ドル円見通し イベントが多く動きにくいが上値は重い(週報12月2週)

今週はいよいよ12月最大のイベント集中ウィークとなりますが、すべて週後半に予定されているため週前半は動きにくくなってきそうです。

ドル円見通し イベントが多く動きにくいが上値は重い(週報12月2週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、週初のトランプ大統領とロス商務長官の発言から、今週末に予定されている対中制裁関税の猶予が今後も続くのかどうかに懸念を生じさせることとなり、ドル円は連日のリスクオフによる円買い戻しの動きが目立ちました。週半ば以降は目立った材料も無く横方向へもみあいの動きとなっていましたが、発言だけでなく直近のところで円売りポジションがやや積みあがっていたことによるポジション調整も大きかったと考えられます。

これは金曜の米国雇用統計が全般に強かったものの、後場以降の動きがじり安となり週末を前に改めてポジション調整が入ったものと考えられますが、週末のトランプ大統領の発言を気にした動きであったとも考えられそうです。今週はいよいよ12月最大のイベント集中ウィークとなりますが、すべて週後半に予定されているため週前半は動きにくくなってきそうです。

イベントを順に見ていくと、11日(水)には今年最後のFOMCの結果が発表されますが、現在の金利水準を更に下げることは米国経済自体がそれほど弱くないことを考えると考え難いところです。トランプ大統領はFRBに対して色々と言ってはいますが、基本的に考慮外です。もしも米中協議が今回も決裂ということにでもなれば、年明け以降のFOMCで予防的な利下げの検討はありそうですが、まずは協議の進展を見極めてからの話です。

12日(木)には英国の下院総選挙があります。世論調査では保守党が勝利し合意ある離脱というコンセンサスからポンドが買われる動きとなってきましたが、出口調査の結果が世論調査と一致するかどうかが注目材料となります。そして、同日にはECB理事会が開かれますが、先日のラガルドECB総裁の発言からはドラギ前総裁の緩和政策を継続していく流れが確実視されていることを考えると、こちらはあまり重要視されないでしょう。今週の金融政策決定会合は、どちらも現状維持で相場変動要因とはならないと見ています。

13日(金)には日銀短観が発表されますが、これは来週の日銀会合を前に重要なものとなります。大企業製造業のDIは過去3四半期連続で悪化していますが、今回も悪化が見込まれていて、場合によってはマイナスとなる予想も出ています。また3か月後の先行き見通しでは、10月の消費増税の影響から更なる悪化も考えられ、そうなると来週の日銀会合における追加緩和の議論が本格化する可能性があります。ちなみに、非製造業は前回9月時点では良好でしたが、今回はこちらも悪化が見込まれています。米国、欧州に続いて日本も追加緩和の流れへと動くのかどうか要注目です。

そして、週末ですが15日(日)は対中制裁関税の残りの部分が発動される予定となっていましたが、米中協議の進展や米国内の消費者への影響を考え現在は発動猶予となっています。これまでは、米中協議の進展からこの発動は無いという見方でしたが、先週初あたりから中国に対する圧力という面はあるにせよ、協議の進展が無い場合は制裁関税発動を示唆する発言が目立ちます。またトランプ大統領も協議の長期的継続に言及していることから、もしも今週の協議が米国にとって納得できないものであった場合、関税発動の可能性はあり得ると構えていた方がよいでしょう。

これまでも、土壇場での協議決裂や、ブラジルやアルゼンチンへのアルミ・鉄鋼関税再開、ドイツへはNATO拠出金と貿易問題を結びつける等、以前に比べて貿易摩擦を強めようとしていることは確かです。米国民に向けてのプロパガンダと中国に対するブラフと見る向きが多いのですが、そうでなくても市場参加者は楽観に傾いてきていたのが、これまでの動きですから株式市場も為替市場もポジション調整が出る場合は今週もリスクオフ方向に出やすいということだけはたしかでしょう。

次にテクニカルです。日足チャートをご覧ください。

今回はさすがにサポートラインの引き直しはする必要が無いと思います。8月の年初来安値からの上昇ウェッジ(ピンク)を先週の下げで下抜けたと見てよいでしょう。そして、8月安値と12月初の高値の押しを計算すると、先週の安値圏は23.6%押しとほぼ一致を見ています。しかし、23.6%は調整を考えるにはかなり小さい値幅ですから、通常は38.2%押しを考えるのですが、これは107.71レベルとなっています。上値が重くなってきた場合のターゲットとしては107円台後半を考えることとなります。

いっぽうで上値については抜けたウェッジのサポートラインがレジスタンスになりますので、今週は同ラインが109円前後を上昇中となりますので、109円台では既にドル売りオーダーが見えることとも併せて、109円はレジスタンスと見てよいでしょう。

今週は動きが出るとすれば下げやすいという観点で107.80レベルをサポートに109.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の週間見通し

ドル円(日足)

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

12月9日(月)
06:45 NZ7〜9月期製造業売上高
08:50 本邦7〜9月期GDP改定値
08:50 本邦10月貿易収支(国際収支)
16:00 ドイツ10月貿易収支


12月10日(火)
07:05 豪中銀総裁講演
09:30 豪州11月企業景況感
10:30 中国11月CPI・PPI
16:45 フランス10月鉱工業生産
18:30 英国10月貿易収支、鉱工業生産
19:00 ドイツ12月ZEW景況感
22:30 米国7〜9月期非農業部門労働生産性改定値
24:00 イタリア中銀総裁講演
**:** FOMC(〜11日)

12月11日(水)
08:30 豪州12月消費者信頼感
17:00 南ア11月CPI
20:00 南ア10月小売売上高
22:30 米国11月CPI
24:30 週間原油在庫統計
28:00 FOMC結果発表
28:30 パウエルFRB議長会見


12月12日(木)
16:00 ドイツ11月CPI
16:45 フランス11月CPI
17:30 スイス中銀政策金利発表
18:30 南ア11月PPI
19:00 ユーロ圏10月鉱工業生産
20:00 トルコ中銀政策金利発表
21:45 ECB理事会
22:30 ラガルドECB総裁会見
22:30 米国11月PPI
22:30 米国新規失業保険申請件数
26:30 カナダ中銀総裁講演
**:** EUサミット
**:** 英国総選挙

12月13日(金)
08:50 日銀短観
16:00 トルコ10月鉱工業生産
22:30 米国11月輸入物価指数
22:30 米国11月小売売上高
24:00 米国10月企業在庫
25:00 NY連銀総裁講演


12月15日(日)
**:** 米国対中制裁関税発動(猶予中)


前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月2日(月)
週明けのドル円は株高の動きとともに朝からリスクオンとなり、前場のうちに109.73レベルの高値をつけました。しかし、109.80?110.00にかけては実需売りも見られ高値圏で徐々に上値が重くなりながらのNY市場入り。NY市場に入ってすぐにトランプ大統領がブラジルとアルゼンチンに鉄鋼・アルミ関税適用を表明、さらにロス商務長官が米中通商協議での合意がない場合に大統領は関税引き上げと発言したことが追い打ちとなり、ダウが大幅安となりリスクオフの動きからドルが対円、対ユーロで売り込まれドル円は108.93レベルの安値をつけ、上値が重たい引けとなりました。

12月3日(火)
ドル円は前夜のトランプ大統領、ロス商務長官の発言を嫌気したリスクオフの動きに対して東京市場では株の買い戻しが入ったことから、ドル円でもドル買いが先行することとなりました。しかし、トランプ大統領が改めて米中合意が延期される可能性に言及し、欧州市場序盤以降は再び株価が下げに転じる動きとともにドル円も改めて売りが目立つ流れとなりました。NY市場ではロス商務長官が現在進行中の協議に変化が見られない場合は、対中関税を発動すると述べ株も為替もリスクオフが強まり、NYの後場には108.48レベルの安値をつけやや戻して引けました。


12月4日(水)
東京市場のドル円は前日の流れを受け上値の重たい展開となり、後場には一時108.43レベルの安値をつけました。しかし、欧州市場に入り15日を前に米中合意が近いとのニュースに反応して株価とともに反転上昇、NY市場では弱いADP全国雇用者数に一時的に押しは入ったものの、引けにかけては株高とともに108.96レベルまで上昇し、やや押して引けました。



12月5日(木)
ドル円は東京市場ではほとんど動かず、欧州市場に入ると中国商務省が米中通商協議は継続していることに言及すると若干リスクオンの動きとなりました。しかし109円台は回復できず、NY市場では下院議長が大統領弾劾の準備を進めているとの発言をしたことから108.65レベルの安値をつけました。引けにかけてはトランプ大統領が中国側と同様の発言をしたことでやや戻して引けました。


12月6日(金)
ドル円は目立った材料は無かったものの、NY市場が始まるまでは週末を前にしたポジション調整と米金利低下の動きも加わって上値の重たい展開が続きました。NY市場に入り発表された雇用統計が予想よりも強かったことから108.46レベルの安値から108.92レベルまで上伸。しかし、前日高値を超えられない中で、トランプ大統領は米中通商協議の合意準備がまだとの発言も入り、引けにかけては日中安値圏へとじり安の流れでの引けとなりました。

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