ドル円、リスク選好ムード継続で続伸。109.70近辺の抵抗帯を試す展開か
海外時間の為替概況
9日(木)の海外市場でドル円は続伸。@トランプ米大統領の前日の演説を受けて中東情勢に安堵感が生まれつつあることや、A中国の劉鶴副首相が米中第1段階署名を目的に来週13日から15日に訪米すると発表したこと、B米主要株価指数が連日で史上最高値を更新し、リスク選好の円売りが強まったこと、C米・新規失業保険申請件数(結果21.4万件、予想22.0万件)が予想比良好な結果となったこと等が支援材料となり、米国時間午後にかけて、12/27以来、約2週間ぶり高値109.58まで上値を伸ばしました。もっとも、強力なレジスタンスが控える109.70前後(11月後半以降、幾度となく続伸を阻まれた抵抗帯)で伸び悩むと、Dバグダッド北のバラッド空軍基地周辺にロケット弾が着弾したと報じられたことや、E好調な米30年債入札を受けて米長期金利が低下したこと等も重石となり、引けにかけてやや押し戻される展開に。本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、109.53近辺で推移しております。
一方、ユーロドル相場は続落。地政学的リスクの後退や、米主要株価指数の上昇を受けて、対主要通貨でドル買いが進んだことや、前日のドイツ・11月製造業受注の悪化を受けて欧州経済を巡る悲観的な見方が再燃しつつあること等が重石となり、米国時間朝方には、12/26以来、約2週間ぶり安値となる1.1093まで下げ幅を広げました。しかし、1.11割れの水準では押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、バグダッド北のバラッド空軍基地周辺にロケット弾が着弾したと報じられたこと(地政学的リスクの再燃の恐れ)や、好調な米30年債入札を受けて米長期金利が低下したこと等が支援材料となり、引けにかけては幾分持ち直す展開に。本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.1105近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、リスク選好ムードを背景に一時109.58まで続伸するなど、前日のアジア時間朝方に記録した安値107.64から僅か2日で1円94銭もの急騰劇を演じました。この間、主要レジスタンスポイントである200日移動平均線や、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲上限、ボリンジャーミッドバンドを全て突破するなど、テクニカル的に見て「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となりつつあります(年初来の下げ幅の全値戻し)。但し、この先には、昨年11月以降、幾度となく続伸を阻んだ強力な抵抗帯(レジスタンス)109.70の壁が立ちはだかっており、余程強いドル買い・円売り材料が出てこない限り、同水準を突破することは容易では無いと考えられます(戻り売りに押される可能性大)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの冴えない結果(1/3に発表された米ISM製造業景況指数は2009年6月以来の低水準)、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第1段階合意署名は来週行われる可能性が高いものの、トランプ米大統領は昨日、第2段階合意は米大統領戦後まで見送る可能性もあり得ると発言)、D英合意なき離脱リスクの再燃リスク、E朝鮮半島を巡る地政学的リスク、F中東情勢の緊迫化(トランプ米大統領による前日の演説を受けて緊張感が幾分和らぐも事態は依然流動的。事実昨日は、バラッド空軍基地周辺にロケット弾が着弾したとの報道あり)など、ドル売り・円買いを想起させる材料は沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が意識されます。年初来下げ幅の「全値戻し」を達成できたことで、短期筋のショートポジションは大幅に解消された可能性が高く、余程強いドル買い・円売り材料が出てこない限り、強力なレジスタンス109.70を上抜けすることは難しい(上値余地は乏しい)と考えられます。中東を巡るヘッドラインや、米経済指標(今週のメインイベントである米雇用統計など)の結果を睨みながらも、本日はドル円が反落に転じる展開をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:108.80ー109.90
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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