ドル円見通し リスクオンで戻り高値切り上げ続く、逆三尊型からの揺れ返しを試す(9/10)

米中問題も、ブレクジットもこれまで何度も悲観と楽観とその後の失望を繰り返してきたので、手放しでの楽観継続とまでは言えない。

ドル円見通し リスクオンで戻り高値切り上げ続く、逆三尊型からの揺れ返しを試す(9/10)

【概況】

8月23日夜に中国が米国への報復関税拡大を表明し、米国が即座に反撃の対抗策を表明したことで8月23日高値106.73円から8月26日朝安値104.45円まで急落して昨年3月26日及び今年1月3日安値を割り込んだが、今回も105円割れを切り返している。
8月30日未明に106.68円まで戻したところでは8月23日急落前高値を超えられなかったが、9月4日からリスクオン材料がつづき、5日には米中閣僚級協議再開報道も出たことで9月5日深夜には107.22円を付けて8月23日高値をクリアした。

9月6日夜の米雇用統計での非農業部門就業者増加数が予想を下回ったことで106.62円まで下げ、週末時点ではリスクオン心理を背景としたドル円の上昇には若干のブレーキがかかったが、週明けもリスクオン型の動きが続き、株高債券安・米長期債利回り上昇、為替市場では豪ドルやユーロが上昇、ポンドもいったん小反落した後に高値を更新するなどドルストレートではドル全面安となったが、クロス円では円が全面安となり、ドル円においてもドル高円安となって9月5日夜高値を超えている。

【全般的なリスクオンムード、続くか】

ドル円及びクロス円を押し上げている全般的なリスクオン心理は、9月4日の豪GDPが予想と一致して市場安心感が出たこと、財新の8月非製造業PMIが予想を上回ったことで始まり、香港の逃亡犯条例改正案撤回報道がさらにこの流れを助長していた。9月5日には米中協議再開が報じられ、ブレクジット問題でもジョンソン首相の強硬路線を阻止するために議会が合意無き離脱を阻止し、離脱期限を来年1月末まで延長することをEUに要請する法案成立の流れとなったことがリスクオン心理をさらに加速した。

ポンドは9月3日に1.19582ドルまで下げて2017年1月底も割り込んだがその後は大幅反騰している。ユーロも9月3日に1.09261ドルまで下げて2017年5月以来の安値を付けた後は反騰している。豪ドルも0.66768ドルまで下落して1月3日安値を割り込み2009年4月以来の安値となったがその後は戻している。いずれも歴史的下落が一服してのリバウンドと思われるが、昨年から1年以上の下落継続によりかなり市場のセンチメントが悲観に傾斜していた中でのリスクオン材料続きだったために売り方の買い戻しを中心に反騰している状況と思われる。
ドルストレートでのドル安とクロス円での円安が交錯する中で、株高による円安感がやや勝ってドル円も上昇しているが、他のクロス円と比較すると上昇はやや鈍い印象だ。

ひとまずリスクオン心理で戻しているところだが、米中問題も、ブレクジットもこれまで何度も悲観と楽観とその後の失望を繰り返してきたので、手放しでの楽観継続とまでは言えない。
英国は10月末の合意無き離脱を英国側は拒否し、EUに対して合意無き場合は1月末まで延期する事を要請するが、EU側がどの程度譲歩するのかは定かではない。またジョンソン首相が支持基盤を失えば英国政局もまた混乱に陥るため、引き続き観察が必要だ。

米中問題では、9月5日に月内の事務レベル協議再開と10月上旬の閣僚級協議開催が表明されたものの、まだ下交渉であり具体的な日程等は決まっていない。9月9日の報道ではムニューシン米財務長官が今回の閣僚級協議に中国人民銀行(中央銀行)総裁も参加すると述べており、人民元安問題と米国による為替操作国認定が議題となるようだ。一挙に合意形成へ向かう可能性もあるものの、これまで何度も挫折を踏まえるとまだ紆余曲折がありえると思う。

9月17−18日の米連銀FOMCでは0.25%%の利下げが予想されているが、年内さらに追加利下げされる可能性についてはまだ市場の期待も5割に満たない。金融市場全般がリスクオン心理を回復してきているので、トランプ大統領が主張する大幅な利下げにはならず、あるいは現状維持で様子見の可能性もあるが、株高とドル安誘導のためにトランプ政権の米連銀批判は一段と強まると思われること、政策決定の度にトランプ大統領が対中問題で行動を起こして米連銀の想定を壊してきたこともある。次回FOMC及びパウエル議長の政策姿勢によっては米長期債利回りの低下再燃もあり得るところ。

【逆三尊は中段の二段戻しに留まるか、8月1日高値への揺れ返しへ発展するか】

以下は週間見通しで指摘したことだが、ドル円を2時間足、4時間足で見ると、8月26日安値を頭、8月12日夜安値を左肩、9月3日深夜安値を右肩とし、107円をネックラインとした逆三尊型の形成が見られる。9月9日には9月5日高値を超えてきているので107円前後にあったネックラインを突破して逆三尊が完成している印象が強まった。

9月5日深夜高値を超えて続伸しているので、逆三尊完成として上値目途を計測すれば、逆三尊構成中の高安レンジの2倍として109.71円が上値計算値となり、9月1日高値109.31円を超える可能性も出てくる。リスクオン心理がさらに強まり株高継続ならドル円もまず108円、さらに8月1日高値への揺れ返し上昇へ進む可能性も考えられる。
ただし、逆三尊型が形成されても、それが「大底の逆三尊」なのか、下げ途中の二段戻しを示す「中段の逆三尊」に過ぎないのかはまだ確定しない。8月26日から8月30日への一段目の上昇並みの上値計算値107.97円手前までの上昇から失速するなら中段の三尊による二段戻し一巡から下げ再開となりかねない点に注意がいる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月3日深夜安値から3日目となる9月6日夜安値からの上昇で9月5日深夜高値を超えたため、9月6日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入ったと思われる。9月5日深夜高値を基準として今回の高値形成期は10日夜から12日深夜にかけての間と想定されるので、10日の日中から夜にかけてはまだ上昇余地ありとみる。ただしサイクルトップは短縮されるケースもあるので、107円台を維持できずに失速し始める場合は弱気転換注意として6日夜安値試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、9日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。弱気転換は両スパンそろって悪化するところからとし、6日夜安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試しが続きやすくなるとみる。

60分足の相対力指数は60ポイント台へ戻している。9月5日深夜高値形成時と比較すると指数のピークが低いため、弱気逆行を形成する可能性もあるとみて、特に指数が逆行したたままで10日夜以降に下落する場合は50ポイント割れからの下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、107.00円から106.80円を下値支持帯、107.50円を上値抵抗線とみておく。
(2)107円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、107.50円試しを想定する。107.50円前後では売りも出やすいと注意するが、さらに続伸の場合は107.75円から108円手前をうかがう上昇を想定する。また107円以上での推移なら11日の日中も高値を試しやすいとみる。
(3)107円割れから続落する場合は弱気転換注意とし、106.80円割れからは先行スパン転落となるため下げ再開と仮定して9月6日夜安値106.62円試しとし、底割れからは弱気サイクル入りにより106円前後試しへ向かうとみる。また6日夜安値を割り込んだ後も106.75円以下での推移なら11日の日中も安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

9/10(火)
08:50 (日) 8月 マネーストックM2 前年同月比 (7月 2.4%、予想 2.4%)
10:30 (中) 8月 消費者物価指数 前年同月比 (7月 2.8%、予想 2.6%)
10:30 (中) 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 -0.3%、予想 -0.9%)
10:30 (豪) 8月 NAB企業景況感指数 (7月 2)
17:30 (英) 8月 失業保険申請件数 (7月 2.80万件、予想 3.00万件)
17:30 (英) 8月 失業率 (7月 3.2%)
17:30 (英) 7月 失業率・ILO方式 (6月 3.9%、予想 3.9%)

9/11(水)
08:50 (日) 7-9月期 大企業全産業業況判断指数(BSI) (前期 -3.7)
08:50 (日) 7-9月期 大企業製造業業況判断指数(BSI) (前期 -10.4)
09:30 (豪) 9月 ウエストパック消費者信頼感指数 (8月 100.0)
21:30 (米) 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 0.2%、予想 0.1%)
21:30 (米) 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 1.7%、予想 1.8%)
21:30 (米) 8月 生産者物価コア指数 前月比 (7月 -0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 生産者物価コア指数 前年同月比 (7月 2.1%、予想 2.2%)
23:00 (米) 7月 卸売在庫 前月比 (6月 0.0%、予想 0.2%)
23:00 (米) 7月 卸売売上高 前月比 (6月 -0.3%)

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