今週はもみあいの中で下押ししやすい週(週報9月第5週)

今週もメインシナリオは中期下降トレンド内での動き継続とします。

今週はもみあいの中で下押ししやすい週(週報9月第5週)

今週はもみあいの中で下押ししやすい週

今週の週間見通し

先週のドル円は、週初は欧州、米国双方の弱い経済指標に反応し、ユーロ売りとドル売りの動きが先行しました。ドル円は火曜には一時106.96レベルの週間安値をつけましたが、107円割れではドル買いオーダーが目立ったこと、その後のユーロドルが続落する動きがドル買いに繋がったことから、金曜には108.18レベルと週間高値をつけ底堅い地合いでの週末クローズとなりました。

先週は、10月に向けて米中通商協議進展の思惑も出ていましたが、さすがに市場参加者も実際にどうなるのかもう少し明確なヒントが無いと動きにくいといった感じで、若干のドル高材料とはなったものの大きな反応にはつながりませんでした。そして、トランプ大統領の弾劾調査に関して、出ている証拠は一部のみで隠されたものがあるという内部告発がありましたが、特に反応は見られないままでした。

この弾劾調査に関する不利な証拠がもし出てきたら、来年の大統領選を前に大きな材料となってくる可能性もあり、もっと気にしてもよいニュースです。過去にはニクソン大統領が弾劾前に辞任、ジョンソン大統領とクリントン大統領は無罪となっていますが、上院の3分の2以上の賛成で大統領を罷免されます。

今回のトランプ大統領のケースでは、隠したと言われる証拠の中に来年の大統領選で争うであろうバイデン前副大統領に不利となる材料の調査指示が残されているのかどうかが問題視されていますが、週末には共和党側からウクライナの汚職スキャンダルの解明こそが国益と、逆にバイデン前副大統領がウクライナ政府に圧力をかけたと述べています。

現時点では双方ともに相手の悪材料として動いていますが、今後の展開次第では弾劾裁判に繋がる可能性も、バイデン氏が大統領レースから落ちる可能性もあり、いずれに転んでもリスクオフの材料となりますし、まさかの弾劾で罷免といったことでもあったら、その際のリスクオフの動きは予想を超える動きになるでしょう。身内の共和党にも敵が多いトランプ大統領なだけに個人的には当面の大きな材料となっています。


他の材料としては月初ということで米国雇用統計をはじめとする雇用関連の経済指標がありますし、他にも注目すべき指標が多く出てきます。ほぼ完全雇用下で単月の雇用統計の与える影響は限定的なものと考えられます。また先週は日米通商協議は予定通り合意となりましたが、10月の米中協議に向けて同じく金曜に発表される貿易収支は気にしてよいでしょう。8月分の対中赤字の規模によってはトランプ大統領の発言がリスクオフにつながる可能性が無いとは言えません。

現在の主要市場の動向を見ている限り、ドル円相場よりも上値を切り下げているNYダウの動きの方が自然だと思いますし、ユーロドルにおけるユーロ売り・ドル買いの影響が強すぎるのではないかという気がしてなりません。

テクニカルにも見てみましょう。日足チャートをご覧ください。

中期的には5月後半の高値と8月高値を結んだレジスタンスライン(ピンク)が今でも効いています。また8月の反転パターンのネックライン(ピンク)がほぼレジスタンスと平行になっていて、これら両ラインによる下降チャンネルを続けるか上抜けるかが今週の注目点です。いっぽうで短期的には8月安値と9月後半の安値を結んだサポートライン(青)が下値を支え、それと平行に引いた上昇チャンネルを想定することができます。

中期下降チャンネルを上抜けた場合には、この上昇チャンネルへと転じる流れを考えることとなりますが、材料的に積極的にドル買い・円売りの動く理由が見当たらないことや、すぐには影響が出ないにせよ消費増税による景気悪化思惑といったあたりもリスクオフ材料となりやすく、今週もメインシナリオは中期下降トレンド内での動き継続とします。

そうすると、レジスタンスラインが今週は108.28から108.18へと緩やかに下降していきますので、先週高値から9月高値の間では折り返す流れが考えらます。いっぽうで、やや急角度ではあるものの短期上昇チャンネルのサポートが107.38レベルに位置していることを考えると下値もまた限定的と言えます。

今週はこれまで同様もみあいの中で下押ししやすい一週間を考え107.35レベルをサポートに108.35レベルをレジスタンスとする流れとします。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。


9月30日(月)
**:** NZ夏時間移行
08:50 日銀会合主な意見
09:00 NZ9月企業信頼感
10:00 中国9月製造業PMI
10:45 中国9月MarkIt製造業PMI
16:00 トルコ8月貿易収支
16:55 ドイツ9月雇用統計
17:30 英国4〜6月期GDP改定値
17:30 英国4〜6月期経常収支
18:00 ユーロ圏8月失業率
21:00 ドイツ9月CPI速報値
22:45 米国9月シカゴ購買部協会景気指数

10月1日(火)
**:** 香港(1日のみ)、中国市場(〜4日)休場
08:30 本邦8月失業率・有効求人倍率
08:50 日銀短観
10:00 フィンランド中銀総裁講演
10:30 豪州8月住宅建設許可件数
13:30 豪中銀政策金利発表
16:00 トルコ9月製造業PMI
16:15 シカゴ連銀総裁講演
16:50 フランス9月製造業PMI
16:55 ドイツ9月製造業PMI
17:00 ユーロ圏9月製造業PMI
17:30 英国9月製造業PMI
18:00 ユーロ圏9月CPI速報値
18:20 豪中銀総裁講演
22:30 ボウマンFRB理事講演
22:45 米国9月製造業PMI
23:00 米国9月ISM製造業景況指数
23:00 米国8月建設支出
26:30 ドイツ連銀総裁講演

10月2日(水)
17:30 英国9月建設業PMI
21:00 (リッチモンド連銀総裁講演)
21:15 米国9月ADP全国雇用者数
22:00 (フィラデルフィア連銀総裁講演)
23:30 週間原油在庫統計
23:50 NY連銀総裁講演

10月3日(木)
10:30 豪州8月貿易収支
15:45 シカゴ連銀総裁講演
16:00 トルコ9月CPI
16:45 デギンドスECB副総裁講演
16:50 フランス9月サービス業PMI
16:55 ドイツ9月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏9月サービス業PMI
17:00 フィンランド中銀総裁講演
17:30 英国9月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏8月PPI、小売売上高
20:30 米国9月チャレンジャー人員削減予定件数
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:45 米国9月サービス業PMI
23:00 米国9月ISM非製造業景況指数
23:00 米国8月製造業新規受注
25:10 (クリーブランド連銀総裁講演)

10月4日(金)
10:30 豪州8月小売売上高
21:30 米国9月雇用統計
21:30 米国8月貿易収支
21:30 ボストン連銀総裁講演
23:25 (アトランタ連銀総裁講演)
27:00 パウエルFRB議長講演


10月6日(日)
**:** ポルトガル総選挙

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月23日(月)
ドル円は東京市場が休場となったこともあって、欧州市場が始まるまでは小動きに終始しました。欧州市場序盤に弱い欧州の経済指標に反応し、ユーロが対ドルだけでなく対円でも大きく水準を下げ、特段材料が無かったドル円はユーロ円の影響を受けて一段安。金曜安値を下抜けるとストップも巻き込んで一時107.31レベルの安値をつけました。その後、NY市場では買い戻しも見られ107円台半ばへと戻して引けました。

9月24日(火)
ドル円は米中間の緊張緩和につながる話題も出てきたことから東京市場ではじり高となり、欧州市場前場には一時107.80レベルの高値をつけました。その後NY市場の前場までは高値圏でのもみ合いとなりましたが、米国の経済指標が弱かったことをきっかけに売りに転じ、NYダウも大きく下げる動きに沿って106.96レベルの安値を付けた後やや戻して引けました。

9月25日(水)
ドル円は前日に106円台の滞空時間が短かったことからドル買いが先行、日経平均も強い動きとなったことも下支え要因となりました。東京後場は凪状態でしたが、欧州市場に入り、英国議会が再開するも今までと同じ議論が行われるであろうことを悪材料としてポンドが下落、その流れがユーロ売り、そしてドル円ではドル買いの動きとなりドル一段高となりました。NY市場での日米通商協議合意は特に材料とされませんでしたが、トランプ大統領が中国との協議に楽観的な見通しを示したことから107.88レベルまで上昇し高値圏での引けとなりました。

9月26日(木)
ドル円は前日のドル買いの動きに対する調整が目立ちNY市場まではじり安の展開が続きました。NY朝方に107.43レベルの安値をつけましたが、NY後場以降はあらためてユーロドルに売りが入り、それに引っ張られる形でドル円はドル買い、107.96レベルと日中高値を更新後にやや押しての引けとなりました。

9月27日(金)
東京市場のドル円は日経平均株価に沿った動きとなり前場は円高、後場以降は円安と目立った材料が無い中、底堅い地合いで海外市場入り。欧州市場でも強い株価とともに週間高値を上抜ける動きの中で仕掛け的なドル買いも加わって、一時108.18レベルの高値をつけましたが、NY市場ではダウが下げる動きとともに週末前の調整も入って107円台後半へと押しての引けとなりました。

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