ドル円見通し NYダウ持ち直しで中東情勢反応やや一服(20/1/7)

週末から週明け朝へのリスクオフ反応がやや過剰だったとしてドル円も買い戻されて7日未明には108.50円をつけた。

ドル円見通し NYダウ持ち直しで中東情勢反応やや一服(20/1/7)

【概況】

1月2日夜に米軍のイラン革命軍司令官殺害空爆事件が発生、中東情勢が一挙に緊迫したとして金融市場全般がリスクオフへ急旋回し、ドル円は1月2日深夜へ108.21円まで一段安となり、3日夜へ続落、さらに週明け6日朝には107.75円まで続落した。12月26日深夜高値109.68円からの下げ幅は1.93円まで拡大したが、その後は株安が落ち着いて買い戻しの動きに入る中、米国イラン双方による新たな軍事攻撃が見られなかったため、週末から週明け朝へのリスクオフ反応がやや過剰だったとしてドル円も買い戻されて7日未明には108.50円をつけた。

NYダウは1月3日には一時300ドルを超える大幅下落となり前日比233.92ドル安で終了したが、6日は安値で216ドル安の続落となっていたところから買い戻されて終値では前日比68.50ドル高とプラス圏まで上昇した。ナスダックも50.70ポイント高と持ち直した。米10年債利回りも1月3日は前日比0.09%低下だったが、6日は株高債券安となって前日比0.02%上昇の1.81%となった。
有事の金買いとして急上昇したゴールドスポットは1月3日に20.82ドル高、6日も16.60ドル高と連騰したが高値で1587.34ドルをつけた後は1565.62ドルまで下げた。
NY原油は1月3日に1.87ドル高と急騰し、6日も0.22ドル高と続伸したものの高値で64.72ドルをつけてからは63.27ドルまで反落して終了した。

【初期的な反応は一服だが】

米軍によるイラン司令官空爆殺害事件に対する初期的な市場反応はひとまず出尽くしとなり、やや過剰反応だった部分が目先は様子見としてポジション調整的な動きとなり、売られたものが買い戻され、買われたものが反落するという状況だった。
米国もイランも両国の正規軍が激突するような全面戦争へ進むことを臨んでいるとは思わないが、軍事的な衝突が繰り返される中で一線を超えれば退くに退けなくなって泥沼化する可能性は付きまとう。イラン革命防衛隊の本体が対米軍事行動に出なくても、イランが支援する中東域の反米武装勢力が各地で軍事攻撃を引き起こす可能性も高いだろう。今のところ株式市場はパニック的な暴落には至らずに持ち直しているのは、全面戦争化には至らず、市場の上昇トレンドもまだ維持できるのではないかとの楽観が根強いことを示しているのかもしれない。
しかし、イランの現政権も下手な対応をすれば内政的な混乱を招く可能性もあるので、今回の空爆殺害事件からの中東情勢については従来のレベルを超えた緊張状態に入るものと警戒するべきではないかと思う。

【8月からの底上げパターン崩れる】

8月26日安値104.45円から12月2日109.72円まで高値を切り上げ、その後の安値も切り上げて上昇トレンドを形成してきたが、12月13日高値では12月2日高値を上抜けず、年末年始の下落で12月9日安値108.40円を割り込んで底上げパターンが崩れた。日足チャートは12月2日と12月13日の両高値をダブルトップとして下落期に入った印象がある。この下落感を解消するには109円台を回復、維持してゆく反騰で年末年始の急落を解消する必要があり、できない内はさらに一段安へ進みやすい状況と考える。
8月26日からの上昇は12月2日まで日足で71本、ダブルトップの12月13日までが80本だが、昨年1月3日暴落から4月24日高値までの上昇が日足80本であり、今回も3か月半のリバウンドを一巡させて下落期に入った印象がある。

昨年1月3日からの上昇基調が崩れたのは昨年1月31日と3月25日の安値を結ぶ支持線を割り込んだところから始まったが、今回は10月3日安値と12月9日安値を結んだ支持線を割り込んで崩れている。このため下落規模としては昨年4月高値から8月底への下落時並か、1昨年10月から12月までの三角持合いを下放れして昨年1月3日へ下落した時並のレベルとなる可能性も警戒される。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、元旦休場を挟んでいるため12月31日深夜安値から暦で3日強を経過した1月6日朝安値で直近のサイクルボトムをつけて戻している印象だ。1月2日夜高値を基準として今回の高値形成期は7日夜から9日夜にかけての間と想定されるが、戻りは短命の可能性もあるので108.20円以上での推移なら上昇余地ありとするが108.20円割れからは下げ再開を警戒して6日朝安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして9日朝から13日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、7日未明への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いている。このため遅行スパン好転中は戻り高値をさらに試す余地ありとみるが、先行スパンへ潜り込み始めるところからは下げ再開注意とし、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は1月2日深夜から6日朝への一段安に対して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて上昇した。50ポイント以上での推移中はさらに高値を試す余地ありとみるが、7日未明高値を上抜く処で指数のピークが切り上がれない場合は弱気逆行発生からの下落再開を疑う。また50ポイント割れから続落の場合も下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.20円を下値支持線、108.50円を上値抵抗線とみておく。
(2)108.20円以上での推移中は高値を試す余地ありとし、108.50円超えの場合は12月26日深夜からの下落に対する半値戻し108.72円試し、さらに超える場合は1月2日夜の戻り高値108.86円を試す可能性があるとみるが、108.70円以上は反落警戒と考える。
(3)108.70円以上へ上昇した後に108.50円を割り込む場合及び108.50円前後が抵抗となったまま108.20円を割り込む場合は下げ再開を疑い1月6日朝安値107.75円試しへ向かうとみる。中東情勢で新たな軍事緊張が高まる事象発生でリスク回避の円高が再燃する場合は6日朝安値を割り込んで107円台序盤へ向かう可能性も抱えていると注意する。

【当面の主な予定】

1/7(火)
19:00 (欧) 11月 小売売上高 前月比 (10月 -0.6%、予想 0.6%)
19:00 (欧) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 1.4%、予想 1.3%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (11月 1.0%、予想 1.3%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (11月 1.3%、予想 1.3%)
22:30 (米) 11月 貿易収支 (10月 -472億ドル、予想 -438億ドル)
24:00 (米) 11月 製造業新規受注 前月比 (10月 0.3%、予想 -0.8%)
24:00 (米) 12月 ISM非製造業景況指数 (11月 53.9、予想 54.5)

1/8(水)
09:30 (豪) 11月 住宅建設許可件数 前月比 (10月 -8.1%、予想 2.0%)
09:30 (豪) 11月 住宅建設許可件数 前年同月比 (10月 -23.6%、予想 11.7%)
14:00 (日) 12月 消費者態度指数・一般世帯 (11月 38.7、予想 39.5)
16:00 (独) 11月 製造業新規受注 前月比 (10月 -0.4%、予想 0.2%)
16:00 (独) 11月 製造業新規受注 前年同月比 (10月 -5.5%、予想 -4.7%)
19:00 (欧) 12月 経済信頼感 (11月 101.3、予想 101.4)
19:00 (欧) 12月 消費者信頼感・確定値 (速報 -8.1)
22:15 (米) 12月 ADP雇用報告 非農業部門就業者数 前月比 (11月 6.7万人、予想 16.0万人)
24:00 (米) ブレイナードFRB理事、講演
29:00 (米) 11月 消費者信用残高 前月比 (10月 189.1億ドル、予想 158.0億ドル)

オーダー/ポジション状況

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