ドル円見通し 10月31日未明高値を超えてダブル天井破り、米中合意の続報待ち(11/8)

8日未明高値で109.48円をつけて11月6日未明高値109.24円及び10月31日未明高値109.28円を上抜いた。

ドル円見通し 10月31日未明高値を超えてダブル天井破り、米中合意の続報待ち(11/8)

【概況】

11月7日夕刻に中国商務省の高峰報道官が記者会見において「米中両国が協議の進み具合に合わせ、追加関税を段階的に撤廃することに同意した」と発言したとの報道から米中通商協議「第1段階」の合意文書署名実現の可能性が高まったとして金融市場全般がリスクオン優勢となってドル円は急騰に転じ、8日未明高値で109.48円をつけて11月6日未明高値109.24円及び10月31日未明高値109.28円を上抜いた。

10月31日未明高値は米連銀のFOMCで今年三度目の利下げが決定されたものの当面は利下げを打ち止めとして様子見に入る姿勢が示されたことでの上昇だったが、早計な利上げ姿勢への変更はないとされたために買い一巡から下落に転じた。さらに米中協議での先行き不透明感を示唆する報道もあって31日夜に大幅続落となり、11月1日午前には107.88円まで下げた。31日未明高値からの下げ幅は1.40円となり、8月26日安値と10月3日安値を結ぶ上昇トレンドの支持線ギリギリのところとなったが、11月1日の米雇用統計が良好だったことで揺れ返しの上昇に入った。米中協議進展期待報道もあって11月6日未明まで続伸したが、その時点では10月31日高値を上抜けず、11月6日は米中協議の先行き不透明感が再び報じられたために反動安となり、7日昼には108.64円まで失速していた。

【中国が合意に条件をつけ、米国側はまだ公式見解出せず?】

中国商務省の高峰報道官は7日夕刻の記者会見で、米中双方が制裁関税を段階的に互いに比例する形で撤回することで合意したと発表した。詳細には言及しなかったが、この報道をうけて両国が合意に達すると市場は受け止めてリスク選好の反応となりドル円は急伸し始めた。
中国側の発言主旨は、第1段階の合意が成立するには両国が追加関税を同時かつ同じ規模で撤廃する必要があるというものであり、合意への条件提示ともいえるが、交渉は大詰めに入り合意署名も間近ということでの会見発言と受け止めた。

しかしその後、米国政府側からの公式な言及はなく、米政府関係者の匿名の話として、追加関税の段階的撤回が第1段階の合意の一部になるが交渉は継続中との報道があり、追加関税を段階的に撤廃する合意については米政権内や外部の顧問から激しい反対論が出ているとの報道もなされた。トランプ大統領や米政府高官による公式の発言は確認されていない。
昨年6月の様に、閣僚級合意がトランプ大統領の一声でご破算となった経緯もあるので、米政府高官による中国側会見内容を肯定する発言や、トランプ大統領が合意に達して署名するとツイートする等の追認がないうちは、大詰めの交渉が行き詰まる可能性もまだ残る。

NYダウは前日比182.24ドル高の上昇で2日ぶりに史上最高値を更新、株高債券売りで米10年債利回りは一時1.973%をつけて8月1日以来の高水準へ上昇する等、株式及び債券市場は合意間近との期待感が先行しているが、ドル円は8日未明高値の後は小反落しており、109.50円超えからさらに続伸という流れには至っていない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月1日午前安値を直近のサイクルボトムとして11月5日の日中から7日未明にかけての間への上昇と109円前後試しを想定してきたが、11月6日未明に31日未明高値へ迫ってからの反落で109円を割り込んだために、7日朝時点では11月6日未明高値を直近のサイクルトップとした。またボトム形成期は1日午前安値を基準として、6日の日中から8日午前にかけての間だろう。既にボトムをつけての反騰注意期にあり、109円超えから続伸の場合は強気転換注意として、6日未明高値超えからは新たな強気サイクル入りとした。
11月8日未明へ一段高したため、7日昼安値を直近のサイクルボトムとする。トップ形成期は9日未明から13日未明にかけての間と想定されるが、米中関連報道による乱高下の可能性もあるので、109円割れからは弱気転換注意として7日昼安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして12日から14日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7日夜への急伸で遅行スパンが好転して先行スパンも突破している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、新たな高値更新へ進めないと夜間からは遅行スパンも悪化しやすくなるため、遅行スパン悪化からは下げ再開を警戒して安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は8日未明への上昇で70ポイント台に到達したが、その後はやや下げている。6日未明高値形成時からは指数のピークが切り下がっているので弱気逆行となる可能性はあるが、50ポイント台を維持するか、いったん割り込んでも60ポイント以上へ切り返す場合は8日未明高値超えからさらに一段高する可能性ありとし、50ポイント割れから続落の場合は下げ再開注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.00円を下値支持線、11月8日未明高値109.48円を上値抵抗線とする。
(2)109円以上での推移中は上昇余地ありとみる。8日未明高値を上抜く場合、6日未明から7日昼への下げ幅の倍返し109.84円、及び11月1日から6日未明への上昇幅並の二段上げとして110.00円等を目指すとみる。また株高円安がさらに加速する楽観的相場展開に入る場合は、10月31日未明高値から11月1日への下げ幅の倍返しとなる110.68円を目指す可能性も出てくると考える。
(3)109円前後では押し目買いも入りやすいとみるが、109円割れから続落の場合は下げ再開注意として7日昼安値試しを想定する。米中合意が再び暗礁に乗り上げるような報道で急落商状の場合や、週末から週明け早々の展開で7日昼安値を割り込む場合は11月1日安値への揺れ返し的な下落へ向かう可能性もあると注意する。

【当面の主な予定】

11/8(金)
未 定 (中) 10月 貿易収支・米ドル建て (9月 396.5億ドル、予想 408.3億ドル)
未 定 (中) 10月 貿易収支・人民元建て (9月 2751.5億元、予想 2833億元)
14:00 (日) 9月 景気先行指数CI速報値 (8月 91.9、予想 92.2)
14:00 (日) 9月 景気一致指数CI速報値 (8月 99.0、予想 101.0)
16:00 (独) 9月 貿易収支 (8月 162億ユーロ、予想 195億ユーロ)
16:00 (独) 9月 経常収支 (8月 169億ユーロ、予想 191億ユーロ)
24:00 (米) 9月 卸売在庫 前月比 (8月 0.2%、予想 -0.3%)
24:00 (米) 9月 卸売売上高 前月比 (8月 0.0%、予想 0.1%)
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数 (10月 95.5、予想 95.9)
25:45 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演

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