ドル円見通し ECB利下げ・量的緩和再開で欧米日の緩和拡大感強まる(9/13)

ECB利下げに対してドル円はユーロ円での急落場面で下落したが、その後は株高によるリスクオン心理に支えられて反騰

ドル円見通し ECB利下げ・量的緩和再開で欧米日の緩和拡大感強まる(9/13)

【概況】

8月1日の米トランプ大統領による中国への制裁関税第4弾発動宣言からの下落は8月23日の中国による米国への対抗関税拡大発表、それに対する米国の報復措置宣言でクライマックスとなり、8月26日朝に今年1月及び昨年3月以来となる104円台へ突入、104.45円の安値を付けて2016年11月以来の安値水準到達となったが、その後は米中協議再開への期待感を背景に巻き返しの上昇へ転じた。9月5日には10月上旬に米中閣僚級協議が開催予定とされたことで8月23日夜からの急落前高値を超えた。中国が報復関税の対象範囲を縮小、トランプ大統領がそれを評価して10月上旬の閣僚級協議の結果が出るまでは8月23日に宣言したすでに実施済である第1弾から第3弾までの関税率拡大発動を延期するとしたことで11日には108円台を回復、12日には108.16円まで高値を切り上げてきた。

【ECBの次はFOMC、日銀】

9月12日夜、ECBは定例理事会で政策金利のうちの中銀預入金利(市中銀行からの預け入れられた余剰資金に適用する金利)を現在のマイナス0.4%からマイナス0.5%へ引き下げた。さらに昨年末で終了していた量的緩和でも11月から月200億ユーロ規模の資産購入を再開するとした。フォワードガイダンスについても、従来の「少なくとも2020年上半期まで利上げを見送る」としていた文言を削除して物価目標の明示も取りやめた。ただし、現在0%である主要政策金利と0.25%の上限貸出金利は2016年3月のまま据え置いた。
ECBの金融政策発表からユーロドルは乱高下となり、12日夜にはユーロは1.09268ドルまで急落して9月3日夜安値1.09261ドルに迫ったが、当面のユーロ売り材料消化として買い戻しに転じ、13日未明には急落前高値を上抜き返して1.10870ドルまで上昇した。ECB利下げに続いて9月17−18日の米FOMCでの追加利下げも予想されていること、9月18−19日の日銀金融政策決定会合でもこれらに対抗する金融緩和政策が打ち出される可能性も出ているためと思われる。

ECB利下げに対してドル円はユーロ円での急落場面で下落したが、その後は株高によるリスクオン心理に支えられて反騰し、12日昼高値を上抜いて8月26日朝安値以降の高値を更新した。

株式市場ではECBの利下げを好感、FOMCでの追加利下げ期待も強まったとして、NYダウは前日比45.41ドル高で7連騰となった。株高は債券売りとなり、米10年債利回りは0.04%上昇の1.78%となり、長期金利面でドル円を押し上げた。

【104日移動平均、去年の支持線、今年の抵抗線】

9月12日の上昇で108.16円を付け、13日未明にはさらに高値を切り上げているが、104日移動平均のある108.28円に迫っている。昨年、10月への上昇期においては、大きな中間調整の安値だった8月21日安値と、10月26日から12月6日安値にかけての三角持ち合いの安値ラインが104日移動平均を下値支持線としていたが、12月にこの104日移動平均から転落したところから年明け1月3日安値への暴落が始まった。
今年4月24日の戻り天井以降では、5月21日の最初の反発時の高値、8月1日の高値が104日移動平均に抑えられており、昨年の下値支持線効果と逆に上値抵抗線となっている。裏返せば104日移動平均を超えて続伸入りすれば4月24日からの下落基調からの脱却となり、さらに8月1日高値を超えれば戻り高値切り下がりパターンからも脱却して上昇感が強まる可能性があるわけだが、104日移動平均が今回も戻り抵抗となるようなら、次に26日移動平均を割り込むところから下げ再開となりやすい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月3日深夜安値から3日目となる9月6日夜安値からの上昇で9月5日深夜高値を超えたため、10日朝時点では9月6日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入ったとした。また9月5日深夜高値を基準として今回の高値形成期を10日夜から12日深夜にかけての間と想定されるとしてきた。
12日夜にいったん下落してからの反騰で12日昼高値を超えたため、9月6日深夜安値から4日目となる12日夜安値で直近のサイクルボトムをつけ、12日昼高値を超えたことですでに新たな強気サイクルに入ったと思われる。12日昼高値を基準として新たな高値形成期は17日の日中から19日にかけての間と想定される。ただし、戻りは短命の可能性もあるので12日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして17日夜から19日夜にかけての間への下落が想定される。

60分足の一目均衡表では、9日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。26本基準線割れ、遅行スパン悪化と続く場合は弱気転換注意とし、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12日夜に急落してからV字反発で60ポイント台を回復しているので上昇再開感が強い印象だ。ただし12日昼高値を上抜いているものの指数のピークは12日昼時点より切り下がっているので弱気逆行形成の可能性もあると注意し、50ポイント割れからは下げ再開注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.70円、次いで12日夜安値107.52円を下値支持線、108.25円から108.50円を上値抵抗帯とみておく。
(2)108円を割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、108.25円超えの場合はまず108.50円試しとする。108.50円以上は反落注意だが、さらにリスクオン心理が拡大して株高と同調した続伸となる場合は109円に迫る可能性ありとみる。また107.70円以上での推移なら週明けも高値を試しやすいとみる。
(3)107.70円割れを弱気転換注意として12日夜安値107.52円試しとし、底割れからは弱気サイクル入りと仮定して107円前後への下落を想定する。107円割れはいったん買い戻されやすいとみるが、107.52円を割り込んだ後も107.70円以下での推移なら、週明けも安値試しを続けやすいとみる。また、リスクオフ材料を伴って下落する場合は106.50円台まで下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

9/13(金)
休場 中国(中秋節)
香港デモ、対政府5大要求回答期限
13:30 (日) 7月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 1.3%)
13:30 (日) 7月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 0.7%)
13:30 (日) 7月 設備稼働率 前月比 (6月 -2.6%)
18:00 (欧) 7月 貿易収支・季調済 (6月 179億ユーロ、予想 175億ユーロ)
18:00 (欧) 7月 貿易収支・季調前 (6月 206億ユーロ)
21:30 (米) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 0.2%、予想 -0.4%)
21:30 (米) 8月 輸出物価指数 前月比 (7月 0.2%、予想 -0.4%)
21:30 (米) 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.7%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 1.0%、予想 0.1%)
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数 (8月 89.8、予想 90.5)
23:00 (米) 7月 企業在庫 前月比 (6月 0.0%、予想 0.3%)

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