ドル円見通し 米雇用統計の強気サプライズと株高でも反騰入りできず(週報12月第2週)

12月6日夜に米労働省が発表した11月雇用統計では、非農業部門就業者数は前月比26万6000人増となり市場予想の18万人増を大きく上回った。

ドル円見通し 米雇用統計の強気サプライズと株高でも反騰入りできず(週報12月第2週)

ドル円見通し 米雇用統計の強気サプライズと株高でも反騰入りできず

【概況】

11月15日未明安値108.24円と11月21日午前安値108.26円をダブルボトムとした上昇で12月2日昼には109.72円をつけて8月26日以降の高値を更新したが、12月2日夜の米ISM製造業景況指数悪化と米中協議への不透明感から下落に転じて12月3日未明には109円台を割り込み、12月3日夜にはトランプ大統領発言が早期合意期待を後退させたとして108.50円割れまで一段安となり、12月4日午後には108.41円まで安値を切り下げた。
12月4日夕刻に早期合意が近いとのブルームバーグ報道からいったん戻しに入り、12月5日夜には108.99円をつけて109円に迫ったものの109円に乗せきれず、6日夜の米雇用統計前には108.52円まで失速していた。
12月6日夜の米雇用統計は事前予想以上に良好だったことから発表直後に108.91円までいったん反騰した。しかしこの反騰は続かずに失速し、下落基調のまま取引終了前に108.53円まで下げて雇用統計による反騰分を解消した。

【米雇用統計の強気サプライズよりも米中協議の時間切れ不安】

12月6日夜に米労働省が発表した11月雇用統計では、非農業部門就業者数は前月比26万6000人増となり市場予想の18万人増を大きく上回った。また10月の就業者数も当初の12万8000人増から15万6000人増へ上方修正された。失業率は11月の3.6%から3.5%へ低下して凡そ50年ぶりの低水準へ改善した。平均時給は前月比が0.2%上昇で予想の0.3%を下回ったが前月と変わらずで、前年同月比では3.1%の伸びで予想の3.0%を上回った。前年同月比の10月分は当初の3.0%から3.2%へ上方修正されたため10月からは伸びが鈍化したことになるものの良好さを維持した。

労働省雇用統計に先立って12月4日に発表されたADP民間雇用報告では就業者数が6万7000人増にとどまり10月の12万1000人増から低下して市場予想の14万人増も下回っていたため、労働省発表は市場にとって強気サプライズだった。またその後に発表された12月のミシガン大消費者信頼感指数も99.2となり前月の96.8から上昇、市場予想の97.0も上回ったため、12月2日に発表された11月の米ISM製造業景況指数が4か月連続で好不況の分岐点となる50を下回ったことによる米国の景気後退懸念が払拭された印象となった。
雇用統計から株式市場はリスクオン優勢となってNYダウは前日比337.27ドル高と大幅上昇した。株高による債券売りで米10年債利回りは1.84%となり前日から0.03%上昇した。また12月10-11日の米連銀のFOMCでも現状維持が濃厚となった。

しかし、ドル円は株高と同調しきれずに早々に失速した。雇用統計の強気サプライズよりも米中通商協議の見通しが立たないことへのリスク回避感が勝ったのだろうと思われる。
クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は6日にインタビューに答えて「トランプ米大統領は中国との通商協議における第1段階の合意文書に署名する準備はできていない」「現時点では決定は行われていない」と述べた。トランプ大統領は前日に12月15日の対中制裁関税第4弾を予定通り発動するかとの質問に対して「何か起こる可能性はあるがまだ議論していない」と述べていたが、6日時点でも何も決まっていない、トランプ大統領の腹一つという状況のままとなっている。クドロー委員長はまた「関税の見送りか発動かに関しては12月15日は引き続き非常に重要な日付だ」とも述べたが、現時点では12月15日前に合意するのか、15日を過ぎても協議継続として関税拡大発動を延期するのか、予定通りに関税拡大を発動して対立が深刻化して見通しが立たなくなるのか、いずれの可能性も残っている。株式市場は楽観的だが円相場はやや悲観的ということだろう。

【8月26日から上昇3か月、行き詰まりやすい時期】

【8月26日から上昇3か月、行き詰まりやすい時期】

8月26日底からの上昇も12月2日高値まで3か月、5.27円のドル高円安だった。しかし12月2日の日足は前日比0.50円下落の陰線で、3日が続落陰線、4日に安値を更新後にやや戻して小陽線、5日、6日と新たな安値更新は回避しているものの再び続落陰線となり上値の重い状況にある。
8月26日安値104.45円から10月3日安値106.50円、11月1日安値107.88円と底上げし、その後も11月14日(15日未明)安値108.24円へ底上げを維持してきた。この底上げを維持するうちは次の上昇で高値を切り上げてゆく可能性も継続するわけだが、底上げパターンが崩れる場合は上昇基調一巡による下落再開へ向かう可能性が高まるところだ。

すでに8月26日安値と10月3日安値及び11月1日安値を結ぶほぼ1直線の下値支持線は割り込んでいる。日足の相対力指数も9月以降の高値更新に対して指数のピークが切り上がらない弱気逆行状態が続いている。
凡そ3か月強の上昇ないしは高値圏維持の後、底上げパターンが崩れて下落期に入った前例は昨年12月6日安値を割り込んでの年末年始暴落、今年4月24日高値を付けた後に4月10日安値を割り込んで5月急落に転じたところでも見られる。このため、11月1日安値を割り込むところからはそれらと同様の下落期に入る可能性もあると警戒すべき日柄と形状ということができるのではないかと思う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)12月4日安値108.41円割れの場合、12月2日高値からの下落が5日夜への戻り一巡から二段下げ型に入るため、そのまま11月15日未明と11月21日午前のダブル底ラインも割り込んで下落を加速しやすくなるとみる。その場合、当初の下値支持線は11月1日安値107.88円、割り込めば10月3日安値106.50円等へと段階的に切り下がるか、米中通商協議決裂懸念が強まるようなネガティブ報道で急落商状に陥る可能性があるのではないかと注意する。
(2)12月4日安値割れ回避か、ないしは上記のダブル底ラインを割り込んでも11月1日安値割れを回避する状況で109円台回復へ戻す場合は、12月2日からの下落にいったん歯止めがかかったとみてもう一度12月2日高値109.72円試しへ向かうとみる。仮に米中関連でのポジティブ報道から高値更新へ進む場合は110円台中盤まで上値目途を引き上げるが、110円以上は反落警戒圏と考える。(了)<8日8:00執筆>

【当面の主な予定】

12/9(月)
06:45 (NZ) 7-9月期 製造業売上高 前期比 (前期 -0.7%)
08:50 (日) 10月 経常収支・季調前 (9月 1兆6129億円、予想 1兆8907億円)
08:50 (日) 10月 経常収支・季調済 (9月 1兆4852億円、予想 1兆7912億円)
08:50 (日) 10月 貿易収支・国債収支ベース (9月 11億円、予想 1441億円)
08:50 (日) 7-9月期GDP改定値 前期比 (速報 0.1%、予想 0.2%)
08:50 (日) 7-9月期GDP改定値 前期比年率 (速報 0.2%、予想 0.6%)
14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー現状判断DI (10月 36.7)
14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー先行判断DI (10月 43.7)
16:00 (独) 10月 貿易収支 (9月 211億ユーロ)
16:00 (独) 10月 経常収支 (9月 255億ユーロ)

12/10(火)
休場 タイ(憲法記念日)
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
07:05 ロウ豪中銀総裁、講演[シドニー]
08:50 (日) 11月 マネーストックM2 前年同月比 (10月 2.5%、予想 2.5%)
09:30 (豪) 11月 NAB企業景況感指数 (10月 3)
10:30 (中) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 3.8%、予想 4.2%)
10:30 (中) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 -1.6%、予想 -1.4%)
18:30 (英) 10月 月次GDP 前月比 (9月 -0.1%、予想 0.1%)
18:30 (英) 10月 鉱工業生産指数 前月比 (9月 -0.3%、予想 0.3%)
18:30 (英) 10月 鉱工業生産指数 前年同月比 (9月 -1.4%、予想 -1.2%)
18:30 (英) 10月 製造業生産指数 前月比 (9月 -0.4%、予想 0.2%)
18:30 (英) 10月 貿易収支・物品 (9月 125.41億ポンド、予想 -115.00億ポンド)
18:30 (英) 10月 貿易収支・全体 (9月 -33.60億ポンド、予想 -28.00億ポンド)
19:00 (独) 12月 ZEW景況感・期待指数 (11月 -2.1、予想 3.5)
22:30 (米) 7-9月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 -0.3%、予想 -0.1%)

12/11(水)
08:30 (豪) 12月 ウエストパック消費者信頼感指数 (11月 97.0)
08:50 (日) 10-12月期 BSI 大企業全産業業況判断 (前期 1.1)
08:50 (日) 10-12月期 BSI 大企業製造業業況判断 (前期 -0.2)
08:50 (日) 11月 国内企業物価指数 前月比 (10月 1.1%、予想 0.1%)
08:50 (日) 11月 国内企業物価指数 前年同月比 (10月 -0.4%、予想 0.0%)
16:00 (ト) 10月 経常収支 (9月 24.8億ドル)
22:30 (米) 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 0.4%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 1.8%、予想 2.0%)
22:30 (米) 11月 消費者物価コア指数 前月比 (10月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 2.3%、予想 2.3%)
28:00 (米) 11月 月次財政収支 (10月 -1345億ドル)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 1.50-1.75%、予想 1.50-1.75%)
28:30 (米) パウエル米連邦準備理事会議長、定例記者会見

12/12(木)
休場 メキシコ(バンクホリデー)
08:50 (日) 10月 機械受注 前月比 (9月 -2.9%、予想 -1.0%)
08:50 (日) 10月 機械受注 前年同月比 (9月 5.1%、予想 -3.2%)
16:00 (独) 11月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 -0.8%、予想 -0.8%)
16:00 (独) 11月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.1%、予想 1.1%)
17:30 (ス) スイス国立銀行 3カ月物金利誘導目標中心値 (現行 -0.75%、予想 -0.75%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 0.1%、予想 -0.2%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -1.7%、予想 -2.3%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 14.00%、予想 12.50%)

21:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ラガルドECB総裁、定例記者会見
22:30 (米) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 0.4%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 1.1%、予想 1.2%)
22:30 (米) 11月 生産者物価コア指数 前月比 (10月 0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 生産者物価コア指数 前年同月比 (10月 1.6%、予想 1.7%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.3万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 169.3万人)

12/13(金)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業製造業業況判断 (前期 5、予想 2)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業製造業先行き (前期 2、予想 4)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業非製造業業況判断 (前期 21、予想 16)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業非製造業先行き (前期 15、予想 15)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業全産業設備投資 前年度比 (前期 6.6%、予想 5.9%)
13:30 (日) 10月 設備稼働率 前月比 (9月 1.0%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 -4.2%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 -7.4%)

16:00 (ト) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 3.2%)
22:30 (米) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 -0.5%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 輸出物価指数 前月比 (10月 -0.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.3%、予想 0.4%)
22:30 (米) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 0.2%、予想 0.4%)
24:00 (米) 10月 企業在庫 前月比 (9月 0.0%、予想 0.2%)
25:00 ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁[FOMC投票権有]、学生向けに講演

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

2020年の為替相場を予想

FXが初めての方向け特集

円通貨ペア 為替チャート・相場予想

米ドル(USD)

米ドル(USD)相場の焦点
  • コロナウイルスの世界的感染拡大 長期金利の急速な低下
米ドル/円 通貨ペア 詳細分析

ユーロ(EUR)

ユーロ(EUR)相場の焦点
  • コロナウイルスの世界的感染拡大とイタリアでの蔓延 
ユーロ/円 通貨ペア 詳細分析

豪ドル(AUD)

豪ドル(AUD)相場の焦点
  • コロナウイルスの世界的感染拡大と中国経済の景気後退
豪ドル/円 通貨ペア 詳細分析

NZドル(NZD)

NZドル(NZD)相場の焦点
  • コロナウイルスの世界的感染拡大と中国経済の景気後退
NZドル/円 通貨ペア 詳細分析

トルコリラ(TRY)

トルコリラ(TRY)相場の焦点
  • トルコとロシア トルコとEUの関係悪化 コロナウイルスの世界的感染拡大
トルコリラ/円 通貨ペア 詳細分析

南アフリカランド(ZAR)

南アフリカランド(ZAR)相場の焦点
  • コロナウイルスの世界的感染拡大と中国経済の景気後退 原油価格暴落による資源国通貨売り ↑
南アフリカランド/円 通貨ペア 詳細分析

ライブ株価指数

政策金利表

ページトップへ戻る