ドル円見通し NYダウは楽観的に史上最高値更新だがドル円は米中協議不透明感で下落(19/11/14)

夜間の一段安で14日未明には108.65円まで安値を切り下げている。

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ドル円見通し NYダウは楽観的に史上最高値更新だがドル円は米中協議不透明感で下落(19/11/14)

【概況】

ドル円は11月8日未明に109.48円をつけて8月26日以降の高値を更新したが、8日夜高値が109.47円に止まってダブルトップ気配となり、その後は米中協議に対する不透明感も再燃したために下落している。11月1日夜の米雇用統計が良好だった事をきっかけに反騰に転じ、先週は丸1週間の上昇だった。しかし週明けから市場の気分が変わることも多いが、今週は前週の逆で下落基調となっている。11月11日夜に108.89円まで下げてから12日夕刻に109.29円までいったん戻したが、13日午前に108.96円をつけて11日安値を割り込み、さらに夜間の一段安で14日未明には108.65円まで安値を切り下げている。

【株式市場は楽観だがクロス円はやや悲観先行】

トランプ米大統領は11月12日のNY講演で、米中通商協議「第1段階」の合意文書の署名は近いうちに実現すると述べたが首脳会談の開催時期や場所についての具体的な言及をしなかった。また米国有利な条件でしか合意しないとし、合意できなかった場合には追加関税を発動すると強硬姿勢を示した。それでも交渉を有利に進めようとする牽制的な意味合いとして株式市場はさほど悲観しなかったが、クロス円市場では前週の楽観的上昇に対する反動もあり、先行き不透明感が再燃しているとして円高反応となった。

13日には米中が農産物購入を巡り暗礁に乗り上げたと米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが報道した。中国側が農産物輸入に関する数値目標に難色を示しているという。NYダウはこの報道直後にいったん下げたが早々に切り返して立ち合い中及び終値ベースの史上最高値を更新する楽観ぶりだったが、ドル円は一段安へ反応した。13日には米下院でトランプ大統領のウクライナ疑惑に関する公聴会もあって大統領弾劾の動きが意識されたこと、香港でのデモ激化等も重なったため、株式市場のようには楽観できずにリスク回避的な円高となったようだ。
NYダウは前日比92.10ドル高の2万7783.59ドルで終値の史上最高値を2日ぶりに更新し、立ち合い中高値としても2万7806.40ドルをつけて史上最高値を更新した。一方でリスク回避感がやや勝った債券市場では長期債が買われ、米10年債利回りは0.05%低下の1.89%となり1.90%台から転落している。

【パウエル米連銀議長の議会証言】

米連銀のパウエル議長は11月13日に議会上下両院合同経済委員会で証言した。議長は現在の金融政策が適切である公算が大きいとして当面は追加利下げを行わずに現状維持で様子見に入る姿勢を示した。また今年3回の利下げにより米経済は非常に良い状況にあるとし、持続的な景気拡大と好調な労働市場及び2%目標近辺のインフレ率を実現する公算が大きいと述べて景気後退への懸念を否定した。トランプ大統領が主張するマイナス金利導入についても「米経済は強くマイナス金利は不適切」と否定した。発言内容は想定で市場の反応は限定的だったが、史上最高値を更新している株式市場には景気後退感の払拭としてプラスに働き、ドル円にとっては米国の低金利状態が当面は続くとしてドル売り圧力となった印象だ。

米労働省が発表した10月の消費者物価指数は前月比0.4%上昇で市場予想の0.3%及び前月の0.0%を上回った。エネルギーと食料品を除いたコア指数は0.2%上昇で予想と一致し、前月の0.1%上昇から上向いた。前年同月比では全体が1.8%上昇で予想の1.7%を上回り、コア指数は2.3%上昇で予想の2.4%を若干下回ったが、総じて予想に近い数字として市場の反応は限定的だった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月7日昼安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしてきたが、11月8日未明高値を8日夜高値で上抜けずに失速したために両高値をダブルトップとして弱気サイクル入りとして12日の日中から14日昼にかけての間への下落を想定した。
12日午後へいったん戻してから11日夜安値を割り込んでいる事と前回ボトムから5日目に入るため、11日夜安値をやや短縮されたサイクルボトムとし、12日夕高値を同サイクルトップとした新たな弱気サイクル入りと仮定する。ボトム形成期は14日夜から18日夜にかけての間と想定する。109円以下での推移中は一段安警戒とし、109円超えからは強気転換注意とするが新たな強気サイクル入りは12日高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では13にch意の下落で遅行スパンが悪化し、13日夕刻の反発では先行スパン突破に失敗して転落状況が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパンが好転する場合も先行スパンが抵抗となりやすいとみる。強気回復は両スパン揃って好転するところからとする。

60分足の相対力指数は30ポイント台から60ポイント台までのレンジ推移に止まっているが11日安値を割り込んでの一段安に対しては指数のボトムが切り上がる強気逆行はみられないのでまだ一段安余地ありとみる。50ポイント超えからは上昇再開余地ありとするが、60ポイント前後では戻り売りにつかまりやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月14日未明安値108.65円を下値支持線、108.90円から109.00円までを上値抵抗線とみておく。
(2)108.90円以下での推移中は一段安警戒とし、14日未明安値割れからは108.50円、次いで108.25円前後へ段階的に安値を試す流れとみる。また108.80円以下での推移中は15日にかけても安値を試しやすいとみる。
(3)109円手前では戻り売りにつかまりやすいとみるが、109円台回復、維持となる反発からは上昇再開の可能性ありとして12日高値109.29円試しとする。ただし、11月8日から12日へ戻り高値が切り下がってきているため、12日高値に迫っても超えずに109円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

11/14(木)
11:00 (中) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 7.8%、予想 7.8%)
11:00 (中) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 5.8%、予想 5.4%)
13:30 (日) 9月 第三次産業活動指数 前月比 (8月 0.4%、予想 1.1%)

16:00 (ト) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -2.8%)
16:00 (独) 7-9月期GDP速報値 前期比 (前期 -0.1%、予想 -0.1%)
16:00 (独) 7-9月期GDP速報値 前年同期比 (前期 0.4%、予想 0.4%)
16:00 (独) 7-9月期GDP速報値・季調前 前年同期比 (前期 0.0%、予想 0.8%)
18:30 (英) 10月 小売売上高・除自動車 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
18:30 (英) 10月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (9月 3.0%、予想 3.4%)
18:30 (英) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.0%、予想 0.2%)
18:30 (英) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 3.1%、予想 3.7%)
18:45 (欧) デギンドスECB総裁、講演
19:00 (欧) 7-9月期GDP改定値 前期比 (前期 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP改定値 前年同期比 (前期 1.1%、予想 1.1%)

22:30 (米) 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 -0.3%、予想 0.3%)
22:30 (米) 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 1.4%、予想 0.9%)
22:30 (米) 10月 生産者物価コア指数 前月比 (9月 -0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 生産者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.0%、予想 1.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.1万件、予想 21.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.9万人、予想 168.5万人
23:10 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
24:00 (米) パウエルFRB議長、下院予算委員会証言
25:45 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、アジア経済政策会議挨拶
26:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
26:20 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
28:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 7.75%、予想 7.50%)

11/15(金)
休場、ブラジル(共和制宣言記念日)
13:30 (日) 9月 設備稼働率 前月比 (8月 -2.9%)
13:30 (日) 9月 鉱工業生産確報値 前月比 速報 1.4%)
13:30 (日) 9月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 1.1%)
16:00 (ト) 8月 失業率 (7月 13.9%)
19:00 (欧) 9月 貿易収支・季調済 (8月 203億ユーロ、予想 187億ユーロ)
19:00 (欧) 9月 貿易収支・季調前 (8月 147億ユーロ)
19:00 (欧) 10月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 0.7%、予想 0.7%)
19:00 (欧) 10月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 1.1%、予想 1.1%)

22:30 (米) 10月 輸入物価指数 前月比 (9月 0.2%、予想 -0.2%)
22:30 (米) 10月 輸出物価指数 前月比 (9月 -0.2%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 11月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (10月 4.0、予想 6.0)
22:30 (米) 10月 小売売上高 前月比 (9月 -0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 小売売上高・ 除自動車 前月比 (9月 -0.1%、予想 0.4%)
23:15 (米) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -0.4%、予想 -0.4%)
23:15 (米) 10月 設備稼働率 (9月 77.5%、予想 77.1%)
24:00 (米) 9月 企業在庫 前月比 (8月 0.0%、予想 0.1%)

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