ドル円、米中部分合意もsell the factで伸び悩む展開。英ポンドは乱高下
海外時間の為替概況
14日(月)の外国為替市場でドル円は下落後に反発。注目された米中閣僚級協議が部分合意に至ったことで、日本時間朝方(本邦は体育の日で休場)は底堅い動きが見られましたが、108円台半ばで上値を抑えられると、徐々に「sell the fact(事実で売る)」に転じました。@中国の9月輸出(前年比3.2%減)が本年2月以来の大幅減を記録したこと、A中国の9月輸入(前年比8.5%減)が5ヶ月連続の減少となったこと、Bトルコ・シリアを巡る地政学的リスクが高まったこと、C先週末金曜日に急伸した英ポンド円が急落に転じたこと(10/14高値137.88→10/17安値135.51)などが重石となり、欧州勢参入後には、一時108.04まで下げ幅を広げる場面も見られました。
もっとも、心理的節目108円割れが阻まれると、米国時間(米国はコロンブスデーで債券市場など一部市場が休場)にかけて持ち直す展開に。英ポンド円が再び上昇に転じたことや、ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果4.0、予想1.0)が市場予想を上回ったこと等が支援材料となり、結局108.40付近まで持ち直してのクローズとなっております(但し、先週末金曜日に記録した高値108.62には及ばず)。
一方、ユーロドルは重要イベントを前に方向感を見出し辛い展開。欧州時間序盤にかけて一時1.1014まで下げ幅を広げるも、ユーロ圏・8月鉱工業生産(結果0.4%、予想0.3%)が市場予想を上回ると、1.1043まで持ち直す展開となりました。ただ、10/15のEU総務理事会、10/17ー18のEU首脳会議など重要イベントを前に様子見ムードも根強く、引けにかけては横ばい推移。結局1.1025近辺でのクローズとなっております。尚、英ポンドはこの日も神経質に上下する展開。合意なき離脱を巡ってヘッドラインが応酬する中、英ポンド円は、10/14高値137.88→10/17安値135.51→10/17米国時間高値137.04→10/17クローズ136.05近辺)と大きな値幅で乱高下する状態が続いております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、10/3安値106.48をボトムに底打ちすると、10/4安値106.58→10/7安値106.69→10/8安値106.82→10/9安値106.93→10/10安値107.17→10/11安値107.85→10/14安値108.04と、7営業日連続で下値を切り上げる展開となっております。この間、一目均衡表基準線や、一目均衡表雲上限、90日移動平均線、一目均衡表転換線、ボリンジャーミッドバンド、FOMC直後に記録した直近高値108.48を軒並み突破するなど、テクニカル的みて、「地合いの強さ」が意識されるチャート形状です。
一方で、ファンダメンタルズ的に見ると、@トランプ米大統領を巡る弾劾機運の高まりや、A欧米を始めとした世界経済の減速懸念、B米中を巡る不確実性の継続(米中協議は部分合意に至るも本質的な解決は先送り)、Cトルコを巡る地政学的リスク、D英国の合意なき離脱リスク、E日米金融政策格差(追加利下げが織り込まれる米国と、副作用を警戒して追加緩和に二の足を踏んでいる日銀との金融政策の方向性の違い)など、ドル売り・円買いに繋がり易い材料が引き続き多く残っています。特に、上記Bについては、10/15に発動が予定されていた対中関税の見送りが決定されましたが、12/15に予定されている分については、未だ「課される可能性」が残っております。米中関係はこれまでも「関係改善と関係悪化」を繰り返してきた背景があることから、まだまだ油断はできない状況です。
本日は中国のインフレ指標(CPIやPPI)に加えて、セントルイス連銀ブラード総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁、カンザスシティ連銀ジョージ総裁、サンフランシスコ連銀デイリー総裁など、米当局者講演に注目が集まります。ハト派的な見解が維持されれば(※部分合意を受けてタカ派的なスタンスに変わる可能性もあり)、米利下げ観測を織り込む形でドル売りが強まるシナリオが想定されます。また、英国の合意なき離脱リスクや、トランプ米大統領弾劾リスク、トルコを巡る地政学的リスクに絡むヘッドラインが報じられた場合も、リスク回避的な円買いが強まる可能性があり注意が必要です。当方では引き続き、ドル円・クロス円の反落をメインシナリオとして予想いたします。(本日の予想レンジ:107.75ー108.75)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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