<< 東京市場の動き >>
19日の東京市場は、ドルが下落。前日108円半ば近くまで上昇する局面も観測された動きから一転、一時108円を割り込む展開となった。
ドル/円相場は108.40円レベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。108.35-50円といった強保ち合いをたどるも、底割れすると、そのまま108円割れ。一気に107.75-80円まで大きく値を下げている。ただ、終盤にかけて若干ドルは買い戻されると、16時時点では107.95-00円で推移、欧米時間を迎えていた。
そうしたなか、豪ドルが冴えない。対円では74円台から73.10円台まで一時1円近い下落をたどっている。発表された8月の豪雇用統計で、失業率の上昇悪化や正規雇用者数のマイナスとなったことが嫌気されていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米金融政策」と「日銀金融政策」について。
前者については、FOMCが事前予想どおり「25bpの利下げ」を発表。しかし、肝心の「今後の展開」に関し、パウエルFRB議長が「必要に応じて、より大きな継続的利下げを否定しない」考えを示す反面、「今後の景気拡大の維持には穏やかな政策変更で十分との認識」を示したことで、予想よりタカ派な内容とする見方が広まった。これはドル買いの支援要因に。なお、トランプ米大統領はFOMCの直後、自身のツイッターで「当局者はまたも失敗した。根性も判断力もビジョンもない」などとFRBを強く批判している。
それに対して後者は、本日昼ごろ「日銀が金融政策の現状維持を決定」。と同時に、次回決定会合で「経済・物価動向を改めて点検していく考え」を明らかにしたことが、緩和策検討を示唆したとの見方に繋がると、市場で思惑を呼んだ。そんななか、夕方に実施された会見で黒田総裁は「2020年春ごろまで極めて低い長短金利を維持」、「物価モメンタムが損なわれる恐れには注視が必要」、「金融緩和、前回会合よりも前向きになっている」−−などと発言していた。
<< 欧米市場の見通し >>
前述したとおり、予想よりもタカ派となった米FOMCもあり、ドル円相場はドル高をキープ。さすがに勝負ありかと思っていたのだが、その後本日の東京は逆方向の展開で、108円を再び割り込むような値動きとなっている。基本的にはドル高方向のリスクが高いと考えるが、情勢はやや読みにくくなった。若干の迷いもある。少なくとも109円台回復、8月高値109.32円を目指す動きは、いったん仕切り直しとなる可能性も否定できない。
材料的に見た場合、継続案件として「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」、「サウジ情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」などが注視されている。それらすべてが要注意だが、FOMCを通過したことで「米金融政策」と、日米は暫定合意、米中進展期待が強い「米貿易問題」は以前より重要度が低下している。逆に「イラン情勢」や「サウジ情勢」などの比重が大きくなっている感を否めず、本日も関連発言などに注意を払いたいところだ。たとえば、トランプ氏が昨日「48時間以内に制裁発表」と発表したイラン情勢の続報は非常に気掛かり。
テクニカルに見た場合、足もとの動きはやや悩ましい。
連日レポートしてきた「年初来高値112.40円と8月高値109.32円を結んだ中期の下降トレンドライン」を、17日に続き18日のNYクローズでも上抜けている。いわゆる「しっかり抜けた」と言えそうな展開で、ドルの続伸リスクが指摘されるものの、実勢相場は再び107円台に押し戻されてきた。一連の動きを受け、一度上抜けた先の下降トレンドライン割れをうかがう様相を呈していることも気掛かりだ。飽くまで一回性のプルバックに過ぎないと考えるものの、いま少し動静を見極めたい。
一方、材料的に見た場合、9月のフィラデルフィア連銀景況指数や8月の中古住宅販売件数といった発表される米経済指標にまずは要注意。FOMCを終えたばかりながら、パウエル氏が「必要に応じて、より大きな継続的利下げを否定しない」と指摘しているだけに、このあとも米経済指標の内容に一喜一憂する展開は続きそうだ。
そんな本日欧米時間のドル円予想レンジは、107.60-108.50円。ドル高・円安方向は、昨日示現したドル高値108.48円をめぐる攻防にまずは注目。しっかり抜ければいよいよ109円台回復が現実味を帯びてくる。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値にあたる107.75-80円が最初の下値メド。底堅いイメージだが、仮に割り込んだ場合には、週初安値である107.44円がターゲットに。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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