ドル高継続か、5月23日以来の110円台も(週報12月第1週)

先週のドル/円は、ドルが一段高。およそ半年ぶりの高値を一時記録しただけでなく、週足チャートをみると「週初安・週末高」の様相で、ドルの強さが際立つ格好だった。

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ドル高継続か、5月23日以来の110円台も(週報12月第1週)

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先週のドル/円は、ドルが一段高。およそ半年ぶりの高値を一時記録しただけでなく、週足チャートをみると「週初安・週末高」の様相で、ドルの強さが際立つ格好だった。

先週末の11月23日午前0時に失効される可能性があった日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は土壇場で延長が決定。また、24日に実施された香港区議会(地方議会)選挙は、中間集計で民主派が親中派に圧勝見通しと伝えられるなか、週明けの為替市場がオープンした。
ドル/円は前週末のNYクローズと大差ない108.55-60円で寄り付き、結局同レベルが週間を通したドルの安値圏に。以降は、ジリジリと上値を切り上げる展開をたどり、週末には週間高値の109.67円を示現。これは5月30日以来のドル高レベルだった。その水準からはさすがに小緩んだが、週末NYもドルは高値圏を維持、109円半ばで取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米中通商協議」と「それ以外の米中情勢」について。
前者は、週末に中国の習国家主席から、米中通商協議に関して「第1段階の合意に向けて努力したい」との発言が聞かれたうえ、中国紙である環球時報が「第1段階の合意は近い」と指摘。さらには、新華社通信が「中国の劉副首相が、米通商代表部のライトハイザー代表やムニューシン米財務長官らと電話で協議を実施」としたうえで、「貿易問題の解決に向けて共通認識にいたった」と報じたことが進展期待を煽る格好となり、週間を通したドルの買い要因に。

しかし、「米中通商協議」への進展期待が一段と高まった反面、香港や台湾、ウイグルなどの情勢をめぐっては両国の対立が深刻化している。たとえば、米紙による「中国、米本土射程の大陸間弾道ミサイル『東風41』の発射試験を実施」との報道、あるいは米国務長官が発した「ウイグル内部文書は中国による人権蹂躙の証拠」とするコメントに加え、週末には掛けては香港情勢、とくにトランプ米大統領の署名待ちだった「香港人権法案」が成立したことに中国が強く反発、報復の可能性を示唆するなど双方の小競り合いがさらに厳しくなった。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は先週末にかけて109.67円を記録、約半年ぶりのドル高値を示現している。上方向に位置していたテクニカルポイントの多くを上抜けてきており、リスクは間違いなくドル高方向にバイアス。ポジションの偏りは気掛かりだが、早ければ今週中にも110円の心理抵抗をトライする可能性もあるだろう。ちなみに、年初来高値112.40円を起点としたフィボナッチによると、61.8%戻しにあたる109.35円レベルを超えてきたことで、次は76.4%戻しの110円半ばがターゲットとなる。

材料的に見た場合、「米貿易問題」、「米金融政策」、「ウクライナ疑惑」、「トルコ・シリア情勢」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」など注目すべき要因は依然として目白押し。そのいずれも警戒を要するが、とくにとなると香港やウイグル情勢などを含めた「米中情勢」と、「米ファンダメンタルズ」か。
後者は、先々週に発表された米経済指標はおおむね斑模様だったが、先週発表された同指標は良好な内容が多く、それが米中通商協議進展期待と合わさり、ドルの一段高に繋がっていた面も取り沙汰されている。それだけに、今週も週末に発表される11月の米雇用統計などが再び好数字を記録するようだと、さらなるドル高が進展しても不思議はない。

テクニカルに見た場合、過去10年の11月相場は7勝3敗で「ドル高有利」だったが、値幅こそ小さかったが今年も「ドル高・円安」で12月を迎えている。
そうした過去の経験則を参考にすれば、本日からの12月相場も引き続きドル高優勢か。ドルは月内を通し堅調に推移する可能性もある。なお、一連のドル高進行のなか、5月23日以来となる110円を超えるだけでなく、ヒョッとすると112.40円、年初来高値に接近するような展開もあるだろう。

今週は11月のISM製造業景況指数や同雇用統計、12月のミシガン大消費者信頼感指数速報値など注目の米経済指標が数多く発表される予定となっている。先でも指摘したように、先週発表された指標が総じて良好だったことから、今週の指標も好数字が相次げばさらなるドル高を支援する一因となりそうだ。
そのほか、3-4日に実施されるNATO首脳会議や5日からのOPEC関係会議などにも一応注意しておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、108.50-110.50円。ドル高・円安については、先週高値109.67円をめぐる攻防にまずは注視。しっかり超えれば、心理抵抗の110円そしてフィボナッチで重要な110円半ばなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、これまで抵抗として長く寄与してきた移動平均の200日線(108.90-95円)が最初のサポート。ただ、割り込んでも底堅そうで、107円台はすでにかなり遠くなったイメージだ。

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