【概況】
ドル円は11月1日夜の米雇用統計が良好だった事をきっかけに下げ止まり、米中協議進展期待が高まる中で11月6日未明には109.24円まで上昇し、11月7日の中国商務省による米中両国の段階的な追加関税撤廃合意表明から一段高となって11月8日未明には109.48円まで高値を切り上げた。しかしその後は米中合意へ向けた首脳会談の日程や米政権側からの合意確認等の続報がなかったために上値が抑えられ、11月8日夜高値も109.47円に止まって先週を終えた。
週明け11月11日は米国市場がベテランズデーで新たな材料が乏しい中で11日夜には108.89円まで下げたものの109円割れは買い戻された。
11月12日は深夜のトランプ大統領による講演での発言が注目される中、12日午後には109.29円まで戻したものの、その後は講演前のポジション調整的な動きでジリ安となり、トランプ大統領講演ではドル円にとっての強気サプライズとなる内容がなかったとして108.92円まで下落した。
金融市場全般もトランプ講演に対する反応は限定的だった。NYダウは11月7日に27774.67ドルの立会い中高値で史上最高値を更新し、その後は高値更新に至っていないものの、終値ベースでは11月7日から8日、11日と史上最高値を更新してきた。12日は立ち合い中高値で27770.86ドルをつけて7日高値に迫ったものの超えられなかったが、終値は前日の史上最高値と変わらずで高値圏を維持した。
米10年債利回りも前日比変わらずの1.94%だったが、11月7日につけたこの間の最高値1.97%に近い水準を維持している。
【トランプ大統領講演、新鮮味無し、早期合意への確信も持てず】
トランプ米大統領は12日にニューヨークのエコノミック・クラブで講演した。米連銀の金融政策については従来からの批判姿勢を継続してマイナス金利を導入すべきだと述べた。米中通商協議については中国との「第1段階」の合意署名に近づいていると述べたものの、「米国及び米国労働者に恩恵をもたらす合意でない限り承認しない」とし、「合意に至らなければ対中関税を大きく引き上げる」とも述べた。
講演内容は総じてトランプ大統領がこれまで繰り返し発言してきた姿勢を踏襲したもので、市場にとっては特段のサプライズ内容は無かった。中国との第1段階合意について、米中首脳会談の日程や場所等についてより踏み込んだ発言を行えば市場が合意間近との確信を持てたのだろうが、今回の講演内容では具体的内容には踏み込まなかったために市場のリスクオン心理をより全開にするほどの反応を呼び込まなかった。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円60分足
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月7日昼安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしてきたが、11月8日未明高値を8日夜高値で上抜けずに失速したために両高値をダブルトップとして弱気サイクル入りとして12日の日中から14日昼にかけての間への下落を想定した。
12日午後へいったん戻してから反落しているためまだボトム形成への一段安余地ありとみる。また11日夜安値を割り込む場合は11日夜安値を短縮された直近のサイクルボトムとして底割れから新たな弱気サイクル入りとなり、ボトム形成期が延長される可能性も検討される。ただし、12日午後高値超えからは強気サイクル入りとして13日の日中から15日にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では12日午後へ戻したところでは遅行スパンが好転し、先行スパンからも上抜けたが、12日夜の反落で遅行スパンが再び悪化、先行スパンからも転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、12日午後高値を超えるところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は12日午後に60ポイント台へ上昇したが12日夜の反落で30ポイント台まで低下している。50ポイント以下での推移中はまだ一段安余地ありとするが、50ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみる。11月7日高は30ポイント台から70ポイント手前までの水準での往来が続いているが、30ポイント割れの場合は指数自身の支持線割れにより下落が加速しやすくなると注意する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月7日昼安値108.64円を下値支持線、12日午後高値109.29円を上値抵抗線とみておく。
(2)109円以下での推移中は7日昼安値試しとし、割り込む場合は108.50円前後試しを想定するが、108.50円前後は買い戻しも入りやすいとみる。ただし夜の米経済指標発表等から弱気反応となる場合は108.30円前後まで下値目処を引き下げる。また108.80円以下での推移なら14日の日中も安値を試しやすいとみる。
(3)109円台回復、維持でジリ高に入る場合はまず12日午後高値109.29円試しとするが、109.20円前後までで失速して109円を割り込む場合は下げ再開を疑う。109.29円超えからは強気サイクル入りとみて109.50円前後試しへ向かうとみる。仮に米経済指標等から強気反応で109.50円を超える場合は11月8日のダブルトップ破りとなるため上昇基調がさらに継続しやすくなり、先行き110円試しへ向かう流れと考える。
【当面の主な予定】
11/13(水)
10:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行 政策金利 (現行 1.00%、予想 0.75%)
16:00 (独) 10月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
16:00 (独) 10月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.1%、予想 1.1%)
18:30 (英) 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.1%、予想 -0.1%)
18:30 (英) 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 1.7%、予想 1.6%)
18:30 (英) 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 1.7%、予想 1.7%)
18:30 (英) 10月 小売物価指数 前月比 (9月 -0.2%、予想 -0.1%)
18:30 (英) 10月 小売物価指数 前年同月比 (9月 2.4%、予想 2.2%)
18:30 (英) 10月 生産者物価コア指数 前年同月比 (9月 1.7%、予想 1.5%)
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.4%、予想 -0.3%)
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -2.8%、予想 -2.3%)
22:30 (米) 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.0%、予想 0.3%)
22:30 (米) 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 1.7%、予想 1.7%)
22:30 (米) 10月 消費者物価コア指数 前月比 (9月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.4%、予想 2.4%)
25:00 (米) パウエルFRB議長、上下両院合同経済委員会証言
27:30 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、質疑応答
28:00 (米) 10月 月次財政収支 (9月 828億ドル、予想 -1330億ドル)
11/14(木)
08:50 (日) 7-9月期GDP速報値 前期比 (前期 0.3%、予想 0.2%)
08:50 (日) 7-9月期GDP速報値 年率換算 (前期 1.3%、予想 0.9%)
09:30 (豪) 10月 新規雇用者数 (9月 1.47万人、予想 1.60万人)
09:30 (豪) 10月 失業率 (9月 5.2%、予想 5.2%)
11:00 (中) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 7.8%、予想 7.8%)
11:00 (中) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 5.8%、予想 5.4%)
13:30 (日) 9月 第三次産業活動指数 前月比 (8月 0.4%、予想 1.1%)
16:00 (ト) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -2.8%)
16:00 (独) 7-9月期GDP速報値 前期比 (前期 -0.1%、予想 -0.1%)
16:00 (独) 7-9月期GDP速報値 前年同期比 (前期 0.4%、予想 0.4%)
16:00 (独) 7-9月期GDP速報値・季調前 前年同期比 (前期 0.0%、予想 0.8%)
18:30 (英) 10月 小売売上高・除自動車 前月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)
18:30 (英) 10月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (9月 3.0%、予想 3.4%)
18:30 (英) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.0%、予想 0.2%)
18:30 (英) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 3.1%、予想 3.7%)
18:45 (欧) デギンドスECB総裁、講演
19:00 (欧) 7-9月期GDP改定値 前期比 (前期 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP改定値 前年同期比 (前期 1.1%、予想 1.1%)
22:30 (米) 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 -0.3%、予想 0.3%)
22:30 (米) 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 1.4%、予想 0.9%)
22:30 (米) 10月 生産者物価コア指数 前月比 (9月 -0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 生産者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.0%、予想 1.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.1万件、予想 21.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.9万人、予想 168.5万人
23:10 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
24:00 (米) パウエルFRB議長、下院予算委員会証言
25:45 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、アジア経済政策会議挨拶
26:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
26:20 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
28:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 7.75%、予想 7.50%)
オーダー/ポジション状況
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