ドル円見通し 引き続きリスクオフの円高に注意(週報1月1週)

株安、円高だけでなく、ドル建て金価格の上昇、米金利低下(米国債価格の上昇)と完全なリスクオフ相場での週明けとなっています

ドル円見通し 引き続きリスクオフの円高に注意(週報1月1週)

今週の週間見通し

あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします

(1)年末年始の振り返り

到達確率チャートにラインマーカーで着色してある部分を見ながら、以下の出来事をご覧ください。

今週の週間見通し

ドル円は12月28日までは動意薄の展開が続きましたが、東京市場が最終日となった30日に株価の上値が重たくなる中で、年末年始のポジション調整によるドル売りが東京前場に見られました(黄色のラインマーカー)。

NY市場に入りダウに売りが入る動きとともにドル円も一段安となり、31日には108円台半ばまで下押し(水色のラインマーカー)。31日NY市場ではトランプ大統領が米中通商協議の合意が1月15日と発表したもののやや戻す程度での年末クローズとなりました。

年明け2日にはNY市場で米金利低下の動きからドル売りへとつながる中(黄緑のラインマーカー)、3日アジア市場前場に米国がイランを攻撃しイランの司令官が死亡とのニュース(ピンクのラインマーカー)に一段のリスクオフの動きとなり107円台へと入り込みました。

その後は108円を挟んで上値の重たい展開となり、本日週明けのシドニー市場では中東情勢を懸念し一時107.77レベルをつけて(グレーのラインマーカー)東京市場再開となります。

(2)今週の見通し

週明けのドル円は早朝に株価指数先物が大幅安となった動きに沿って、リスクオフの円高が先行しましたが、年明けの実需のドル買いにより仲値近辺ではいったん買い戻しが見られました。しかし、イランが米国への報復を検討しているいっぽうで、トランプ大統領は報復があれば大規模な報復に出ると発言しています。

そもそものきっかけは、イラクの米軍基地をイランが支援する武装組織が攻撃し、米国人兵士が死亡したことに端を発します。イランはこれまでも支援武装組織による攻撃に対してイランは関係ないといった発言をしてきましたが、米国としては実害を受けたことで報復作戦に出たということになり、先に手を出したのはイランと言えます。

株安、円高だけでなく、ドル建て金価格の上昇、米金利低下(米国債価格の上昇)と完全なリスクオフ相場での週明けとなっていますが、原油価格も大幅上昇していることや日本株では防衛関連に買いが入っていることなど、明らかに中東発のリスクオフ懸念(米国とイランとの衝突)という値動きです。

まだ、イランの動きが見えないので不透明感が残るもののイランも何らかの報復を行う可能性が高いことを考えると先週末からのリスクオフによる円高の動きは当面続きやすいと考えるべきでしょう。また日柄的にも3日が変化日となっていてドル安方向へ転じやすい流れが年初にあり、例年年1月はドル安に動くことも多いことから、ポジション調整が引き続き出やすいと言えるでしょう。

ポジション的にもシカゴの円売りポジションは12月中にやや減ったとはいうものの、いまだやや円売りに傾いていますし、本邦個人投資家は高金利通貨を中心としてクロス円の円売りは一定量積みあがっている状況です。今年はフラッシュクラッシュこそ無かったものの、何かあると円高方向に動きが加速しやすいと言えます。

材料的には米国の貿易収支(7日)、ADP全国雇用者数(8日)、雇用統計(10日)が目立つところですが、米中通商協議も署名が15日に行われるという発表がありましたので、今回の貿易収支は注目度が下がりますし、雇用統計もほぼ完全雇用状態が続いている中で、一時的な振れが出ても注目には値しないと考えた方が間違いありません。

やはり、イランを中心とした中東情勢とそれに対応したトランプ大統領の発言が週を通して気になりますが、仮に今週はイランが報復せず、米国も動かずだとしても、いつ衝突が起こるかわかりませんし、米国もそれを見越して中東に派兵をする動きに出ています。今週だけでなく、1月中は中東情勢が相場の大きな材料となり、ドル円の上値を重くすることになるでしょう。

テクニカルな観点からチャートも見てみましょう。

昨年最終の週報で使ったチャート内の各ラインをそのまま残してありますが、11月からの上昇チャンネル(青)も9月からの上昇チャンネル(ピンク)も2日の下げで下抜けたことで、明らかにトレンドの変化が見られます。昨年11月からのレジスタンスライン(赤の太線)を12月に抜けられず反落したこともドル安トレンドへの転換を強めると見てよいでしょう。

今朝の安値は昨年安値とその後の高値の38.2%押しにあたる107.71とほぼ重なっていますが、現状のリスクオフ懸念を考えるとここで止まると見るよりも、半値押しにあたる107.09を視野に入れる動きが出てきてもおかしくありません。中東の懸念が完全に拭い去れることは無いにしても、ある程度落ち着くまではドル買いに動くことは避けたいところです。

今週は下方向にある程度余裕を見たレンジを考え、上記ターゲットに重なる107.10レベルをサポートに、12月の安値圏だった108.40レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。

今週の週間見通し 2枚目の画像

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

1月6日(月)
09:00 東証大発会
10:45 中国12月MarkItサービス業PMI
17:50 フランス12月サービス業PMI改定値
17:55 ドイツ12月サービス業PMI改定値
18:00 ユーロ圏12月サービス業PMI改定値
18:30 英国12月サービス業PMI改定値
19:00 ユーロ圏11月PPI
23:45 米国12月サービス業PMI改定値


1月7日(火)
19:00 ユーロ圏12月CPI速報値
19:00 ユーロ圏11月小売売上高
22:30 米国11月貿易収支
24:00 米国12月ISM非製造業景況指数
24:00 米国11月製造業新規受注
**:** 英国議会でEU離脱審議開始

1月8日(水)
09:30 豪州11月住宅建設許可件数
16:00 ドイツ11月製造業新規受注
16:45 フランス12月消費者信頼感
16:45 フランス11月貿易収支
19:00 ユーロ圏12月消費者信頼感
22:15 米国12月ADP全国雇用者数
24:30 週間原油在庫統計


1月9日(木)
09:30 豪州11月貿易収支
10:30 中国12月CPI・PPI
16:00 ドイツ11月貿易収支
19:00 ユーロ圏11月失業率
21:30 米国12月チャレンジャー人員削減予定件数
22:00 クラリダFRB副議長講演
22:30 米国新規失業保険申請件数
25:30 NY連銀総裁講演
27:20 シカゴ連銀総裁講演
28:00 セントルイス連銀総裁講演

1月10日(金)
09:30 豪州11月小売売上高
16:00 トルコ10月失業率
16:45 フランス11月鉱工業生産
18:30 英国11月貿易収支
22:30 米国12月雇用統計
24:00 米国11月卸売売上高・在庫

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

年末年始の更新が変則的となっていますので、今週の週間見通しの中で「年末年始の振り返り」という項目を追加し、述べさせていただいております。

ディスクレーマー

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