ドル円見通し 10月3日深夜からのリバウンド続く、半値戻しは107.48円(10/8)

ドル円も下げ一服であり、次の方向感を決めてゆくのはやはり米中通商協議動向次第ということになるのだろう。

ドル円見通し 10月3日深夜からのリバウンド続く、半値戻しは107.48円(10/8)

【概況】

米中協議進展期待による楽観ムードを背景に9月25日107円割れを切り返して10月1日高値108.46円で9月19最高値108.4円に迫ったが、あと一歩及ばずにその後の急落でダブルトップ型を形成した。1日夜には米ISM製造業景況指数が予想外に悪化したために108円を割り込み、2日夜も米ADP民間雇用が予想を下回ったことで続落となり、さらに3日夜の米ISM非製造業景況指数も悪化したことで3日深夜には106.50円まで大幅下落した。この段階で9月19日と10月1日の両高値の谷間にあった9月25日安値を割り込んでダブルトップ型が完成となった。
10月4日は夜の米雇用統計を控えて下げ渋りに入り、雇用統計で失業率が3.5%へ大幅改善したことからいったん107.12円まで買い戻されたが、非農業部門就業者数や平均時給の伸びが鈍化しているとして買い戻しは短期に終わって107円台を維持できずに先週を終えた。

週明け7日朝は、米中協議に関して中国側が構造改革について消極姿勢と報じられたことで106.62円まで下げたが3日深夜安値割れには至らずに持ち直し、7日夜は米中関連の前向き報道を背景に上昇、8日未明には雇用統計直後につけた高値を上抜いて107.46円まで一段高となった。
10月1日高値108.46円から10月3日深夜安値106.50円までの下げ幅に対する半値戻しが107.48円であり、現状はその直前まで戻したところにある。107.50円超えから続伸に入ればもう一段階上へ戻り高値を試しにかかり107.75円、さらに108円を試す可能性も出てくるところだが、現状を含めて107.50円前後までで上値が重くなるようだと戻り一巡感も強まり、107円割れからは再び安値を試しにかかりやすくなると思われる。

【米雇用統計通過で米中問題へ焦点向く】

米雇用統計を通過し、市場による米連銀の追加利下げ見通しは変わらないものの、失業率が予想以上に改善したために大幅利下げに踏み込む可能性は後退したと思われる。
米10年債利回りは雇用統計後に下げ渋り、7日はやや上昇している。NYダウは4日に372.68ドル高と上昇したが7日は戻り高値を伸ばしてから失速して95.70ドル安で終わっている。NYダウにとっては10月1日からの急落は一服だが、7月16日の史上最高値と9月12日高値によるダブルトップ型での高値警戒感を拭うところまでには至っていない印象だ。ドル円も下げ一服であり、次の方向感を決めてゆくのはやはり米中通商協議動向次第ということになるのだろう。

10月10日からの米中閣僚級協議を前にして事務レベルの事前協議が始まっている。中国側は香港問題を抱え、米国は大統領弾劾問題を抱えている中で具体的な成果を挙げようとするバイアスがかかるかもしれないが、米中双方ともに昨年6月の閣僚級協議決裂以降は前進できずに報復関税拡大を進めてきたため、今回も合意形成は難しいのではないかと思われる。
トランプ大統領は7日に「中国は合意したがっている」「合意に達する可能性はかなりある」等と発言して合意への期待感を示したが、「大きな取引を望む」と述べたことは部分合意への否定姿勢とも受け止められている。
ブルームバーグは中国側が構造改革問題で消極姿勢と報じたが、7日のFOXニュースはツイッターで「中国商務省は部分的に合意する用意がある」と報じている。

10月15日からは米国側が既に実施済の制裁関税第1弾から第3弾までの対象に対する税率引き上げを予定している。交渉がまとまれば関税引き上げの休止や撤回となるのだろうが、決裂なら関税引き上げ実施により両国の対立感がさらに激化してゆくことになると懸念される。
ドル円が10月8日未明にかけて上昇したきっかけとしては、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が米国による中国企業の上場廃止等は検討事項になっていない等と発言したことが好感されたためとされるが、まだ紆余曲折ありとすれば、よほど確信的な合意形成への前向き報道がないと、ドル円の上値も重くなると思われる。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月3日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けて戻している。10月1日夕高値を基準とすれば今回の高値形成期は4日夕から8日夕にかけての間と想定されるので既にサイクルトップを付けての下落再開注意期にある。107円以上での推移中は高値を試す余地ありとするが、107円割れからは新たな弱気サイクル入りの可能性が高まるとみる。106.80円割れからは弱気サイクル入りと仮定するが、その場合は次の安値形成期となる8日深夜から10日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、8日未明への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、新たな高値更新へ進めないと遅行スパンも8日深夜以降に悪化してくるため、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4日夜高値から8日未明高値への高値切り上がりに対して指数のピークも切り上がっているのでまだ弱気逆行は見られない。70ポイント超えまで上昇したので逆行無しでも50ポイント割れからは下落再開注意とするが、50ポイント以上での推移中はまだ高値を切り上げる可能性が残るとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、107円を下値支持線、8日未明高値107.46円を上値抵抗線とみる。
(2)107.46円超えからは107.75円前後への上昇を想定するが、新たな押し上げ材料を伴わない場合は107.65円以上は反落警戒とする。材料を伴っての急伸なら108円試しとみるが、108円前後では戻り売り圧力もかなりかかるとみる。
(3)107円割れを弱気転換注意、106.80円割れからは弱気サイクル入りと仮定してまず3日深夜安値106.50円試しを想定する。106.75円以下では値頃買いも入りやすいとみるが、106.80円を割り込んだ後も107円以下での推移なら9日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/8(火)
09:30 (豪) 9月 NAB企業景況感指数 (8月 1)
10:45 (中) 9月 財新サービス業PMI (8月 52.1、予想 52.0)
13:00 (英) カーニー英中銀総裁、講演(東京)
14:00 (日) 9月 景気ウオッチャー-現状判断DI (8月 42.8、予想 43.3)
14:00 (日) 9月 景気ウオッチャー-先行判断DI (8月 39.7、予想 38.7)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.6%、予想 -0.1%)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -4.2%、予想 -4.3%)

21:30 (米) 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 0.1%、予想 0.1%)
21:30 (米) 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 1.8%、予想 1.8%)
21:30 (米) 9月 生産者物価コア指数 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 生産者物価コア指数 前年同月比 (8月 2.3%、予想 2.3%)
24:50 (米) パウエルFRB議長、NABE年次会合で講演(デンバー)
26:35 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演(シカゴ)
30:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ディスカッション参加

10/9(水)
08:30 (豪) 10月 ウエストパック消費者信頼感指数 (9月 98.2)
23:00 (米) 8月 卸売在庫 前月比 (7月 0.2%、予想 0.4%)
23:00 (米) 8月 卸売売上高 前月比 (7月 0.3%)
23:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、金融政策再点検のためのイベント
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

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