米中情勢注視しつつ、ドル高リスクは継続か(週報11月第2週)

先週のドル/円は、ドルが堅調裡。これまで超えられなかった8月高値109.32円を超えただけでなく、「週初安・週末高」の展開で、値幅以上にドルの強さが目についた。

米中情勢注視しつつ、ドル高リスクは継続か(週報11月第2週)

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先週のドル/円は、ドルが堅調裡。これまで超えられなかった8月高値109.32円を超えただけでなく、「週初安・週末高」の展開で、値幅以上にドルの強さが目についた。

前週末に、FOXビジネス・ネットワークがナバロ米大統領補佐官の発言として、「中国の構造的な問題に対応するために、通商合意は第3段階まで必要になる」と報じたほか、クドロー米NEC委員長から「FRB議長の解任話はまったくない」との発言が聞かれるなか、週明けの為替市場がオープンした。

ドル/円は、先週末のNYクローズと大差ないレベルで寄り付いた108.20円前後を週間安値に、右肩上がりの値動き。109円台を回復後、8月高値には届かず一度108円台へと押し戻されるも、週末に再トライし上抜け。週間高値の109.48円を示現している。米中貿易協議に対する楽観論や、NYダウが史上最高値を更新したことなどが好感されたという。週末NYは、そのままドルの高値圏を維持、109.25円レベルで取引を終え越週となった。

週間を通して注視されていた材料は、「英国情勢」と「米中貿易協議」について。
前者は、英下院が解散し12月12日総選挙に向けた選挙戦がいよいよ開始されるなか、英ブレグジット党党首はジョンソン氏に向け選挙協力を求める秋波を送るも、ジョンソン氏が拒否。これにより、首相率いる与党・保守党は、ブレグジット党と支持者の奪い合い、分裂選挙を演じることが濃厚に。そうしたなか、ケアンズ・ウェールズ相が、元側近が関わった事件をめぐり辞任するなど、政権としては不安を暗示させる選挙のスタートとなった。

対して後者は、日替わりのように材料が交錯し動静が読みにくい。週初には、ブルームバーグが「米中両国が、貿易交渉の事態打開に向けてさらなる進展があったことを示唆した」と報じていたほか、トランプ米大統領から「我々は合意に非常に近い」、ロス米商務長官も「中国との合意可能だとかなり楽観的」との発言が聞かれ、期待感が先行する展開。しかし、ロイターが「米中首脳会談による部分的貿易合意の署名は12月にズレ込む可能性」と指摘したことで、一時楽観論が一気に後退している。その後も、「米中、段階的な関税撤回に合意」とのニュースが伝えられた反面、「対中関税撤回、トランプ政権内部で強い反対に直面。まだ最終的な決定は下されていない」−−との報道もみられるなど、状況が二転三転したが、マーケット的にはややポジティブな見方をする向きが少なくないようだ。

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先週の米株、NYダウは史上最高値を更新するなど堅調に推移。確かにそれがドル高・円安を支援していた感を否めない。今週も米国を中心とした株価や金利次第だが、ポジティブな動きを続ければドルはさらに続伸、110円突破も視界内に捉えられそうだ。ちなみに、今年の年初来高値112.40円を起点とした大きな下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しは109.35円レベルで、76.4%戻しは110円半ば。前者を一時的には越えた感もあることからすると、テクニカル的には110円台回復も否定をできない。

材料的に見た場合、「米貿易問題」、「米金融政策」、「ウクライナ疑惑」、「トルコ・シリア情勢」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」−−に加え、一時下火になっていた「イラン情勢」も再び懸念要因として取り沙汰されている。いずれも要注意だが、目先とくに注意すべきはやはり「米中情勢」か。前述したように、先週も米中通商問題をめぐりマーケットは一喜一憂したものの、結果からすれば「合意期待高まる=ドル買い」ではあったが、「合意期待後退=ドル売り」にはあまり結びついていない印象だ。この週末にかけても、トランプ氏が「米国は中国に対する関税を完全に撤廃することには同意していない」と発言。また、「米中貿易協議の進展が遅すぎる、と記者団に述べた」との報道も別途観測されていたが、市場の反応は果たしてどうか。下値が限られれば、やはりリスクは上方向なのだろう。

巷では経験則に基づき、「年末にかけてドル高進行」−−という話が取り沙汰されている。確かに、そうした傾向はうかがえるのだが、よくよく調べてみると「12月にドル高が進行」するというより、「11月にドル高が進行する」というケースが多いようだ。実際、過去10年の11月のドル/円は7勝3敗の成績だった。
そして、11月のドル高の流れを維持し、12月も結果としてドル高になる傾向に動くことになる。今年も、そんな経験則に沿った値動きをたどるのか否か、今週あたりが正念場だ。

一方、材料的に見た場合、10月の消費者物価指数や同小売売上高、11月のNY連銀製造業景況指数など米経済指標の発表が少なくない。米経済指標は全般的にまだら模様で決め手に欠けることから、今週も発表される指標内容には注意を払いたい。
そのほか、今週も相次ぐ米地区連銀総裁などの講演、発言内容のほか、13日からとされる米下院における「ウクライナ疑惑をめぐる公聴会開始」の行方も気掛かりだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、108.20-110.20円。ドル高・円安については、先週示現した戻り高値109.48円の攻防に、まずは注視。しっかり超えれば、心理抵抗である110円が名実ともに意識されそうだ。5月23日以来、およそ半年ぶりの110台回復の行方は如何に!?
対するドル安・円高方向は、先週末にかけていよいよ上抜けた移動平均の200日線(109.00-05円)が最初のサポート。ただ、割り込んでも底堅そうで、週明けには108円半ばに位置する25日線近辺では取り敢えず下げ止まりそうなイメージも。

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