ドル円週報レンジ下限割り込む、ドル下値リスク再燃も(10月第1週)

先週のドル/円は、ドルが弱含み。途中、108円半ばまで上昇し前回高値に面合わせしたものの、抜けることは出来ず、そののち大きく反落に転じている。

ドル円週報レンジ下限割り込む、ドル下値リスク再燃も(10月第1週)

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先週のドル/円は、ドルが弱含み。途中、108円半ばまで上昇し前回高値に面合わせしたものの、抜けることは出来ず、そののち大きく反落に転じている。

前週末に、ブルームバーグが「トランプ政権が米国の投資家による中国企業への投資制限を検討している」と報じ両国関係への警戒感が指摘されるなか、中国の王商務次官が会見で、10月に米ワシントンで予定している米中の閣僚級貿易協議に「劉副首相が出席する」と明らかにしたことで、影響は相殺された形に。
そうした状況下、週明けのドル/円相場は先週末のNYクローズと大差ない107.90-95円で寄り付いた。その後しばらくはドル高が続き、9月18日高値である108円半ばまで続伸。形成しているレンジの上放れが期待されたが、失敗に終わると、週末にかけては一転してドルが進展する展開に。106円半ばまで2円ほど下落し、週末NYはそのまま106円台、週間を通したドルの安値圏で取引を終え、越週としている。

一方、週間を通した材料は、「発表された米経済指標」と「トランプ氏のウクライナ疑惑」、そして「北朝鮮情勢」について。
前者については、週初に発表されたシカゴ購買部協会指数は予想より悪化したものの、ダラス連銀指数は逆に好数字で内容はマチマチ。しかし、翌日に発表されたISM製造業景況指数は予想外の大幅悪化でドル売り材料になっただけでなく、以降、ADP雇用統計や週末の米雇用統計など、週間を通して総じて冴えない指標の発表が相次ぐと、ドルの上値を抑制していた。

対して「ウクライナ疑惑」は、「米下院委がポンペオ国務長官に召喚状、証言を求める予定」とされるなど、野党民主党ペースでトランプ氏弾劾に向けた動きが進行。また、ペロシ米下院議長から「ウクライナ疑惑にロシアが関与したと思う」との発言が聞かれるなど、様相はさらに混とん、予断を許さない状況となっている。

最後の「北朝鮮情勢」は、先日北朝鮮の崔第1外務次官が「米朝非核化協議を4日と5日に行うことで合意」と発表したことで、やや気が緩むなか、2日早朝突然に「北朝鮮が2発の飛翔体を発射」−−とするニュースが伝えられ、一時騒然となった。しかし、トランプ氏はまたしても不問の姿勢をとっただけでなく、スウェーデンで4日に米朝実務者協議が実施されたことに続き、5日には米朝首脳会談が実施されている。

<< 今週の見通し >>

先でも指摘したように、先週発表された米経済指標は全般的に悪い数字が多く、素直に考えれば米株安、ドル安要因。しかし米株市場は、予想以上に底堅い値動きで、それが一段のドル安に歯止めを掛けている面もありそうだ。今週も、米株高が続くようなら、先週のようなドルの下支えとして寄与するだけでなく逆にドル高を支援、107円回復に続き108円乗せといった展開をたどる可能性も否定出来ないだろう。

材料的に見た場合、継続案件として「北朝鮮情勢」や「イラン・サウジ情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」などが挙げられているほか、新たに加わった「トランプ氏のウクライナ疑惑」に対する関心も高い。それぞれすべて要注意なのだが、とくにとなると次の2つか。
ひとつは「米金融政策」で、先週発表された米経済指標が全般悪かったこともあり、今週も発表される指標内容や要人発言は大いに注視されている。もうひとつは、中国が国慶節の休場から明けるなか実施される「米中貿易協議」、ワシントンで10-11日に実施される見込みの閣僚級協議の行方は気掛かりだ。いつもながら、事前には期待感が高まるものの、終わってみれば失望というパターンが多いが、今回は果たしてどうだろうか。

テクニカルに見た場合、3週間ほど推移していた107.00-108.50円のレンジを先週末に掛けて割り込んでおり、リスクという点ではやや下方向にバイアス。ただ、先週下げ止まったドルの安値106円半ばは、8月安値104.44円を起点とした上げ幅の半値押しにあたるテクニカルポイント。つまり、ちょうど良いレベルで下げ止まったと言えるだろう。
いずれにしても、先週安値106円半ばをめぐる攻防がまずは注視されそうで、割り込めば、前記フィボナッチの61.8%押しにあたる106円前後がターゲットに。逆にドルが反発した場合には、移動平均の25日線が位置する107円半ばが意識されそうだ。

一方、材料的に見た場合、9月の消費者物価指数や10月のミシガン大消費者信頼感指数といった米経済指標の発表が予定されているほか、9月のFOMC議事録要旨が公表される見込みだ。また、米財務省による10年債や30年債の入札、米地区連銀総裁を中心とした講演が連日実施されることにも注意を払いたい。
そのほか、「米中閣僚級協議」の行方や、5日に行われ決裂となった「米朝首脳会談」を受けての北朝鮮情勢なども、場合によっては相場の波乱要因となりかねないだろう。

そんな今週のドル/円予想レンジは、105.50-108.00円。ドル高・円安については、週明けに25日線が位置する107円半ばの攻防にまずは注目。上抜ければ先週高値の108円半ばが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、フィボナッチのサポートにもあたる先週安値106円半ばが最初のサポート。割り込めば106円前後、そしていよいよ105円台突入へ。

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