ドル円見通し 10月31日未明高値を上抜けないまま109円割れに(11/7)

新たな安値更新には至っていないが109円台回復から上値を目指す流れへ進めずにいる。

ドル円見通し 10月31日未明高値を上抜けないまま109円割れに(11/7)

【概況】

11月5日は米中協議進展期待やISMのサービス業景況指数が予想より良かったことでNYダウが連日の史上最高値更新となり、株高債券安により米10年債利回りが上昇したためにドル高となり、ドル円は109円を突破して6日未明には109.24円をつけて10月31日未明のFOMC声明発表直後につけた高値109.28円に迫ったが、あと一歩届かなかった。
11月6日の日中は急騰一服による利食い先行でやや押される展開で、109円を割り込んだところは買い戻されて109円を挟んだ揉み合いで推移していたが、米中協議の第1段階合意の署名が12月へずれ込むとの報道からリスク回避感がやや強まって深夜には108.81円まで下げた。その後は新たな安値更新には至っていないが109円台回復から上値を目指す流れへ進めずにいる。

米労働省が発表した7〜9月期の非農業部門労働生産性速報値は季節調整済み年換算で前期比マイナス0.3%低下となり市場予想のプラス0.9%を下回った、前年同期比はプラス1.4%だった。インフレ指標の単位労働コストは前期比3.6%上昇でと予想の2.2%上昇を上回り、前年同期比では3.1%上昇だった。
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は「米FRBの政策はデータ次第だが、経済成長を維持するためには先手先手で対応すべき」と述べたが、当面は様子見しつつも経済指標が悪化する兆しがあれば利下げで先手を打つという、追加利下げへの理解ある姿勢と思われる。

【米中協議の行方、まだ紆余曲折】

ロイター通信は6日、米中貿易協議の「第1段階」合意に署名するための首脳会談が12月にずれ込む可能性があると報道した。米政府高官筋の話として、条件や開催地を巡る協議が続いているという。報道によると「現状では第1段階の合意が達成しない可能性もまだ残されているが、達成する確率の方がより高い」と高官筋は述べている。中国側が合意署名に際しては米国による制裁関税の撤廃を求めていることも交渉を長引かせているようだ。11月5日の中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は消息筋の話として、米国が12月15日に発動予定としている対中関税第4弾の見送りと、昨年から既に導入済みの関税の撤回を約束しない限り、中国は第1段階の交渉に合意しないとの見方を報じている。

米国側は12月3日と4日のNATO首脳会議に合わせて米中首脳会談をセットしたいようだが、まだまとまっていない。前日までは月内合意署名の可能性を期待刺せる報道が続いていたが市場にはトーンダウンと受け止められた。2日続けて史上最高値を更新していたNYダウは前日比0.07ドル安とわずかな下落だが4日ぶりの反落となった。米10年債利回りは0.03%低下で1.83%。
米中協議については土壇場までわからないと思う。昨年6月の閣僚級合意がトランプ大統領の一声でつぶされた経緯もある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月31日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、11月1日午前安値からの反騰により5日朝時点では1日午前安値でやや短めのサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたとみて、トップ形成期を5日の日中から7日未明にかけての間とし、上値目処を109円前後試しとした。11月6日未明には10月31日未明高値へと迫り、1日午前からの上昇も丸3日を経過したために6日朝時点では10月31日未明高値とのダブルトップ形成から反落に転じる可能性があるとし、109円台を維持するか一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとしたが、109円割れから続落の場合は弱気転換注意とした。

6日深夜に108.81円まで下げ、その後も反騰しきれずにいるため、6日未明高値を直近のサイクルトップとする。ボトム形成期は1日午前安値を基準として6日の日中から8日午前にかけての間と想定されるので、既にボトムをつけての反騰注意期にあるが、109円超えから続伸へ進めない内は一段安余地ありとみる。109円超えから続伸の場合は強気転換注意とし、6日未明高値超えからは新たな強気サイクル入りとして9日未明から13日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では6日深夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンに潜り込み始めているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げが加速しやすいと注意する。両スパン揃って好転するところからは上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り返す。

60分足の相対力指数は5日未明への上昇で80ポイントに到達してからは80ポイント前後を抵抗として横ばいとなっていたため、6日朝時点では弱気逆行型を形成している印象とした。40ポイント台へ低下してきているので、60ポイント超えへ戻せない内はまだ一段安余地ありとし、60ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.81円を下値支持線、109.10円を上値抵抗線とする。
(2)109円以下での推移中は一段安余地ありとする。11月1日午前からの上昇幅に対する半値押しが108.56円、3分の2押しが108.33円のため、108.81円割れからは108.50円前後試しへ向かうとみる。108.50円以下は反発注意だが、108.80円以下での推移が続く内は7日夜から8日朝にかけての間へ続落しやすいとみる。
(3)109円超えから続伸の場合は強気転換注意として6日未明高値109.24円試しとする。当初109.20円以上は反落注意とするが、10月31日高値109.28円も超えて続伸となる場合は109.50円から109.75円にかけてのゾーンへ上値目処を引き上げる。また109円以上での推移なら8日にかけて上昇継続しやすいとみる。

【当面の主な予定】

11/7(木)
16:00 (独) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.3%、予想 -0.4%)
16:00 (独) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -4.0%、予想 -4.4%)
21:00 (英) イングランド銀行 政策金利 (現行 0.75%、予想 0.75%)
21:00 (英) 英中銀資産買取プログラム (現行 4350億ポンド、予想 4350億ポンド)
21:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
21:00 (英) 英中銀イングランド銀行、四半期物価報告
21:30 (英) カーニー英中銀総裁、発言
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.8万件、予想 21.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 169.0万人、予想 168.3万人)
27:05 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演
29:00 (米) 9月 消費者信用残高 前月比 (8月 179.0億ドル、予想 150.0億ドル)

11/8(金)
未 定 (中) 10月 貿易収支・米ドル建て (9月 396.5億ドル)
未 定 (中) 10月 貿易収支・人民元建て (9月 2751.5億元)
08:30 (日) 9月 全世帯消費支出 前年同月比 (8月 1.0%)
09:10 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
09:30 (豪) 豪準備銀行 四半期金融政策報告
14:00 (日) 9月 景気先行指数CI速報値 (8月 91.9)
14:00 (日) 9月 景気一致指数CI速報値 (8月 99.0)
16:00 (独) 9月 貿易収支 (8月 162億ユーロ)
16:00 (独) 9月 経常収支 (8月 169億ユーロ)
24:00 (米) 9月 卸売在庫 前月比 (8月 0.2%)
24:00 (米) 9月 卸売売上高 前月比 (8月 0.0%)
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数 (10月 95.5、予想 96.0)
25:45 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演

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