来週の為替相場見通し 『本日の英議会採決次第で来週の為替市場は大荒れの展開も』(10/19朝)

本日開催される英議会採決が否決に終われば、週明けのドル円相場は窓を開けて急落するシナリオが想定されます

来週の為替相場見通し 『本日の英議会採決次第で来週の為替市場は大荒れの展開も』(10/19朝)

今週のレビュー(10/14−10/18)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初108.36で寄り付いた後、@米中閣僚級協議を「部分合意」で終えたことに伴う「sell the fact」の動きや、A中国・9月輸出(前年比3.2%減)及び9月輸入(前年比8.5%減)が大幅に減少したこと、Bトルコやシリアを巡る地政学的リスクが極度に高まったこと等が重石となり、週明け欧州時間にかけて、週間安値108.04まで下落しました。しかし、心理的節目108円割れが阻まれると、その後は、Cトランプ米大統領による「米中通商協議の合意文書を作成中」との発言や、D英合意なき離脱リスクの後退(英国政府と欧州連合が離脱協定案に合意し、EU27カ国の首脳が全会一致で承認)を受けた英ポンド円急伸→ドル円連れ高の流れが支援材料となり、10/17には、8/1以来、約2ヶ月半ぶり高値となる108.93まで上昇しました。

もっとも、109円割れが阻まれると、週末にかけて再び反落。冴えない米経済指標(米小売売上高、米鉱工業生産、米フィラデルフィア連銀指数、米住宅着工件数など)が相次いだ他、週末10/19の英議会採決を巡る不確実性、クラリダFRB副議長による「米経済は良好ながら明確なリスクに直面している」とのハト派的な発言なども重石となり、結局、108.40台まで押し戻されての越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1043で寄り付いた後、@ドイツ政府が2020年のGDP成長見通しを1.0%(従来は1.5%)へ引き下げたこと等が重石となり、翌10/15に、一時1.0991まで下げ幅を広げました。しかし、1.10割れでは押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、その後は、A英合意なき離脱リスクの後退(英国政府と欧州連合が離脱協定案に合意し、EU27カ国の首脳が全会一致で承認)を受けた英ポンド買い→ユーロ連れ高の流れや、B冴えない米経済指標を(米小売売上高、米鉱工業生産、米フィラデルフィア連銀指数、米住宅着工件数など)受けたドル売りの流れ、Cドイツの主要株価指数(DAX)の約1年2ヶ月ぶり高値更新(昨年8月以来)、Dドイツのメルケル首相が率いるCDU(キリスト教民主同盟)が財政出動の可能性を滲ませたこと、E一部英系メディアが「ボリス・ジョンソン英首相は離脱協定案の承認に十分な支持票を獲得した可能性がある」との報道が支援材料となり、週末にかけて、8/26以来、約2ヶ月ぶり高値となる1.1166まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、高値圏1.1160台での越週となっております。

来週の見通し(10/21−10/25)

<ドル円相場>
ドル円は、10/3安値106.48をボトムに切り返すと、10/4安値106.58→10/7安値106.69→10/8安値106.82→10/9安値106.93→10/10安値107.17→10/11安値107.85→10/14安値108.04→10/15安値108.15→10/16安値108.57と、9営業日連続で下値を切り上げる力強い動きが続きました。この間、ボリンジャーミッドバンドや、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線など、主要テクニカルポイントを軒並み突破するなど、テクニカル的に見て「下値の堅さ」が強く意識されます。但し、今週後半にかけては、10営業日ぶりに前日安値を割り込む動きが見られた他(10/16安値108.57→10/17安値108.47→10/18安値108.39)、心理的節目109円突破も阻まれました(109円台前半に位置する200日移動平均線109.07や8/1高値109.33をバックに戻り売りが強まったことが背景)。来週は一巡後の反落リスクが警戒されます。

ファンダメンタルズ的には、@英国と欧州連合が合意にこぎつけたことで、「合意なき離脱リスクの後退→リスク選好の円売り」の流れが見られるものの、本日(10/19)の英議会採決を巡る不透明感は未だ残存しており、まだまだ油断はできない状況です(英議会審議及び採決は本日10/19の日本時間17:30から22:30)。Aトランプ米大統領を巡る弾劾リスクが続いていることや、B欧米を始め世界経済の減速懸念が強まっていること(今週は米小売売上高に続いて、米フィラデルフィア製造業指数、米住宅着工件数、米鉱工業生産も冴えない結果に)、C米中を巡る不確実性の継続(米中協議は部分合意に至るも本質的な解決は先送り。トランプ米大統領は合意文書作成中としつつも、

11月半ばにチリで開催されるアジア太平洋経済協力会議での習近平国家主席との会談まで署名は持ち越し。また、中国政府は「米国が過去に発動済みの報復関税を撤廃しなければ、年間500億ドル規模の米国産農産物の輸入は困難」との意向も発表)、D中東を巡る地政学的リスク、E日米金融政策格差(追加利下げが織り込まれる米国と、副作用を警戒して追加緩和に二の足を踏んでいる日銀との金融政策の方向性の違い)など、ドル売り・円買いに繋がり易い材料は引き続き多く残っています。

本日開催される英議会採決が否決に終われば、週明けのドル円相場は窓を開けて急落するシナリオが想定されます(一方、承認となれば急伸スタートが予想され、心理的節目109円突破も実現しそうです)。週明け早々のボラティリティ拡大に注意が必要でしょう。当方では、英議会否決→ジョンソン首相による離脱延期要請→英合意なき離脱リスク再燃→ドル円下落の流れをメインシナリオとして予想いたします(尚、仮に英議会承認となった場合でも、今月末のFOMCを前に109円台では伸び悩む動きが想定されます)。(ドル円の予想レンジ:107.00ー110.00)

<ユーロドル相場>
ユーロドルは、10/1に記録した約2年5ヶ月ぶり安値1.0879をボトムに切り返すと、今週末にかけて、約2ヶ月ぶり高値圏(1.1166)へと急伸しました。この間、これまでサポートとして機能してきた6/25高値と8/6高値を結んだ中期レジスタンスラインを突破した他、ボリンジャーミッドバンドや、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲下限及び上限、90日移動平均線を相次いでブレイク(上抜け)しました。強い買いシグナルを示唆する三役好転も点灯するなど、テクニカル的に見て、「更なる上昇」を意識させるチャート形状となりつつあります。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスクや(=米政府が10/18にEUに対して追加関税を課したことで、EUも米国に対して報復関税に踏み切る構え)、Aユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感(今週発表されたZEW景況感調査は2010年4月以来の水準へ低下)、Bイタリアの財政悪化問題、C中東を巡る地政学的リスク、D英国の合意なき離脱リスク(=足元楽観的な見方が強まるも、本日10/19の英議会採決を終えるまで予断を許さない)など、不安材料は山積みです。

以上の通り、ユーロドルはテクニカル的にやや持ち直しの兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ面の脆弱さが上値を抑制すると考えられます。本日開催される英議会採決が否決に終われば、週明けのユーロドルは急反落でのスタートが予想されます(一方、承認となれば続伸が予想されます)。週明け早々のボラティリティ拡大に注意が必要でしょう。当方では、英議会否決→ジョンソン首相による離脱延期要請→英合意なき離脱リスク再燃→ユーロ売りの流れをメインシナリオとして予想いたします。

尚、来週は10/24に予定されているECB理事会(ドラギ総裁にとっては最後の会合)にも注目が集まります。但し、前回9月の理事会で大幅な金融緩和パッケージ(追加利下げや資産買い入れ再開など)を示したことから、今回はその効果を見極める(=現行政策の据え置き)ことが予想され、ユーロドル相場への影響は限定的となりそうです。(ユーロドルの予想レンジ:1.0950−1.1250)

今週のレビュー(10/14−10/18)

ドル円日足

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