ドル円見通し 109円台の持ち合いから抜け出せず(19/12/27)

12月13日高値109.70円超えは実現せずに27日未明へ失速している。

ドル円見通し 109円台の持ち合いから抜け出せず(19/12/27)

【概況】

ドル円は12月20日未明安値109.15円から12月23日朝高値109.53円まで戻した後はやや下げ、クリスマスを挟んで23日午後から26日早朝までは109.40円を中心にほぼ横ばいの小動きにとどまっていた。クリスマス明けの26日朝から株高継続を好感した買いに上昇して12月19日高値109.53円を突破し、26日深夜には109.68円をつけて12月16日と19日に付けた109.67円をわずかに上抜いたのだが、12月13日高値109.70円超えは実現せずに27日未明へ失速している。

【株高と同調しきれない状況をどうみるか?】

12月12日に米中通商協議の第1段階合意報道(トランプ大統領の承認)があり、また英国の総選挙で与党が大勝と報じられたために12日夜から13日夜にかけては当面のリスクオン優勢となって109.70円まで上昇、13日夜に合意内容が伝わって既発の追加関税引き下げ範囲等が限定的だったとしていったん下げたが、その後は株高継続に同調しきれずに109円台でほぼ横ばいのボックス型持ち合いに止まっている。

米国株式市場の楽観は12月26日も継続しており、NYダウは前日比105.94ドル高で立会中及び終値ベースでの史上最高値を更新、ハイテク中心のナスダック総合指数は前日比69.51ポイント高の9022.39となり10日連続の史上最高値更新、初めて9000台に到達している。

株高基調が続くリスクオン相場なら、通常はリスク回避の受け皿となる円は売られて株高と同調した円安へ進みやすいところだが、110円手前で何度も押し戻されており、株式市場と比較するとかなり慎重な動きとなっている。

米中通商協議の第1段階合意と英国総選挙での与党大勝により当面はリスクオンとして株式市場はかなり楽観的な動きだが、一方では前日に指摘した様に安全資産の代表であるゴールドが大上昇している。ドル円の上値が重いことと併せて考えると、米中通商協議の第2段階での対立再燃リスク、ブレクジットが1月末の離脱と英・EUの貿易協定を巡る協議での混乱懸念というやや先のリスク回避要因に対してゴールドは買われ、ドル円は上値が重いという状況に陥っているのかもしれない。因みに東京の金先物市場では12月26日夜に5326円(1g)をつけてこれまでの1983年1月上場以来の最高値だった9月5日の5304円を上抜いている。

中国商務省の高峰報道官は12月26日の定例会見で、米国側と密接に連携しており両国が現在も署名前に必要な手続きを進めていると述べた。12月24日にはトランプ米大統領が「取引は成立した。現在文書を翻訳中だ、速やかに署名するつもりだ」と述べており、署名へ向けて順調に進んでいるようだが、まだ首脳会談や署名の日程は公表されていない。

米労働省が12月26日に発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで22万2000件となり前週比1万3000件減少した。失業保険受給者総数は171万9000人で前週比6000人減少した。

【109円台での持ち合い放れ待ち】

ドル円は12月13日高値109.70円の後は新たな高値更新へ進めず、12月13日深夜安値109.20円を12月20日未明安値109.15円でわずかに割り込んだものの切り返しており、109円台での持ち合いが続いている。
10月17日に108.93円まで上昇した後に108円台序盤まで小持ち合いで推移してから高値を更新した前例もあるが、その時は9月18日高値を上抜いた後での小持ち合いだった。しかし今回は12月2日高値109.72円を12月13日には上抜けずに持ち合いとなっている点がやや異なる。
12月2日高値を上抜けば、現状の109円台での小持ち合いを上放れしての高値更新となり、上昇に勢いも付きやすいと思われる。株高が継続していればドル円としても株高に同調した円安基調でよいのだという市場心理も強まると思われ、その場合は110円突破から110.50円前後、さらに111円を伺う展開へ進んでも不思議ないと思う。

しかし12月2日高値を超えずに12月20日安値109.15円を割り込む場合は109円台持ち合いからの転落開始となり、12月9日安値108.40円を試し、さらに底割れの場合はダブルトップ形成による下落期入りへと進む可能性も浮上してくると思われる。年末年始で一段高へ進むのか、下落期入りの可能性が高まるのか、見定める必要がありそうだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは12月20日未明安値を前回のサイクルボトムとし、12月17日未明高値から4日目となる12月23日朝高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして25日の日中から27日にかけての間への下落を想定していた。26日朝時点では23日朝高値を超えない内は下落余地ありとし、23日朝高値超えからは強気サイクル入りとして26日の日中から30日朝にかけての間への上昇を想定するとした。26日の上昇で23日朝高値を上抜いたため、25日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。
ただし、既に23日朝高値からも4日目に入っているので、26日深夜高値でサイクルトップをつけた可能性があるため、109.50円割れを切り返す内は高値更新余地ありとするが、109.50円割れを切り返せずに続落する場合は下げ再開を疑い、25日夜安値109.25円割れからは新たな弱気サイクル入りとして12月30日夜から1月2日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月27日朝の下落で遅行スパンが悪化しているため下げ再開注意とみる。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパンが好転するところから上昇再開とみるが、先行スパンから転落の場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は26日深夜に70ポイントを超えたがその後の下落で50ポイントを割り込んでいるため、下げ再開の可能性が疑われる。55ポイント以上へ切り返す場合は上昇再開余地ありとみるが、50ポイント以下での推移が続く内は一段安警戒とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月25日夜安値109.25円を下値支持線、12月26日深夜高値109.68円を上値抵抗線とする。
(2)109.50円を割り込んでも切り返す内は上昇再開余地ありとし、109.68円を超える場合は110円試しへ向かうとみる。110円以上は反落注意だが、109.50円以上での推移なら週明けも高値試しを続けやすいとみる。
(3)109.50円以下での推移が続く場合は下向きとし、109.25円割れからは新たな弱気サイクル入りとみて年末年始への一段安を想定する。109円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、109円割れから続落の場合は12月9日安値108.40円を目指す流れと考える。

【当面の主な予定】

12/27(金)
18:00 (欧) ECB経済報告
25:00 (米) エネルギー省週間原油在庫

12/30(月)
23:45 (米) 12月 シカゴ購買部協会景気指数 (11月 46.3)
24:00 (米) 11月 住宅販売保留指数 前月比 (10月 -1.7%)
24:00 (米) 11月 住宅販売保留指数 前年同月比 (10月 3.9%)

12/31(火)
休場、日本、ドイツ
10:00 (中) 12月 国家統計局製造業PMI (11月 50.2)
10:00 (中) 12月 国家統計局サービス業PMI (11月 54.4)
16:00 (ト) 11月 貿易収支 (10月 -18.1億ドル)
23:00 (米) 10月 米連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (9月 0.6%)
23:00 (米) 10月 ケース・シラー米住宅価格指数 (9月 218.27)
23:00 (米) 10月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (9月 2.1%)
24:00 (米) 12月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (11月 125.5、予想 127.0)

1/1(水)
休場

1/2(木)
休場 日本、ニュージーランド、スイス
10:45 (中) 12月 財新製造業PMI (11月 51.8)
17:55 (独) 12月 製造業PMI改定値
18:00 (欧) 12月 製造業PMI改定値
18:30 (英) 12月 製造業PMI改定値
22:30 (米) 新規失業保険申請件数
22:30 (米) 失業保険継続受給者数
23:45 (米) 12月 製造業PMI改定値

1/3(金)
休場、日本
17:55 (独) 12月 失業者数 前月比 (11月 -1.6万人)
17:55 (独) 12月 失業率 (11月 5.0%)
22:00 (独) 12月 消費者物価指数速報値 前月比
22:00 (独) 12月 消費者物価指数速報値 前年同月比
24:00 (米) 11月 建設支出 前月比 (10月 -0.8%)
24:00 (米) 12月 ISM製造業景況指数 (11月 48.1)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

2020年のFOMC予定
1月28-29日、3月17-18日、4月28-29日、6月9-10日、7月28-29日、9月15-16日、11月4-5日、12月15-16日

2020年の日銀金融政策決定会合
1月20-21日、3月18-19日、4月27-28日、6月15-16日、7月21-22日、9月16-17日、10月28-29日、12月17-18日

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<年末年始のレポート配信について>

令和元年におけます執筆は、本日分を持ちまして終了致します。
今年も残りわずかとなりましたが、「FX羅針盤・ドル円見通し」を、
1年間購読頂きました事、厚く御礼申し上げます。

来年は1月6日(月)より再開致します。
より一段、ドル円の市場予測や分析レポートとしてお役立てできるよう
精進致しますので、引き続き、宜しくお願い致します。

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