ドル円見通し 米利下げ織り込み済で上昇後、日銀現状維持失望で下落、あと横ばい(9/20)

日銀政策発表での下落も短期的な売りが一巡した後は落ち着き、夜間は米経済指標が概ね確りしていたことで108円を挟んだ揉み合い推移にとどまっている。

ドル円見通し 米利下げ織り込み済で上昇後、日銀現状維持失望で下落、あと横ばい(9/20)

【概況】

トランプ米大統領による対中国制裁関税第4弾発動宣言により、8月1日に高値109.31円から下落に転じ、8月23日に中国が対抗関税を宣言、米国も対抗報復を宣言したことで8月26日に104.45円まで下落して今年1月3日及び昨年3月26日以来の105円割れとなったが、その後は米中通商協議再開報道から揺れ返しの上昇に転じてきた。

9月14日にサウジ石油施設が無人機による攻撃を受けたとの報道でいったんリスク回避で16日早朝には107.44円まで下落したが、サウジの生産回復への楽観見込みから買い戻され、108円台序盤を維持して19日未明のFOMC、19日昼の日銀金融政策発表待ちに入った。
米FOMCは市場予想通りに0.25%の追加利下げを決定したが、17人のメンバーによる年内利下げ回数予想の中央値が2回となり、今後の状況にもよるが今回の利下げで年内は打ち止めとなる可能性が高まった。17人のうち7人が年内3回目の利下げを見込んでいることやパウエル議長会見で必要に応じて適切な措置をとるとしたことで追加利下げへの含みも残ったが、ドル安を進行させる程のインパクトはなく、発表後はドル買いによりドル円は4時頃に108.47円まで上昇した。しかし、108.50円を超えて続伸するほどのインパクトには欠けたため、買い一巡後は上げ渋り、豪雇用統計後の豪ドル下落や株式市場がさえない動きだったことにより9時過ぎからは失速し始めた。

日銀は19日の金融政策決定会合で金融政策を現状維持としたものの、10月の次回会合では経済・物価動向を再点検する方針を示した。ECBや米連銀による利下げが相次ぐ中で様子見の現状維持とすることにより、市場が失望的に円高反応を起こすことをけん制する意味合いもあったのではないかと推察される。しかし、マイナス金利の深掘りによる金融機関への影響も意識されるため、積極的な緩和政策の拡大も難しいのではないかとしてドル円は昼過ぎに107.78円まで下落した。
日銀政策発表での下落も短期的な売りが一巡した後は落ち着き、夜間は米経済指標が概ね確りしていたことで108円を挟んだ揉み合い推移にとどまっている。

【19日夜の米経済指標は概ね良好】

米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで20万8000件となり、前週比2000件増加、市場予想の21万3000件を下回った。米フィラデルフィア連銀の9月製造業景況指数は12.0で前月の16.8から低下したが市場予想の11.0を上回った。コンファレンスボードの発表した8月の景気先行指数は前月比変わらずで予想の0.1%を下回わった。また、7月は0.4%へ下方改定された。8月の米中古住宅販売件数は年率換算で549万件となり予想の537万件及び前月の542万件を上回った。

9月14日にサウジの石油生産施設が武装勢力の無人機による攻撃を受けて生産に障害が発生し、米国はイランの関連を批判して19日にはトランプ大統領が「48時間以内に(新たな制裁を)発表する」と述べたため、中東情勢不安が継続しているのはドル円の上値を抑えている印象だ。サウジの原油生産回復については長期化を懸念する報道と早急に回復するとの楽観見通し報道が交錯しているが、米国による新たな制裁次第では中東情勢不安が拡大・継続しかねないところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月6日深夜安値から5日目となる16日早朝安値でサイクルボトムを付けて強気サイクルに入ってきたが、9月13日午前高値から4日目となる19日早朝高値から108円割れへ反落したため、19日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りしたと思われる。16日早朝安値を基準として今回のボトム形成期は19日の日中から23日朝にかけての間と想定される。
既に19日昼安値でボトムを付けた可能性もあるが、新たな高値更新へ進めないうちは20日の日中から週明け朝にかけての下落余地が残る。
また、19日昼安値からの持ち合いが20日夜へ続く場合は、19日昼安値を直近のサイクルボトムとしてその後の底割れから連続的な弱気サイクル入りとなる可能性も検討される。
108.20円を超えてくれば上昇再開感が強まるため、まず19日早朝高値試しを想定し、高値更新からは新たな強気サイクル入りとして24日から26日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、9月19日昼への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したが、その後は横ばいのため遅行スパンは好転しやすい位置にある。108.20円を超えて続伸に入れば両スパンそろっての好転となるので上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、19日昼安値を割り込む場合は19日早朝高値からの下落も二段下げへ発展するので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は19日昼への下落で30ポイントまで低下したがその後は持ち直している。相場が横ばいのため50ポイント前後は指数自身の抵抗となりやすいが、55ポイント超えから続伸に入れば上昇継続感が強まると思われ、40ポイント割れから下げ再開感、一段安警戒感が強まると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月19日昼安値107.78円を下値支持線、108.20円を上値抵抗線とみておく。
(2)108.20円を下回るうちは一段安警戒とし、107.78円割れからはまず107.50円、さらに材料を伴って続落の場合は107円台序盤への下落を想定する。107.25円以下は反騰注意圏とみるが、107.78円を割り込んだ状況が続くうちは週明けも安値を試しやすいとみる。
(3)108.20円超えから続伸の場合は上昇再開の可能性ありとして19日早朝高値108.47円試しを想定する。108.40円台では戻り売りも出やすいとみるが、108.47円超えからは一段高入りとして108.75円から109円を目指す可能性ありとみる。また108.47円を超えた後も108.20円以上での推移なら週明けも高値を試しやすいとみる。

【当面の主な予定】

9/20(金)
15:00 (独) 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 0.1%、予想 -0.2%)
23:00 (欧) 9月 消費者信頼感 (8月 -7.1、予想 -7.1)
24:20 ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演

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