ドル円、米中対立懸念再燃でドル円反落。一時106.82まで下げ幅を広げる場面も
海外時間の為替概況
8日(火)の海外市場でドル円は乱高下。米中閣僚級通商協議(10/10ー10/11)への期待感から、アジア時間には、一時107.44まで上値を伸ばす場面も見られましたが、前日高値107.46を前に伸び悩むと、欧州勢参入後に反落する展開となりました。@トランプ米政権が「中国の監視カメラ製造最大手ハイクビジョンなどテクノロジー企業8社と、新疆ウイグル自治区の公安機関を禁輸措置の対象にする(エンティティー・リストに掲載する)」と発表したことに対し、A中国外務省が報復措置の可能性をにじませたこと(報復措置を「乞うご期待」と発言)、Bトランプ米政権が中国への資本フローを制限する可能性を検討していると報じられたこと(米政府年金基金による中国向け投資の制限)などが、米中対立激化→米中交渉決裂懸念→リスク回避の円買いの流れに波及し、ドル円は米国時間朝方に、一時106.82まで下げ幅を広げました。
もっとも、同水準では押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、米3年債入札の低調な結果も支援材料となり、結局、107.10台まで持ち直してのクローズとなりました。尚、昨日発表された米・9月生産者物価指数(結果1.4%、予想1.8%)は、2016年11月以来の低い伸びとなりましたが、市場の反応は限定的となっております。
一方、ユーロドルは軟調な展開。欧州時間序盤にかけて一時1.0997まで上昇するも、4営業日連続で1.10トライに失敗すると(10/3高値1.1001、10/4高値1.0999、10/7高値1.1000、10/8高値1.0997)、英国情勢を巡る不安定化(=合意なき離脱懸念の高まり)や、ドイツ政府高官による「景気刺激策の必要はない」との発言(=財政出動期待の後退)が重石となり、米国時間引けにかけて1.0941まで下落しました、引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、結局1.0950台でのクローズとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、10/3安値106.48をボトムに底打ちすると、10/4安値106.58、10/7安値106.69、10/8安値106.82と下値を段階的に切り上げる展開となっております。この間、一目均衡表基準線や、一目均衡表雲上限を突破するなど、テクニカル的みて、「下値の堅さ」が確認されます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@トランプ米大統領を巡る弾劾機運が一段と高まっていることや、A欧米を始めとした世界経済の減速懸念、B米中交渉を巡る先行き不透明感、C中東及び朝鮮半島を巡る地政学的リスク、D英国の合意なき離脱リスク、E香港情勢の緊迫化、F日米金融政策格差(追加利下げが織り込まれる米国と、副作用を警戒して追加緩和に二の足を踏む日銀との金融政策の方向性の違い)など、引き続き「ドル売り・円買い」に繋がり易い材料が多く残っています。
特に昨日は、米国による中国企業のエンティティ・リスト入りと、中国による報復措置の可能性が報じられるなど、米中協議目前で、再び暗雲が立ち込め始めました。107円台前半では戻り売りが強まると見られ、当方では引き続き、ドル安・円高基調の継続をメインシナリオとして予想いたします。(本日の予想レンジ:106.70ー107.50)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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