来週の為替相場見通し 『日米金融政策格差がドル円の重石に』(10/26朝)

週間高値と週間安値の差がわずか53銭に留まるなど、方向感を見出しづらい時間帯が続いております。

来週の為替相場見通し 『日米金融政策格差がドル円の重石に』(10/26朝)

来週の為替相場見通し 『日米金融政策格差がドル円の重石に』

今週のレビュー(10/21−10/25)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、@英国情勢の不安定化(英国を巡る先行き不透明感→ポンド円急落→ドル円連れ安)を背景に、週央にかけて、108.25まで下落しました。しかし、一目均衡表・転換線付近で下げ渋ると、A英ポンドが反発に転じたことや、B米主要株価指数が底堅く推移したこと、C地政学的リスクが後退したこと(トルコの停戦合意)、D米中協議の進展期待(ライトハイザー米通商代表部代表やムニューシン米財務長官が中国の劉鶴副首相と会談を行なったこと)が支援材料となり、週末にかけて、高値108.78まで上昇しました。もっとも、FOMC(米連邦公開市場委員会)や日銀金融政策決定会合を翌週に控えて様子見ムードも根強く、108円台後半では伸び悩む展開に。週間高値と週間安値の差がわずか53銭に留まるなど、方向感を見出しづらい時間帯が続いております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、@ドイツ・9月生産者物価指数(結果0.1%、予想▲0.1%)が市場予想を上回ったことを背景に、約2ヶ月ぶり高値1.1180まで上昇しました。しかし、A英国情勢が不安定化すると、英ポンドの下落に連れてユーロドルも下落。Bユーロ圏・10月消費者信頼感指数(結果▲7.6、予想▲6.7)や、Cドイツ・10月製造業PMI(結果41.9、予想42.0)、Dユーロ圏・10月製造業PMI(45.7、予想46.0)が軒並み冴えない結果となったことや、EECB定例理事会にてドラギ総裁がユーロ圏経済の「下振れ」懸念を強調したこと等が重石となり、週末にかけては、安値1.1073まで下落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局1.1081付近での越週となっております。

尚、ドラギECB総裁最後となるECB定例理事会では、市場予想通り、@主要政策金利の据え置き(0.00%→0.00%)、A預金ファシリティ金利の据え置き(▲0.50%→▲0.50%)、B限界貸出金利の据え置き(0.25%→0.25%)、Cフォワードガイダンスの据え置き(インフレ見通しが目標水準に強く収束するまで、金利を現行水準またはそれ以下に留める)、D11/1より月額200億ユーロの国債買い入れ再開することが明らかとなりましたが、市場の反応は限定的となっております。

来週の見通し(10/28−11/1)

<ドル円相場>
ドル円は、108円台半ばを中心に方向感に欠ける値動きが続いております。ダウンサイドは、一目均衡表転換線108.48や、10/23安値108.25、ボリンジャーミッドバンド108.02が下支えし、トップサイドは、10/17高値108.94や、心理的節目109.00、200日移動平均線109.07が続伸を阻みます。これらの水準を明確に突破しない限り、方向感を見出すのは難しいと考えられます。

一方、ファンダメンタルズ的に見ると、@英国情勢の先行き不透明感や、Aトランプ米大統領を巡る弾劾リスク、B世界経済の減速懸念、C米中を巡る不確実性(11/16ー11/17のAPEC首脳会議で米中が署名を行うまで予断を許さない)、D中東の地政学的リスク(※10/23にトルコがシリア北部での停戦を恒久化する方針を示し、トランプ米大統領がトルコへの制裁を解除すると表明したことで、トルコを巡る地政学的リスクが幾分低下)、E日米金融政策格差(追加利下げが織り込まれる米国と、副作用を警戒して追加緩和に二の足を踏んでいる日銀との金融政策の方向性の違い)など、ドル売り・円買いに繋がり易い材料が引き続き多く残っています(リスクは依然ダウンサイド)。事実、上記Eについては、10/24付けで、「日銀は来週の金融政策決定会合で追加緩和を見送る方針」と報じられております。

こうした中、来週は日米の金融政策イベントに注目が集まります。10/29ー10/30のFOMC(米連邦公開市場委員会)では25bpの追加利下げが予想されておりますが、市場はすでにこれを織り込んでいる為、焦点は「更なる追加利下げの可能性を滲ませるか否か」となりそうです。当方では、(年内)追加利下げ余地を残すと見ており、市場は緩和的な金融政策を好感する形でリスク選好的な地合い(一定の円売り圧力)が残ると予想されます。但し、追加利下げを示唆した場合は、米長期金利が伸び悩む(ドル売り材料)と見られることから、「円売り」と「ドル売り」が綱引き状態となり、ドル円の反応は限定的なものに留まりそうです。一方、利下げ打ち止めを示唆した場合は、株価の急落を通じて円高圧力が強まる恐れがあります。

次に10/30ー10/31に予定されている日銀金融政策決定会合では、一部で追加緩和観測が燻るものの、当方では金融政策の据え置きを予想いたします。理由としては、@為替相場水準に懸念がないこと(円高懸念が後退している)、A金融緩和に伴う副作用を回避したいことの2つが挙げられます。追加緩和カードに乏しい日銀は、追加緩和の可能性に含みを残しつつも(市場に一定の期待を残しつつも)、行動に移さない「時間稼ぎ」の期間が続くと考えられます。追加緩和見送り決定後は、失望感からやや円高圧力が強まる可能性があります。

以上の通り、来週のドル円は、ファンダメンタルズ的な弱さや、日米金融政策格差を背景に、反落リスクが警戒されます。米国ファンダメンタルズ(第3四半期GDPや、9月雇用統計、9月ISM製造業景気指数など)が冴えない結果となったり、英国や米中を巡るネガティブサプライズが報じられれば、予想外にドル円が下落する可能性も想定されます。当方ではドル円の反落をメインシナリオとして予想いたします。(今週の予想レンジ:107.00ー110.00)

<ユーロドル相場>
ユーロドルは、約2ヶ月ぶり高値圏から振るい落とされる展開となりました。週末にかけては、心理的節目1.11丁度や、90日移動平均線、一目均衡表雲上限を割り込むなど、テクニカル的に見て、上値の重さが意識されるチャート形状となりつつあります。ファンダメンタルズ的に見ても、@米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスクや、Aユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感(ドラギECB総裁もユーロ圏景気の下振れリスクを指摘)、Bイタリアの財政悪化問題、C中東を巡る地政学的リスク、D英国の合意なき離脱リスク、Eドイツの解散総選挙リスクなど、不安材料は山積みです。

以上の通り、ユーロドルはテクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも上値の重さが意識されます。ユーロ圏の消費者物価指数や第3四半期GDP、米FOMCや、米雇用統計、米ISM製造業景気指数など欧米の主要経済指標、英国を巡るヘッドラインを睨みながらも、来週は続落リスクに警戒が必要でしょう。当方では、ユーロドルの下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、ドラギECB総裁は10/31付で退任し、11/1よりラガルド新総裁が就任します。(ユーロドルの予想レンジ:1.0950−1.1200)

来週の為替相場見通し 『日米金融政策格差がドル円の重石に』

ドル円日足

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