中東リスク台頭、続報にらみつつドル続落も
<< 東京市場の動き >>
3日の東京市場は、ドル安・円高。イラク情勢や先物取引の米株の動きをにらみつつ、一時108円レベルまで下落する局面も観測されていた。
ドル/円は108.55円前後で寄り付いたのち、しばらくは底堅い。108.45-65円といったレンジ取引をたどるも、底割れすると、そのままジリジリと108円前後まで値を下げている。時間外で取引されているNYダウ先物が200ドル以上下落したことなどが嫌気されていたようだ。16時時点では、やや小戻した108.10-15円で推移、欧米時間を迎えている。
なお、日本円は前述した対ドル以外、ユーロやポンド、豪ドルなどに対しても堅調推移し、ほぼ全面高。ポンド/円は久しぶりに東京時間だけで1円を超える変動、ポンド安・円高の進行が観測されていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「北朝鮮情勢」と「イラン情勢」について。
前者は、中国外務省の耿副報道局長が記者会見で、米国と北朝鮮それぞれに自制を促す発言を示すなか、ボルトン前米大統領補佐官は自身のツイッターで「北の挑発に対抗し、米韓演習の全面再開を」と発言、またエスパー米国防長官はFOXニュースにおいて「必要に応じて北との戦闘用意がある」との考えを示していたとされる。1月8日、金正恩国務委員長の誕生日に向けて、米朝関係は緊迫感を増しつつあるようだ。
それに対して後者は、米国防長官から「イランへの先制攻撃も辞さず」とした発言が聞かれるなか、「米軍がイラクの空港を空爆、イラン軍司令官が殺害される」といった報道が観測され、市場筋などの懸念が現実のものに。その後も、ブルームバーグは「イランの精鋭部隊、革命防衛隊が米国に対しての報復を示唆」と指摘するなど、様相はさらに悪化しつつある感を否めない。
<< 欧米市場の見通し >>
昨年1月3日に記録した「フラッシュクラッシュ」に比べれば可愛いものだが、それでも今年の年明けもドル/円相場は形成レンジを割り込み、ドル安・円高が進展するという展開をたどっている。本日の東京時間は取り敢えず108円前後で下げ止まったものの、テクニカルに重要な下値メドは昨年11月安値もそう遠くない107.70円レベル。そのレベルを下回ると、さらなるドル安の進行を否定出来なくなりそうだ。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「米金融政策」、「ウクライナ疑惑」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」など気掛かりな要因は少なくない。いずれも注意を要するが、これまでやや影の薄かった「イラン情勢」が、昨日ぐらいから急速にクローズアップされてきた。中東リスクを受け、前述したようにNYダウ先物が大幅安をたどっているほか、NY原油先物は逆に急騰するなど、金融市場全般に大きな影響が観測されている。イランからの報復の動きなどを含め、続報には十分に注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、ドルの下値トライはダマシの公算が大きいと予想していたのだが、意に反してドルは続落。東京時間には108円前後まで値を下げてきた。まずは、東京で下げ止まった108円レベルの攻防に要注意だが、下回ると昨年11月安値である107.89円、昨年8月安値104.44円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%戻しにあたる107.70円レベルなどがターゲットに。
一方、材料的に見た場合、12月のISM製造業景況指数などの米経済指標が発表される予定となっているほか、昨年12月分のFOMC議事録要旨も公開される見込みだ。それらは、ともに要注意。ただ、本日は「第1週の金曜日」にあたるが、市場の関心がもっとも大きい経済指標ともいえる米雇用統計の発表は行われない。
なお、それとは別に米地区連銀総裁らによるパネル討論会など、当局者による発言機会も少なくないだけに、発言内容をめぐっては相場が乱高下するような展開もありそうだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.60-108.50円。ドル高・円安方向は、東京時間に下落後上値が徐々に重くなりつつある108.20-30円が最初の抵抗。超えれば、東京高値の108.60-65円、そして108.85-90円などを目指す。109円台がやや遠退いた感は否めない。
対するドル安・円高方向は、東京安値の108円レベルの攻防にまずは注視。下回ると昨年11月安値である107.89円、あるいは107.70円レベルなどがターゲットに。(了)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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