ドル円見通し FOMC後に戻り高値を更新 8月1日からの下落に対する揺れ返し続く(9/19)

米FOMCは7月末の前回会合に続いて今年2回目の利下げを決定した。

ドル円見通し FOMC後に戻り高値を更新 8月1日からの下落に対する揺れ返し続く(9/19)

【概況】

8月26日に104.45円まで下落して今年1月3日及び昨年3月26日以来の105円割れとなったが、三度目の今回も105円割れを切り返してきた。9月5日の米中通商協議再開報道から続伸ムードとなり、9月11日には108円台を回復、先週末13日午前に108.26円、16日早朝にはサウジ石油施設への攻撃事件でいったん107.44円まで下げたものの早々に買い戻され、17日午前に108.36円とわずかに高値を切り上げつつ108円台を維持して19日未明のFOMC金融政策発表待ちに入っていた。
米FOMCは7月末の前回会合に続いて今年2回目の利下げを決定した。利下げは0.25%で市場の予想通りだったが、今後の追加利下げへの含みも持たせた内容だったために発表後にドル円は買われて108.47円まで高値を切り上げて8月1日高値109.31円まであと1円強というところまで迫った。

【FOMC、年内追加利下げに含み】

FOMCの参加メンバー17名のうち、2019年の金利見通しでは今回水準の1.75〜2.00%としたのが5名、1.50〜1.75%としたものが7名、前回水準に止まるとしたものが5名だった。メンバー全体の予想中央値としては今回の利下げで年内利下げは打ち止めということになるが、7名が追加利下げを主張していることにより、今後の景気動向や米中貿易戦争問題の推移によっては年内に三度目の追加利下げの可能性も含みを持たせられた印象だ。

FOMCが物価上昇率の目安としているPCEの予想中央値については、前回のメンバー予想とほぼ変わらずに2019年が1.5%、2020年が1.9%、2021年が2.0%だった。
GDP見通しについては若干上方修正され、2019年が2.2%(前回は2.1%)、2020年が2.0%(同2.0%)、2021年が1.9%(同1.8%)とされた。

パウエル米連銀議長は会合後の記者会見で景気が一段と悪化すれば積極的に利下げに踏み切ると述べたが、FOMCの姿勢はあくまでも予防的利下げ=「リスクに対する保険」であることが強調された。海外景気と貿易摩擦は一段と悪化しており、先行きの不確実性は残るものの米景気は緩やかに拡大していること、リセッションは予想していないこと、金融政策で政治的要因は考慮しないとした。

FOMC声明、議長会見内容は、特段のサプライズはなく、市場も過度な反応を示さなかった。トランプ政権が要求するような大幅利下げやゼロ金利・マイナス金利への踏み込み姿勢は見られなかったが、先行きの追加利下げの可能性も残ったために金融市場全般は想定内のリアクションだった。NYダウは前日比36.28ドル高の小幅上昇、米10年債利回りは横ばいの1.80%、30年債利回りは0.03%低下の2.24%、2年債利回りは0.04%上昇の1.77%。為替市場ではユーロが下落、ポンドは小動き、豪ドルは下落、ドル円は上昇したが過剰な動きはなかった。

FOMCが年内に追加利下げへ動けば、世界的な金融緩和感は拡大すると予想されるために、FOMCが注視している米中問題における9月後半の米中事務レベル協議、10月上旬の米中閣僚級協議へ向け、部分的ないし暫定的な合意により双方関税強化が緩むか、もしくは一旦中断されるような状況改善に至るのかどうかが大事になってくる。また今回の米連銀利下げに対して、各国の追従度合いも注目される。サウジへの無人機攻撃事件発生による中東情勢不安はやや収まっているが、今後の展開によっては中東有事リスクもFOMCとして意識せざるを得なくなるかもしれない。
FOMC声明発表後、トランプ大統領は「米連銀はまた失敗した」と批判、大幅利下げやマイナス金利導入を要請するような政治的圧力も増してゆくと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月6日深夜安値から5日目となる16日早朝安値で直近のサイクルボトムを付けたと思われる。13日午前高値を基準とすれば今回の高値形成期は18日から20日にかけての間と想定されるが、9月12日以降は13日、17日、19日未明へ高値を切り上げる一方で12日夜から16日未明へ安値も切り下げたため、レンジ拡張型の三角持ち合いを形成して上放れに入ったという印象もある。このため今回の高値形成期が17日午前高値を基準として24日にかけての間まで延長される可能性もあると思われる。108円割れからはいったん弱気サイクル入りと仮定して19日の日中から23日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、9月16日朝の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したがその後の切り返しで遅行スパンは再び好転し、先行スパンも上抜き返した。19日未明の一段高により両スパンそろって好転している。このため、遅行スパン好転中は高値試し優先とし、108円割れから続落の場合は先行スパン転落も伴うために遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は16日未明安値からの上昇中は50ポイントを割り込んだところは切り返しているのでまだ上昇余地ありとみるが、16日朝からの上昇も丸3日を経過したので次に50ポイントを割り込むところからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月19日未明安値108円を下値支持線、108.50円を上値抵抗線とみておく。
(2)108円を上回るうちは上昇余地ありとし、108.50円超えからは109円台序盤を目指すとみる。108.75円以上は反落注意だが、108.20円以上での推移なら20日の日中も高値を試しやすいとみる。
(3)108.20円割れを弱気転換注意、108円割れからは弱気サイクル入りと仮定して16日早朝安値107.44円試しへ向かうとみる。107.50円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、108円以下での推移中は20日の日中も安値を試しやすいとみる。

【当面の主な予定】

9/19(木)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利発表 (現行 -0.10%)
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行政策金利 (現行 6.50%、予想 6.50%)%)
10:30 (豪) 8月 新規雇用者数 (7月 4.11万人、予想 1.00万人)
10:30 (豪) 8月 失業率 (7月 5.2%、予想 5.3%)
13:30 (日) 7月 全産業活動指数 前月比 (6月 -0.8%、予想 0.2%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
16:30 (ス) スイス国立銀行3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値 (現行 -0.75%、予想 -0.75%)

17:00 (欧) 7月 経常収支・季調済 (6月 184億ユーロ)
17:00 (欧) 7月 経常収支・季調前 (6月 231億ユーロ)
17:30 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 0.2%、予想 0.0%)
17:30 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (7月 2.9%、予想 2.6%)
17:30 (英) 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.2%、予想 0.0%、)
17:30 (英) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 3.3%、予想 2.9%)
20:00 (英) イングランド銀行(BOE)金利発表 (現行 0.75%、予想 0.75%)
20:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 4350億ポンド、予想 4350億ポンド)
20:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨

21:30 (米) 4-6月期 経常収支 (前期 -1304億ドル、予想 -1278億ドル)
21:30 (米) 9月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (8月 16.8、予想 11.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.4万件、予想 21.3万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 167.0万人、予想 167.2万人)
23:00 (米) 8月 景気先行指数 前月比 (7月 0.5%、予想 0.1%)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (7月 542万件、予想 537万件)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数 前月比 (7月 2.5%、予想 -0.4%)

9/20(金)
08:30 (日) 8月 全国消費者物価指数 前年同月比 (7月 0.5%、予想 0.3%)
08:30 (日) 8月 全国消費者物価指数(生鮮食料品除く) 前年同月比 (7月0.6%、予想0.5%)
08:30 (日) 8月 全国消費者物価指数(生鮮食料品・エネルギー除く) 前年同月比(7月0.6%、予想0.5%)
15:00 (独) 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 0.1%、予想 -0.2%)
23:00 (欧) 9月 消費者信頼感 (8月 -7.1、予想 -7.1)
24:20 ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演

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