海外時間の為替概況
11日の海外市場でドル円は続伸。@米・8月生産者物価指数(結果1.8%、予想1.7%)及び同コア指数(結果2.3%、2.2%)が市場予想を上回ったことや、A中国が一部の米国製品に対して追加関税適用免除を発表したこと、B上記Aを受けて米株高・米長期金利上昇の流れが強まったことなどが支援材料となり、ドル円は引けにかけて、8/1以来、約1ヶ月半ぶり高値となる107.85まで上昇しました。トランプ米大統領は「FRBは政策金利を0%かそれ以下に引き下げるべき。それを受けて我々は債務の借り換えを行う」「他の国が既にやっていることを認めようとしないのは、馬鹿正直なパウエルFRB議長とFRBだけ」「愚か者共の為に我々は千載一遇のチャンスを失っている」と痛烈なFRB批判を行いましたが、為替市場の反応は限定的となっております。
一方、ユーロドルは急落。1.1060近辺に控えるボリンジャー・ミッドバンドに続伸を阻まれると、本日開催されるECB理事会での根強い追加緩和期待や、米長期金利の上昇を背景としたドル高地合いが重石となり、米国時間には約1週間ぶり安値となる1.0985まで下げ幅を広げました。もっとも、1.10割れの水準では押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、引けにかけて再び反発。結局1.1010近辺でのクローズとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、107円ミドルのレジスタンスをクリアに突破すると、107円台後半まで上昇しました。@トレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドを6営業日連続で上回っていること、A強い上昇トレンドを示唆するバンドウォーク(上限)が発生していること、B8/12安値(105.05)と8/26安値(104.45)を起点とするダブルボトムの上放れが完成したこと、C強い買いシグナルを表す一目均衡表・三役好転が出現したことなどを考慮すれば、ドル円はテクニカル的にみて「更なる上昇」が期待されます。但し、本稿執筆時点では、90日移動平均線(107.86)の突破には至っておらず、同水準に続伸を阻まれる可能性もあります。また108円ちょうどといった心理的節目を前に一旦戻り売りが強まる可能性もあり、ここからの上値は追いには注意が必要でしょう。
ファンダメンタルズ的には、先週発表されたISM製造業景況指数や非農業部門雇用者数が冴えなかった一方、ISM非製造業景況指数や生産者物価指数は強めの数字が示されました。また、パウエルFRB議長は9/6のスイスでの講演にて、25bpの追加利下げを滲ませつつも、50bpの利下げを示唆する発言は行いませんでした。この結果、50bpの大幅利下げの可能性はほぼ無くなり、過度に織り込まれた追加利下げ期待の修正→米長期金利上昇→ドル買いの流れが強まりました(米10年債利回りは9/3のボトム1.429%からわずか7営業日で1.751%まで急上昇)。
但し、上述の通り、トランプ米大統領はFRB批判を再開させております。また、急ピッチでポジション調整が進んだ後なだけに、イベントを前にした反落リスクも警戒されます。本日発表される米・8月消費者物価指数が市場予想を下回る結果となれば、米長期金利低下→ドル売りの流れが強まる恐れもありそうです。加えて、本日は今週のメインイベントであるECB理事会も予定されております。@預金ファシリティ金利の引き下げ(▲10bp)はほぼ確実視されているものの、A金利階層化の導入(マイナス金利が金融機関に及ぼす悪影響を軽減する目的)や、B長期的な低金利を約束するフォワードガイダンス、C昨年12月に終了した量的緩和の年内再開の発表、Dインフレターゲットの見直しについては、未だに市場でも意見が割れており、ボラティリティの上昇は必至となっております。本日はドル円の反落リスクに警戒が必要でしょう。(本日の予想レンジ:107.00ー108.00)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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