来週の為替相場見通し:『中東情勢緊迫化で地政学リスク再燃。金融市場は年初早々リスクオフへ』(1/4朝)

ドル円は109.70近辺に控える強力なレジスタンスに続伸を阻まれると、年末年始にかけて大きく値を崩す展開となりました(109.52→107.83)。

来週の為替相場見通し:『中東情勢緊迫化で地政学リスク再燃。金融市場は年初早々リスクオフへ』(1/4朝)

今週のレビュー(12/30−1/3)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初109.47で寄り付いた後、早々に高値109.52まで上昇しました。しかし、@109.70近辺のレジスタンスに続伸を阻まれると、A上値の重さを嫌気した見切り売りや、B年初のフラッシュクラッシュを警戒したポジション調整(円売りポジションの解消)、C米経済指標の不冴な結果(米12月CB消費者信頼感指数や、米12月製造業PMI、米12月ISM製造業景況指数など)、D朝鮮半島を巡る地政学的リスク、E中東情勢の緊迫化(※米国防省は1/3、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したと発表。これを受けてイランの最高指導者ハメネイ師は米国への報復措置を表明)、F上記を受けたリスク回避ムード(VIX指数も急上昇)が重石となり、週末にかけては、10/10以来、約3ヶ月ぶり安値となる107.83まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では108.05近辺で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1175で寄り付いた後、@欧州経済を巡る楽観的な見方(※前週末に発表されたECB経済報告で域内経済の成長判断が引き上げられたこと)や、A米経済指標の冴えない結果(米12月CB消費者信頼感指数など)、B過剰流動性に伴うドル売り圧力が支援材料となり、翌12/31にかけては、約4ヶ月半ぶり高値となる1.1241まで上昇しました。しかし、直近高値(8/6高値1.1251や、8/7高値1.1243)を前に伸び悩むと、C英合意なき離脱リスクを背景とした英ポンドの下落(ユーロ連れ安)や、D中東情勢の緊迫化を受けたリスク回避ムード(ユーロ円下落→ユーロドル連れ安)が重石となり、週末にかけては、約1週間ぶり安値となる1.1125まで下落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では、1.1166近辺で推移しております。尚、1/3に発表されたドイツ・12月HICP(結果0.6%、予想0.5%)は市場予想を上回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となっております。

来週の見通し(1/6−1/10)

<ドル円相場>
ドル円は109.70近辺に控える強力なレジスタンスに続伸を阻まれると、年末年始にかけて大きく値を崩す展開となりました(109.52→107.83)。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線、一目均衡表雲上限及び下限を下抜けするなど、テクニカル的にみて「地合いの弱さ」を強く意識させるチャート形状となっております(強い売りシグナルを表す三役逆転も点灯)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの冴えない結果、C世界的な貿易戦争再開リスク(含む米中貿易摩擦の再燃)、D英国を巡る不確実性(英合意なき離脱リスクの再燃)、E朝鮮半島を巡る地政学的リスク、F中東情勢(米イラン関係)の緊迫化など、ドル売り・円買いを想起させる材料が沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。米イラン関係を巡る続報や、米経済指標(米12月ISM非製造業景況指数や、米12月雇用統計など)の結果、休場明けの本邦勢(投資家及び実需)の動き、米中及び英国を巡るヘッドラインを睨みながらも、来週はドル円の続落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(USDJPY):106.75ー109.25

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、約4ヶ月ぶり高値更新後に反落する展開となりました。この間、強い上昇トレンドを示唆するバンドウォークの終焉や、一目均衡表転換線及び200日移動平均線の下方ブレイクなど、テクニカル的に見て「上値の重さ」を意識させるチャート形状となりつつあります。目先は、11/29安値1.0981と、12/20安値1.1065を結んだサポートラインを下抜けられるか否かに注目が集まりそうです。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、@米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスクや、Aユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感、Bイタリアの財政悪化問題、CECBによる追加緩和観測、D英国情勢の先行き不安など、ユーロ売りを意識させる懸念材料は根強く残っています。来週発表されるユーロ圏の主要経済指標(ユーロ圏生産者物価指数や消費者物価指数、小売売上高、ドイツの製造業受注や鉱工業生産など)が冴えない結果となった場合には、欧州経済を巡る悲観論の再燃を通じて、欧州債利回り低下→ユーロ売りの流れに拍車がかかる恐れもある為、来週はユーロドルの下落リスクに注意が必要でしょう。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が意識されます。ユーロ圏経済指標や、中東情勢(地政学的リスク)、英国を巡るヘッドラインを睨みながらも、来週はユーロドルの続落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1050−1.1250

今週のレビュー(12/30−1/3)

ドル円日足

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