<< 東京市場の動き >>
12日の東京市場は、連日のドル堅調裡。前日は越えられなかった108円の壁を超え、8月1日以来の高値を示現している。
ドル/円相場はおおむね「寄り付き安・大引け高」の展開。40ポイント程度とレンジそのものは決して広くなかったが、寄り付いた107.75-80円を日中安値に、ドルは緩やかな右肩上がりをたどっている。本日も、「米中貿易協議の進展期待」がドル買い・円売りの材料になっていたようだ。108円を上抜けると、そのまま日中高値である108.15円レベルを記録。その後も高値圏での推移を続け、15時時点では108.00-05円で推移し、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中貿易問題」と、それ以外の「米国ファクター」について。
前者については、前日のNY時間から要人発言などでポジティブな見通しが相次ぐ。一例を挙げると、トランプ米大統領「中国が貿易で取引を望んでいる」との発言に続き、中国財政省が「16品目の米国製品を追加関税適用から免除」と発表。また後者に対して、トランプ氏は「大きな動き」と歓迎コメントを発していた。さらにその後、同氏は10月1日に予定していた対中関税率引き上げを「15日に変更する」と発表、これがドル一段高のトドメに。
それに対して後者は、ついに来たという感じでトランプ氏から「FRBは金利を0%以下に下げるべき」との発言、口先介入があったほか、「対イラン制裁緩和の可能性示唆」、「対米テロ阻止のため前例ない力を行使する」とのコメントも。反面、米下院が「ロス米商務長官の気象当局圧力疑惑」をめぐり調査開始した、との発表もあり、別の視点で思惑を呼んでいた。
<< 欧米市場の見通し >>
引き続き市場動意のメインテーマは「米中貿易協議」。そして前述したように、あれだけポジティブな見通しが連続すれば、ドル一段高の進展もやむなしかと思う。ちなみに、8月高値109.32円を起点とした下げ幅のフィボナッチでは、次の上値メドは76.4%戻しに当たる108.15-20円となり、これは本日東京高値に近い。まずは同レベルの攻防に注目、抜ければさらなる続伸、109円に接近する展開も。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」などを注視。様々な重要材料があるなか、ここ数日は「米中貿易協議」が市場動意の材料になっている感を否めないが、やや気になるのは先でも取り上げたように、トランプ氏からついに「FRBは金利を0%以下に下げるべき」といった口先介入が観測されたことだ。来週17-18日に米FOMCを控えていることで、「米金融政策」がもう少しフィーチャーされる可能性もあり、その場合にはドルの上値を抑制する一因となっても不思議はないだろう。いずれにしても、トランプ氏などによる「利下げ圧力」、FRBへの口先介入には引き続き注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、昨日の東京夕方段階では上抜けが微妙だった一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する107.70-75円だが、その後のNYでしっかりと越えてきた。そして、本日東京では108円台回復をみせている。8月26日に記録した目先安値104.46円を起点に、調整らしい調整もなく3週間近い上昇で、さすがに短期的には買われ過ぎの域に。そのため調整を懸念する声もあるが、流れそのものはドル高で、さらなるドル高進行を予想する向きも少なくない。
一方、材料的に見た場合、8月の消費者物価指数など幾つかの米経済指標が発表される予定のほか、米財務省による30年債の入札が実施される見込みとなっている。
それ以外でも、いわゆる「米国ファクター」で気になる要因は多いほか、英国情勢を中心とした欧州ファクターも気掛かり。たとえば、後者については、スコットランドの最上級裁判所が、ジョンソン英首相による「来月中旬までの英議会閉会は違法」との判断を示しており、判決を受けて訴訟を起こしたスコットランド民族党が「ただちに議会の再招集を求める」方針を明らかにしている。まだまだ一波乱も二波乱もありそうだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.50-108.40円。ドル高・円安方向は、本日東京高値である108.15円レベルの攻防にまずは注目。抜ければ108.40-50円がターゲットで、それも越えれば109円台回復もみえてくる。
対するドル安・円高方向は、107.80円レベルに弱いサポートが位置しており、それが最初の下値メド。ただ、割り込んでも底堅そうで、107.50-70円に位置する次のサポートでは下げ止まる展開か。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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