必要があると思う。

ダブルトップ型で終わる場合、1月末にかけての上昇で111円前後を試してから下落に転じる可能性があるので、1月8日からの上昇幅の3分の1を削るところからは下げ再開注意と考える。2か月を超えて続伸の場合は、1月8日への下げ幅の倍返しとなる111.79円から112円、さらに昨年4月24日高値112.39円等へ上値目処が切り上がり、2月後半から3月にかけて上昇基調が続く可能性も出てくると思う。いずれへ進むのか、月末までの展開と上昇の勢いを見定めたいと思う。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月6日朝安値と8日午前安値をダブル底として強気サイクル入りしてきたが、1月16日朝時点では1月14日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は16日未明から20日朝にかけての間とし、14日午前高値超えからは新たな強気サイクル入りとした。
1月15日深夜安値からの反騰で14日午前高値を上抜いたため、15日深夜安値で若干短めのボトムをつけて強気サイクル入りしたと考える。高値形成期は17日午前から21日午前にかけての間として110.50円超を試す流れと考える。弱気転換は15日深夜安値割れからとするが、その場合は20日夜から22日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、17日朝への上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンを上抜き返している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、両スパン揃って好転するところからは下げ再開警戒とし、15日深夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は16日深夜への上昇で70ポイントを超えた。その後も60ポイント以上での推移が続いているので上昇余地ありとし、弱気転換は50ポイント割れから続落するところからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.00円、次いで1月15日深夜安値109.79円を下値支持線、110.50円を上値抵抗線とする。
(2)110円以上での推移中は上向きとし、110.30円超えからは110.50円試しを想定する。110.50円前後はいったん売られやすいとみるが、110円以上での推移なら週明けも高値を試す可能性が継続するとみる。
(3)110円を割り込んでも切り返す内は上昇余地ありとするが、110円割れから続落の場合は弱気転換注意として15日深夜安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとみて109.50円前後試しへ向かうとみる。また109.79円以下での推移なら週明けも安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

1/17(金)
11:00 (中) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 8.0%、予想 7.9%)
11:00 (中) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 6.2%、予想 5.9%)
11:00 (中) 10-12月期GDP 前年同期比 (前期 6.0%、予想 6.0%)
11:00 (中) 10-12月期GDP 前期比 (前期 1.5%、予想 1.4%)
13:30 (日) 11月 第三次産業活動指数 前月比 (10月 -4.6%、予想 1.0%)

18:00 (欧) 11月 経常収支・季調済 (10月 324億ユーロ)
18:00 (欧) 11月 経常収支・季調前 (10月 410億ユーロ)
18:30 (英) 12月 小売売上高 前月比 (11月 -0.6%、予想 0.6%)
18:30 (英) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 1.0%、予想 2.7%)
18:30 (英) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 -0.6%、予想 0.8%)
18:30 (英) 12月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (11月 0.8%、予想 3.0%)
19:00 (欧) 11月 建設支出 前月比 (10月 -1.0%)
19:00 (欧) 11月 建設支出 前年同月比 (10月 0.3%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数、改定値 前年同月比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価コア指数、改定値 前年同月比 (速報 1.3%、予想 1.3%)

22:30 (米) 12月 住宅着工件数・年率換算件数 (11月 136.5万件、予想 138.0万件)
22:30 (米) 12月 住宅着工件数 前月比 (11月 3.2%、予想 1.1%)
22:30 (米) 12月 建設許可件数・年率換算件数 (11月 148.2万件、予想 146.0万件)
22:30 (米) 12月 建設許可件数 前月比 (11月 1.4%、予想 -1.5%)
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:15 (米) 12月 設備稼働率 (11月 77.3%、予想 77.1%)
23:15 (米) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 1.1%、予想 0.2%)
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数 (12月 99.3、予想 99.0)

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