ドル円、米中協議進展期待と英合意なき離脱リスク後退で108円乗せを試す展開(10/11朝)

10日(木)の外国為替市場でドル円は急落後に急反発。

ドル円、米中協議進展期待と英合意なき離脱リスク後退で108円乗せを試す展開(10/11朝)

ドル円、米中協議進展期待と英合意なき離脱リスク後退で108円乗せを試す展開

海外時間の為替概況

10日(木)の外国為替市場でドル円は急落後に急反発。東京時間寄り付き前に、「今週行われた米中次官級協議に進展はなかった」「米中協議は当初予定の2日間ではなく1日のみに変更」と報じられたことで、「米中対立懸念→株安→リスク回避の円買い」の流れが強まり、ドル円は一時107.04まで急落しました。しかし、その後、「米中協議は2日の日程で変わりはない」「米国がファーウェイへの一部製品の供給を許可する」と発表されると一転、「米中協議進展期待→株高→リスク選好の円売り」が加速し、ドル円も大きく持ち直す展開となりました。

その後も、「トランプ米大統領は中国の劉鶴副首相と11日に会う」とのヘッドラインや、「中国政府が米国産大豆と豚肉の輸入を急拡大させている」との報道が支援材料となり、米国時間午後にかけて、10/1以来となる高値107.97まで急伸しました。もっとも、心理的節目108円ちょうどを前に上値も重く、伸び悩むと引けにかけて小反落。結局107.90付近でのクローズとなっております。尚、この日発表された米・9月消費者物価指数(結果0.0%、予想0.1%)、同コア指数(結果0.1%、予想0.2%)は共に市場予想を下回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となっております。

一方、ユーロドルは上昇後に反落する展開。ジョンソン英首相とバラッカー・アイルランド首相の会談を経て「英国の合意なき離脱が回避される」との安堵感が広がったことや、ECB議事要旨で債券買い入れを巡り当局者の意見が対立していたことが明らかとなったこと(=追加緩和期待の後退)が支援材料となり、ユーロドルは一時1.1034まで上値を伸ばしました。しかし、米中協議進展期待を背景に、米株高・米国債利回り上昇→ドル高の流れが強まると、引けにかけて反落し、結局1.1005付近まで押し戻されてのクローズとなっております。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、10/3安値106.48をボトムに底打ちすると、10/4安値106.58→10/7安値106.69→10/8安値106.82→10/9安値106.93→10/10安値107.17と、下値を段階的に切り上げる展開となりました。この間、一目均衡表基準線や、一目均衡表雲上限、90日移動平均線、一目均衡表転換線、ボリンジャーミッドバンド等、主要チャートポイントを軒並み突破するなど、テクニカル的みて「地合いの強さ」が意識されるチャート形状となりつつあります。目先は、心理的節目108円ちょうどや、8/1高値109.33と9/18高値108.48を結んだレジスタンスライン(現在108.10付近)を突破できるか否かに注目が集まります。

もっとも、ファンダメンタルズ的に見ると、@トランプ米大統領を巡る弾劾機運の高まりや、A欧米を始め世界経済の減速懸念がくすぶっていること、B中東及び朝鮮半島を巡る地政学的リスク、C英国情勢の先行き不透明感(=ジョンソン英首相とバラッカー・アイルランド首相の会談を経て合意なき離脱リスクは幾分後退するもまだまだ油断は禁物)、D日米金融政策の方向性の違い(追加利下げが織り込まれる米国と、副作用を警戒して追加緩和に二の足を踏む日銀との金融政策の方向性の違い)など、引き続き「ドル売り・円買い」に繋がり易い材料が多く残っています。また、E米中閣僚級通商協議を巡っても足元楽観ムードが広がりつつありますが、最終的な発表があるまでは安心できない状況です(地合いが急変するリスクあり)。

本日は、米中閣僚級通商協議の行方に注目が集まります。発表時間は未定ながら、トランプ米大統領は劉鶴副首相と会談する予定であり、その結果を見極めるまでは、方向感を見出すには至らないと予想されます(ヘッドラインで乱高下する可能性はあり)。当方では引き続き、米中協議終了後の「sell the fact」を予想しており、一巡後の反落リスクを警戒したいと思います。(本日の予想レンジ:107.00ー108.50)

ドル円、米中協議進展期待と英合意なき離脱リスク後退で108円乗せを試す展開

ドル円日足

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