ドル円見通し 9月25日からの高値切り上げ・底上げ続くが現状はまだダブルトップ(10/1)

ドル高はトランプ政権の輸出拡大期待を阻害するため、米連銀に対する利下げ圧力もさらに増してゆくことも考えられる。

ドル円見通し 9月25日からの高値切り上げ・底上げ続くが現状はまだダブルトップ(10/1)

【概況】

9月19日からの下落は米中協議の先行き不透明感が再燃したとしてのリスク回避型円高であったが、25日夜にトランプ大統領が米中協議早期合意の可能性に言及したことをきっかけとして再び協議進展期待となってドル円もリスクオン型で揺れ返しの上昇に入り、27日夜には108.18円をつけて9月19日高値108.47円以来の108円台回復となったが、27日夜に一部通信社が「米政権が対中国投資制限を検討中」と報道されたことで上昇にブレーキがかかり、28日未明には108円を割り込んで先週を終えた。
30日午後へ107.74円まで安値を切り下げたものの、ナバロ米大統領補佐官が30日に対中投資制限の動きに関する報道をフェイクニュースと否定したことと、ユーロが一段安したことによるドル高感から108円台へ切り返した。

30日の米10年債利回りは前週比0.01%低下の1.67%だったが、ナバロ発言等でNYダウは前週比96.58ドル高と上昇したことがドル円の上昇に寄与した印象だ。
米MNIインディケーターズが発表した9月のシカゴPMIは47.1となり、前月の50.45から低下して好不況の分岐点である50を2カ月ぶりに割り込んで市場予想の50.2も下回った。景気減速感が米国へも徐々に波及している印象だ。

【底上げパターンを維持】

9月19日高値108.47円から9月25日安値106.94円まで4日間で1.53円の円高ドル安となったが、25日未明安値から切り返しに入り、戻り高値は26日未明107.87円、27日未明107.95円、27日深夜108.18円と切り上げ、26日夜安値107.42円から27日午後安値107.64円、30日午後安値107.74円と底上げしてきている。10月1日未明高値で108.17円をつけて27日深夜高値に迫ったが、1日朝時点ではまだ高値更新には至らずにいる。
底上げパターンを継続する内は高値切り上げも継続しやすいため、30日安値107.74円を上回る内は高値更新余地ありと思われるが、27日深夜高値を超えないかわずかに超えても30日午後安値を割り込む場合は底上げパターンが崩れ、9月19日高値手前ヘの行ってこいに終わって下落に転じる可能性も残るところだ。

【ドル高感強まる】

ユーロは対ドルで2017年5月以来となる1ユーロ=1.09ドル割れとなった。ドイツの成長率見通しが下方修正されるとのロイター通信報道がきっかけの様だが、6月末への小反発後に年初来安値を更新し、さらに1.100ドル割れから下落基調が徐々に厳しくなってきている。米中貿易戦争を中心とした世界貿易の萎縮が特に中国への輸出依存度の高いドイツ景気を直撃していることでEU全般への悪影響も徐々に拡大しているため、9月12日にECBはマイナス金利の深掘りと量的緩和再開を決定したが、今後も金融緩和拡大を余儀なくされるのではないかとの見方も強まっている。ユーロドルの週足チャートにおける下値支持線は2017年1月大底の1.0341ドルまで見当たらなくなっている。

ユーロドルの裏返しであるドル指数は30日に99.46をつけて9月3日高値を上抜いた。2018年2月底以降の高値更新であり、100ポイントに迫っているが、既に1年7か月間のドル高基調の継続であり、100ポイントを超えて続伸の場合は2017年1月3日高値103.82を目指す可能性も出てくるのではないかという印象だ。

米連銀による二度の利下げ、米10年債利回りの低下傾向継続にもかかわらずドル高が進んでいる背景は、それ以上にユーロが弱い、豪ドルやNZドルが弱い、ポンドも9月20日まで戻していたが反落、ドル人民元でも9月16日からドル高元安が再開、南アランドでも9月13日からドル高ランド安が進む等、メジャー通貨及び新興国・資源輸出国通貨がドル以上に弱いためと言える。景気の先行き不透明感や世界的な金融緩和拡大のなかで現金化として投機マネーのドル還流が進んでいることを示しているのではないかと思われるが、ドル高はトランプ政権の輸出拡大期待を阻害するため、米連銀に対する利下げ圧力もさらに増してゆくことも考えられる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月25日未明安値をサイクルボトムとして上昇してきた。27日夜高値108.18円から30日午後安値107.74円までいったん下げてから戻しているところだが、1日朝時点ではまだ27日夜高値を超えずにいる。
27日夜高値を上抜く場合、25日未明安値から3日半となる30日午後安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りと仮定して10月2日夜から4日夜にかけての間への上昇を想定する。27日夜高値を超えないか、わずかに高値を更新してもその後の反落で30日午後安値を割り込む場合は一旦弱気サイクル入りとみて1日夜から2日未明にかけての間への下落を想定する。さらに2日の日中へ続落の場合はダブルトップ形成からの弱気サイクル入りと仮定して30日午後安値を起点にボトム形成期を3日から7日にかけての間へ延長する。

60分足の一目均衡表では先行スパンを上回る状況を維持してきているので、先行スパンから転落しない内は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落の場合は25日からの戻り一巡としての下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は27日夜高値と1日未明高値がほぼフラットなのに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行気配となっているので50ポイント割れからは下げ再開注意とするが、65ポイント超えからは逆行破りの上昇へ進む可能性ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、30日安値107.74円を支持線、27日夜高値108.18円を抵抗線とする。
(2)107.74円を上回る内は27日夜高値超えからダブルトップ破りの上昇期入りとしてまず19日高値108.47円試しを想定するが、週末の米雇用統計も控えているので108.40円以上は上値が重くなりやすいとみる。ただし108.18円を超えた後も108円以上での推移なら2日の日中も高値試しを続けやすいとみる。仮に108.47円を超えて続伸する場合は109円超えへ上値目処も切り上がって行くと考える。
(3)107.74円割れからは底上げパターンが崩れるのでまず107.50円前後、次いで107.25円前後試しを想定する。107.50円以下は反騰注意とするが、107.74円以下での推移が続く場合は2日の日中から3日にかけては安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/1(火)
休場 香港、中国(国慶節)
10:30 (豪) 8月 住宅建設許可件数 前月比 (7月 -9.7%、予想 2.5%)
10:30 (豪) 8月 住宅建設許可件数 前年同月比 (7月 -28.5%、予想 -20.0%)
13:30 (豪) 豪準備銀行、政策金利発表 (現行 1.00%、予想 0.75%)
16:15 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、フランクフルト講演
16:55 (独) 9月 製造業PMI改定値 (速報 41.4、予想 41.4)
17:00 (欧) 9月 製造業PMI改定値 (速報 45.6、予想 45.6)
17:30 (英) 9月 製造業PMI (8月 47.4、予想 48.1)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 1.0%、予想 1.0%)
18:00 (欧) 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 0.9%、予想 1.0%)

22:15 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、会合挨拶
22:45 (米) 9月 製造業PMI改定値 (速報 51.0)
22:30 (米) ボウマンFRB理事、講演
23:00 (米) 9月 ISM製造業景況指数 (8月 49.1、予想 50.1)
23:00 (米) 8月 建設支出 前月比 (7月 0.1%、予想 0.4%)
26:30 (欧) バイトマン独連銀総裁、ウィーン講演

10/2(水)
休場 中国(国慶節)
08:50 (日) 9月 マネタリーベース 前年同月比 (8月 2.8%)
14:00 (日) 9月 消費者態度指数・一般世帯 (8月 37.1)
21:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
21:15 (米) 9月 ADP・非農業部門民間雇用者数 前月比 (8月 19.5万人、予想 14.0万人)
22:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:50 ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加(サンディエゴ)

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