ドル円見通し 再び110円に迫るが12月13日高値とのダブルトップ気配(19/12/17)

高値形成期は16日午前から18日午前にかけての間と想定されるが、米中協議合意報道による急伸だったためサイクルトップ形成が短縮される可能性がある。

ドル円見通し 再び110円に迫るが12月13日高値とのダブルトップ気配(19/12/17)

【概況】

米中通商協議が第1段階の合意に至るとの報道からドル円は12月12日深夜へ急伸して109円台を回復、さらに13日夜には109.70円をつけて12月2日高値109.72円に迫ったが高値更新には至らず、13日深夜は第1段階合意により12月15日からの双方による関税拡大は回避されたものの、既に実施済みの追加関税の税率が引き下げが一部に止まった事や、よりハードルの高い第2段階交渉が始まることへの不透明感から一旦反落して109.20円の安値をつけた。

12月16日は米中関連での大きな動きは見られなかったものの、11月の中国小売売上高が好調だったことで上海総合株価指数が0.56%高と上昇、欧州株式市場も英国総選挙での与党大勝による離脱問題の混乱回避への安心感から全面高となったことでNYダウは前日比100.51ドル高と上昇、12月11日からの4連騰となり終値ベース及び日中立ち合い中の史上最高値を更新した。株式市場は総じて楽観的と言える。

【経済指標】

12月16日の米経済指標はまちまち。ニューヨーク連銀が発表した12月のニューヨーク州製造業景況指数は3.5と11月の2.9から小幅に改善したが市場予想の4.0は下回った。全米ホームビルダー協会(NAHB)等が発表した12月の住宅市場指数は5ポイント上昇の76となり市場予想の70を上回り1999年以来の高水準となった。IHSマークイットが日発表した12月の米製造業PMIは52.5となり前月の52.6から低下したが市場予想と一致した。またサービス業PMIは52.2で前月の51.6から上昇して市場予想の51.9を上回った。

12月のユーロ圏製造業PMIは45.9と前月の46.9から低下して予想の47.3も 下回ったが、サービス部門PMIは前月から上昇し4カ月ぶりの高水準を付けて市場予想も上回った。
中国の11月小売売上高は前年同月比8.0%増となり前月の7.2%増から上昇、市場予想の7.6%を上回った。同鉱工業生産は6.2%増で前月の4.7%及び市場予想の5.0%を上回った。

【ドル指数は下落基調だが、リスクオン心理でドル円は上昇】

メジャー通貨の加重平均であるドル指数は12月12日への下落で10月21日安値を割り込んで10月1日からの下落が二段下げへと発展している。12日安値の後は新たな安値更新を回避しているものの安値圏に止まっている。株式市場の楽観を受けて債券が売られているため、米10年債だけでなくドイツ、フランス等の10年債利回りも上昇基調にあるため、欧米の金利差面ではドルが売られやすい状況にある。また株高によるリスクオン心理も投機通貨買いを助長するためにドル安へやや傾斜しやすくなっている印象だ。

ドル円にとっては株高と同調してのリスクオン心理でクロス円が円安に傾斜しやすくなっていることと、米10年債利回りが上昇気配となっていることはドル高要因だが、マイナス金利の日本10年債利回りも9月以降はジリ高基調にあるため、ここ4か月の日米10年債利回り格差は横ばいでのジグザグ程度のため円高を若干抑える程度の影響と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは12月4日安値108.41円、9日安値108.40円と12日安値108.44円をトリプルボトムとして強気サイクル入りした。12月11日午前高値を基準とすれば今回の高値形成期は16日午前から18日午前にかけての間と想定されるが、米中協議合意報道による急伸だったためサイクルトップ形成が短縮される可能性がある。また17日朝時点では13日夜高値と17日未明高値によりダブルトップを形成する可能性もある。
このため、12月13日深夜安値109.20円を上回る内は上昇余地ありとし、13日高値109.70円超えの場合はサイクルトップ形成の継続として17日夜から18日午前にかけての間への上昇を想定するが、13日深夜安値割れからは弱気サイクル入りとして17日の日中から19日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では遅行スパンが12日深夜の急伸で好転、13日深夜の反落で悪化、その後の反発で再び好転というように実線と交錯を繰り返している。先行スパンを上抜いた状況は維持されている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下げ再開注意として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月13日夜高値と17日未明高値がほぼフラットであるのに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行型となっている。相場が13日高値を超えて指数が70ポイント超えへ切り返すなら一段高感が強まるが、高値更新できずに50ポイント割れから続落の場合は下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月13日深夜安値109.20円を下値支持線、13日夜高値109.70円を上値抵抗線とする。
(2)ダブルトップ形成の可能性があるので108.50円以下での推移が続く場合は弱気転換注意とし、109.20円割れからはダブルトップ完成として弱気サイクル入りとし、109.00円次いで108.75円前後への下落へ進むとみる。109円以下は反発注意だが、109.20円以下での推移なら18日にかけても安値試しを続けやすいとみる。
(3)109.70円超えからはダブルトップ破りとなり、12月2日高値109.72円超えからは8月26日以降の高値更新となるため110円試し、さらに110円台前半へ向かう流れとみる。110円到達ではいったん売られやすいとみるが109.20円を割り込まないで推移する内は18日も高値を試す余地ありとみる。

【当面の主な予定】

12/17(火)
09:30 (豪) 豪準備銀行、金融政策会合議事要旨公表
18:30 (英) 11月 失業保険申請件数 (10月 3.30万件、予想 2.45万件)
18:30 (英) 10月 失業率・ILO方式 (9月 3.8%、予想 3.9%)
19:00 (欧) 10月 貿易収支・季調済 (9月 200億ユーロ)
19:00 (欧) 10月 貿易収支・季調前 (9月 170億ユーロ)
22:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、討論参加
22:30 (米) 11月 住宅着工件数・年率換算件数 (10月 131.4万件、予想 134.5万件)
22:30 (米) 11月 住宅着工件数 前月比 (10月 3.8%、予想 2.3%)
22:30 (米) 11月 建設許可件数・年率換算件数 (10月 146.1万件、予想 141.8万件)
22:30 (米) 11月 建設許可件数 前月比 (10月 5.0%、予想 -2.9%)

23:15 (米) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 -0.8%、予想 0.8%)
23:15 (米) 11月 設備稼働率 (10月 76.7%、予想 77.4%)
26:30 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演
26:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、記者会見

12/18(水)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合、1日目
未 定 P(英) 英中銀金融政策委員会(MPC)、1日目
06:45 (NZ) 7-9月期 四半期経常収支 (前期 -11.06億NZドル)
08:50 (日) 11月 通関貿易統計・季調前 (10月 173億円、予想 -3500億円)
08:50 (日) 11月 通関貿易統計・季調済 (10月 -347億円、予想 -570億円)
16:00 (独) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 -0.2%、予想 0.1%)
17:30 (欧) ラガルドECB総裁、講演
18:00 (独) 12月 IFO企業景況指数 (11月 95.0、予想 95.4)
18:30 (英) 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 -0.2%、予想 0.2%)
18:30 (英) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 1.5%、予想 1.5%)
18:30 (英) 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 1.7%、予想 1.6%)

18:30 (英) 11月 小売物価指数 前月比 (10月 -0.2%、予想 0.2%)
18:30 (英) 11月 小売物価指数 前年同月比 (10月 2.1%、予想 2.2%)
18:30 (英) 11月 生産者物価コア指数 前年同月比 (10月 1.3%)
19:00 (欧) 10月 建設支出 前月比 (9月 0.7%)
19:00 (欧) 10月 建設支出 前年同月比 (9月 -0.7%)
19:00 (欧) 11月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
19:00 (欧) 11月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 1.3%、予想 1.3%)
19:15 (米)ブレイナードFRB理事、講演
26:40 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、質疑応答

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