来週の為替相場見通し『米中関連報道に振り回される神経質な展開が継続』(11/16朝)

ドル円は週後半にかけて約2週間ぶり安値108.25まで急落しましたが、結局108円台後半まで持ち直しての越週となっております。

来週の為替相場見通し『米中関連報道に振り回される神経質な展開が継続』(11/16朝)

米中関連報道に振り回される神経質な展開が継続

今週のレビュー(11/11−11/15)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初109.20で寄り付いた後、翌12日に週間高値109.31まで上昇しました。しかし、米中を巡る先行き不透明感が重石になると(※トランプ米大統領は先週末金曜日に「米国は何も合意していない」と発言)、@香港情勢の悪化や、Aトランプ米大統領によるFRB批判、B同氏による「米中合意は近いが、決裂なら関税引き上げ」との発言、C米・10月消費者物価コア指数(結果2.3%、予想2.4%)の予想比下振れ(※但し、米・10月消費者物価指数は前年同月比1.8%と予想の1.7%を上回る結果)、

D米ウォールストリートジャーナル紙による「米中貿易交渉は農産物の購入を巡り暗礁に乗り上げた(U.S.ーChina trade talks have hit a snag over agricultural purchases)」との一部報道、E中国の主要経済指標(鉱工業生産や小売売上高)の冴えない結果、F英フィナンシャルタイムズ紙による「米中は貿易合意(第1段階)の取りまとめで難航」との報道、G上記DFを嫌気した株安・債券高の動き(米10年債利回りは11/12に記録した1.959%から11/14には1.805%へ急低下)が重石となり、ドル円は週後半にかけて、11/4以来、約2週間ぶり安値となる108.25まで急落しました。

もっとも、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が、「米中合意は近い」と発言すると再び反発に転じ、週末にかけては、米中合意期待再燃→株高(米主要株価指数は市場最高値更新)の動きが強まる中、リスク選好の円売りが活発化。ドル円は108円台後半まで持ち直し、本稿執筆時点(16日午前4時30分時点)では108.84付近で推移しております。

<ユーロドル相場>

今週のユーロドル相場は、週初1.1022で寄り付いた後、@メルシュECB理事による「経済のリスクは引き続き下向き」との発言や、AデギンドスECB副総裁による「一段の行動を起こす用意があり、必要に応じて一段の措置を実施する」との言及、B欧米貿易摩擦を巡る警戒感(=11/13にトランプ米大統領が「間もなく対EUの自動車関税を引き上げるか判断する」と発言)、CレーンECB理事による「金融緩和政策は貿易収支へポジティブな効果」との発言等が重石となり、週央にかけては、10/10以来、約1ヶ月ぶり安値となる1.0989まで下落しました。

しかし、同水準(1.0990エリア)では押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、Dドイツ経済がリセッション入りを免れたこと(ドイツの第3四半期GDPが前期比0.1%プラスと2四半期連続のマイナスを免れた)や、Eオランダ中銀ノット総裁が「非伝統的政策に一段と慎重になる必要がある」との見解を示したこと、Fフランス中銀ビルロワドガロー総裁が「ECBの政策金利は底入れしつつある」と述べたこと、G米長期金利低下を受けて対主要通貨でドル売りが進んだこと等が支援材料となり、ユーロドルは週後半にかけて持ち直す展開に。11/15には、週間高値となる1.1057を記録し、本稿執筆時点(16日午前4時30分現在)でも、高値圏での推移が続いております。

来週の見通し(11/18−11/22)

<ドル円相場>
ドル円は週後半にかけて約2週間ぶり安値108.25まで急落しましたが、結局108円台後半まで持ち直しての越週となっております。年初来安値104.45(8/26)を起点とした中期サポートライン(108.65近辺、添付チャートの緑色のライン)割れはひとまず「騙し」の形状となっており、むしろ下値の堅さを印象付ける結果となりました。108.25まで下落する過程で短期ロング勢のロスカットが一巡した可能性が高く、ポジションが軽くなった分、テクニカル的には「上がり易い」状況が生まれたと判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策格差(利下げに踏み切ったFOMCと、追加緩和の見送りを決めた日銀)や、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米経済の先行き不透明感、C香港情勢の緊迫化、D米中協議を巡る先行き不透明感など、ドル安・円高に繋がり易い材料が残っています。特に上記Dについては、楽観と悲観が二転三転するなど、最終合意に至るまでは予断を許さない神経質な状態が続くと考えられます(今週末に予定されている米中閣僚級電話会議の結果次第では、来週初から荒れる恐れもあり)。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的に「底堅さ」を見せつつも、ファンダメンタルズ的な「弱さ」が続伸を阻む展開が続いております。米中関連報道は二転三転しており、結果次第でリスクオンにもリスクオフにもなり得る不安定な状態です。来週は特段重要視される経済イベントが予定されておらず、市場参加者の関心は米中関連報道に集まりそうです。米中合意期待が高まれば、109.50の再トライ(11/7高値109.49、11/8高値109.48)が見込まれますし、米中合意期待が後退すれば、108.00割れ(11/14安値108.25、11/1安値107.89)の可能性も視野に入ります。米中を巡るヘッドラインを睨みながらの神経質な展開が続くと予想いたします。(今週の予想レンジ:107.50ー110.00)

<ユーロドル相場>
ユーロドルは週後半にかけて約1ヶ月ぶり安値1.0989まで下落するも、結局1.10台半ばへ切り返しての越週となりました。今回止められた1.0990近辺は10月前半(10/3−10/9)に幾度となく続伸を阻ばまれた強力なレジスタンスポイントでもあり、従来のレジスタンスがサポートに転換する(ロールリバーサル)典型的な相場展開となっております。テクニカル的に見て、「下値は堅い」と整理できます。

一方、ファンダメンタルズ的に見ると、@米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスクや、Aユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感、Bイタリアの財政悪化問題、C英国を巡る先行き不安、Dドイツの政局不透明感、EECBによる追加緩和観測など、ユーロ売りに繋がり易い材料は沢山残っています。特に上記@については、トランプ米大統領が11/13に「間もなく対EUの自動車関税を引き上げるか判断する」と発言していることもあり、予断を許さない状況が続いております。また、上記Aについても、11/22のユーロ圏・11月製造業PMIや、同サービス業PMIの結果次第で、「欧州経済を巡る悲観論再燃→ECBによる追加緩和観測→欧州債利回り低下→ユーロ売り」の流れに繋がる恐れもあり、警戒が必要です。

以上の通り、ユーロドルはテクニカル的に「底堅さ」を示しつつも、ファンダメンタルズ的な「弱さ」が続伸を阻む展開が続くと予想されます。足元、やや良好な欧州経済指標や、タカ派的な当局者コメントが見られるものの、ユーロ買いでの反応は限定的であり、一巡後の反落リスクが警戒されます。ユーロ圏経済指標や、欧米貿易摩擦を巡るヘッドラインに留意しつつも、来週は上値の重い展開が続くと予想いたします。(ユーロドルの予想レンジ:1.0900−1.1125)

米中関連報道に振り回される神経質な展開が継続

ドル円日足

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