ドル円、トランプ米大統領ツイートと冴えない米ISM指数を受けて急落。節目109円割れへ
海外時間の為替概況
2日(月)の外国為替市場でドル円は上昇後に急反落。米中合意期待を背景にアジア時間朝方にかけて約半年ぶり高値109.72を記録するも、5/30高値109.94や心理的節目110.00をバックに戻り売りが強まると、その後は、@中国政府が香港人権法案成立の対抗措置として「米軍機や米艦艇の香港立ち寄りの禁止」「米国に本部を置く複数のNGOへの制裁」を発表したこと、Aトランプ米大統領が「ブラジルとアルゼンチンから輸入する鉄鋼とアルミニウムに直ちに関税を課す」とツイートしたこと、B米・11月ISM製造業景況指数(結果48.1、予想49.2)や、米・10月建設支出(結果▲0.8%、予想0.4%)が市場予想を下回ったこと、C上記@からBを受けて米株安・米長期金利低下の流れが強まったこと等が重石となり、米国時間午後にかけては約1週間ぶり安値108.94まで下げ幅を広げました。尚、コンウェイ米大統領顧問より「年末までに中国と合意することは可能」との発言が見られましたが、市場の反応は限定的となっております。
ユーロドル相場は下落後に急反発。米国時間朝方に一時1.1003まで下げ幅を広げるも、心理的節目1.1000をバックに押し目買いが強まると、その後は、@中国政府による対抗措置発表や、Aトランプ米大統領による「ブラジルやアルゼンチンへ関税を課す」とのツイート、B冴えない米経済指標、C上記@からBを受けた米長期金利低下→ドル売りの流れが支援材料となり、米国時間午後にかけて、11/21以来となる高値1.1090まで上昇しました。もっとも、強力なレジスタンス1.1100を前に伸び悩むと(前回11/21に上値トライした際は1.1098で失速)、引けにかけて小反落。本稿執筆時点(日本時間4時20分現在)では1.1080近辺で推移しております。尚、ラガルドECB総裁はこの日、「ユーロ圏経済は引き続き弱い」とハト派的なスタンスを滲ませましたが、市場の反応は限定的となりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は日本時間朝方に約半年ぶり高値109.72を記録するも、米中リスク再燃やグローバルな貿易戦争リスク、冴えない米経済指標の結果が重石となると、米国時間午後にかけて108.94まで急落しました。本稿執筆時点では一目均衡表転換線109.00やボリンジャーミッドバンド108.97、200日移動平均線108.92に下支えされる動きを見せていますが、同水準を割り込めば、テクニカル的に売りシグナルが点灯することとなります。本日アジア時間は、同水準を巡る攻防に注目が集まりそうです(海外時間のドル円急落が、単なる押し目なのか、上昇→下落へのトレンド転換なのかを見極める展開)。
ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米経済の先行き不透明感(ISM製造業景況指数が不冴えだったことで米経済を巡る悲観論が再燃)、C米中協議を巡る先行き不安(中国政府が香港人権法案成立の対抗措置を発表)、D世界的な貿易戦争リスク(トランプ米大統領によるブラジルやアルゼンチンへの関税賦課ツイート)など、ドル安・円高に繋がり易い材料が増えつつあります。
ドル円はファンダメンタルズ的に「下落」リスクが警戒されるも、テクニカル的にはまだ判断がつかない状況です(単なる押し目なのか、上昇→下落へのトレンド転換なのか見極めが難しい)。本日アジア時間は、米中を巡るヘッドラインやグローバルな株価動向を睨みながらも、200日移動平均線を試す動きが予想されます。同水準を割り込んだ場合は、ドル円が108円ミドルまで一段安となる可能性もある為、ダウンサイドリスクに特に注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:108.50ー109.50
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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