200日線も割り込む、ドルの下値余地拡大か
<< 東京市場の動き >>
31日の東京市場は、ドル続落。小幅ながら値を下げ、移動平均の200日線などが位置する108.70-80円を一時下回る局面も。
ドル/円は寄り付いた108.85-90円を日中高値にドルが弱含み。時間外で取引されているNYダウ先物は30-40ドル高と小高く推移したものの、ドル売りに歯止めが掛からなかった。108.70-75円では下方向のストップロスを巻き込んだこともあり、108.60-65円へと小幅に続落している。16時時点でも、そのまま日中のドル安値圏である108.65-70円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「北朝鮮情勢」と「米中通商協議」について。
前者は、28日から北朝鮮で連日行われている党中央委員会総会が思惑を呼ぶ。朝鮮中央通信を通じて金委員長が「国家の主権と安全保障の確保に向け、積極的かつ攻撃的な措置をとる」必要性を訴えたことが話題となるなか、異例ともいえる4日目の討議に入ったことが警戒感を醸す結果にも。実際、FOXテレビは、ポンペオ米国務長官が「朝鮮労働党中央委員会総会を注視している」と発言したと報じていた。
それに対して後者は、香港紙が「中国の劉副首相が1月4日から米国を訪問し、第1段階合意に署名する予定」と報じたうえ、ナバロ米大統領補佐官から「米中交渉の第1段階合意、来週あたりに署名する意向」との発言が聞かれている。ともに合意期待につながるポジティブ要因にもかかわらず、為替市場の反応はいまひとつ。むしろ、ドル売りが進行する結果に。
<< 欧米市場の見通し >>
年末・年始、東京勢が休暇を取る間隙を突く格好で、ドル/円はレンジを下放れてきた。テクニカルにも、目先のサポートと目された200日線を下回って推移しており、ドルの続落が懸念されている。まずは月間安値の108.43円、そして108.23円などをめぐる攻防に注意を払いたい。なお、昨年の年明け、やはり商いの薄いときに「フラッシュクラッシュ」と呼ばれるドルの暴落が起こったことは、いまだ記憶に新しい。可能性は低いと思われるものの、この年末・年始も同様の値動きに対するリスク管理もしっかりしておきたいところだ。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「米金融政策」、「ウクライナ疑惑」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」など気掛かりな要因は少なくない。いずれも注意を要するが、とくにとなると「北朝鮮情勢」と「米株の動き」か。後者については、時間外取引となった本日の東京時間はともかく、昨日のNY時間にNYダウは183ドルもの大幅続落となり、ドル売りを誘っていただけに、本日も米株の動きがドルの動きを左右する可能性もある。
テクニカルに見た場合、過去半月程度続いていたレンジ下限の109.20円レベルに続き、移動平均の200日線が位置する108.70-80円も割り込んでの推移となっている。ドルの下値リスクが広がった感を否めない。ちなみに、そんなドルの次の下値メドは月間安値の108.43円、そして108.23円などとなる。
ただ、早晩200日線を回復した場合、下値トライはダマシの公算が高まり、109円±50銭程度の新レンジを形成する可能性も。
一方、材料的に見た場合、10月のS&Pケースシラー住宅価格指数や12月の消費者信頼感指数といった米経済指標が発表される予定となっている。ちなみに、昨日発表された米経済指標は「シカゴ〜」が予想を上回った反面、「ダラス〜」は逆に予想を大きく下回った。つまり、まだら模様で決め手に欠けたが、本日も取引の薄い状況が予想されるだけに、予想外の数字が出た際などには思わぬ価格変動を誘発することもありそうだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.20-109.20円。ドル高・円安方向は、109円レベルをめぐる攻防にまずは注視。昨日欧米時間に下回ったのち、まともに回復しておらず、目先はすでに抵抗として寄与している感もある。超えた場合には、109.20円前後がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、月間安値である108.43円が次のサポートとして意識されている。割り込むようだと108.23円、そして108円など。底堅いイメージはいまもあるが、ドルの一段安進行にも一応要注意。(了)
*注;明日1月1日の「日報」は、お休みします。1月2日以降は通常通り発行しますので、よろしくお願いいたします。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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