ドル高続くか否か正念場、米金融政策に注目(週報9月第2週)

先週のドル/円は、ドルが強含み。一時は107円台を回復し、8月2日以来およそ1ヵ月ぶりの高値を示現する局面も観測されている。

ドル高続くか否か正念場、米金融政策に注目(週報9月第2週)

ドル高続くか否か正念場、米金融政策に注目

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、ドルが強含み。一時は107円台を回復し、8月2日以来およそ1ヵ月ぶりの高値を示現する局面も観測されている。

前週末、日本時間の9月1日午後1時1分に、米国が対中制裁関税の「第4弾」を発動。中国からの輸入品3243品目、およそ12兆円相当に15%の追加関税を課す一方、中国も同じ時刻に農産物を中心とした1700あまりの品目に、最大10%の追加関税を発動するという報復合戦が聞かれるなか、週明けの為替市場が寄り付いた。

ドル/円相場は、そうした事態を嫌気し、先週末のNYクローズよりもややドル安である106.00-05円でオープンしたのち、当初はドル安・円高が優勢。週間安値である105.74円まで値を下げている。しかしもボトムを確認後、ドルは一転して右肩上がり。上方向に位置していた複数のテクニカルポイントを超えると、一気に107円台へ。週間高値107.23円を達したのち、多少値を崩すもすでに下値は堅い。結局、週末NYは106.95円前後のドル高値圏で取引を終え、越週している。
なお、ユーロ/円が一時年初来安値を更新する局面なども観測されたが、週間を通しては円全面安の様相。ドル/円だけでなく、前述したユーロ/円も週間安値115.87円から、118.60円レベルまで2.7円ほどの反発が観測されていた。

一方、週間を通した材料は、「米中貿易問題」と「英国情勢」について。
前者については、先で指摘したような状況に加え、中国商務省が米国からの追加関税措置に対し、「世界貿易機関(WTO)に提訴する」と発表。また、ブルームバーグが「9月通商協議の日程をめぐり、米中が合意できないでいる」と報じるなど、貿易問題のドロ沼化が懸念されドルの弱材料に。しかし、中国商務省が「閣僚級の通商交渉を10月初旬にワシントンで開催することで米中が合意した」と発表、さらに9月半ばから準備会合を実施すると指摘したことで流れが一変、105円台から107円台までドルが急反発する原動力となった。
対して後者は、ジョンソン首相の提案した「10月解散総選挙」が議会で否決されるなど、EU離脱をめぐる同氏の提案は連戦連敗。手詰まり感も漂うが、ジョンソン氏は「10月末のEU離脱期日を延期するよりは『野垂れ死に』することを選ぶ」と発言するなど、強気スタンスを崩していないようだ。そうしたなか、為替市場は「合意なき離脱の可能性が遠退いた」との見方が優勢で、週間を通してはポンドの買い戻しに作用している。

<< 今週の見通し >>

先週は、「米中貿易協議の進展期待」と、それを受けた「NYダウを中心とした米株大幅高」を材料にドルが上値を伸ばす展開となった。期待先行で買われ過ぎている感も否めないものの、それでも一時107.23円まで達するなどレンジを上抜けた感もあり、リスクという点ではドル高方向にバイアスか。ちなみに、先週高値を超えた場合のターゲットは、フィボナッチによるテクニカルポイントの107円半ば、そして今週末にかけて107.70円程度までレベルを切り下げてくる一目均衡表の先行帯の雲の上限をめぐる攻防となりそうだ。

材料的に見た場合、大きな括りでは「米国ファクター」とそれ以外に分類され、前者でいえば「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」のほか「貿易問題」、「金融政策」などが依然として注視されている。それらすべてが要注意だが、9月17-18日にFOMCが実施されることもあり、短期的には「米金融政策」への関心がもっとも高いかもしれない。先週発表された8月のISM指数や雇用統計を参考にすると、利下げの可能性が高まっている感があるものの、すでに「ブラックアウト期間」と言われる当局者が発言を控えるなかに入っているだけに、ちょっとした事象で様々な思惑などが飛び交う可能性も否定出来ないだろう。

テクニカルに見た場合、先週は一時1ヵ月ぶりの高値となる107円台を回復するなど、基本的なリスクは上向きか。上値メドである107円半ばや108円台に向けたドル続伸に注意を払いたい。
ただし、再三再四指摘しているように、昨年来の相場は「レンジを一時的に抜けたものの、気が付くとレンジ内に回帰」するという、ダマシが少なくないことはやや気掛かり。ちなみに下方向については、これまで右肩下がりをたどってきたものの、106.20円前後で下げ止まると横ばいから再び上向きへ転じる公算の大きい移動平均25日線の攻防が注視されている。

一方、材料的に見た場合、8月の消費者物価指数や9月のミシガン大消費者信頼感指数など発表される米経済指標にまずは要注意。先週は、発表された8月のISM指数や雇用統計が予想を下回ったものの、週間を通してみれば米経済指標はまだら模様だった。FOMCに向け、発表された指標内容に一喜一憂するという展開はまだ今週も続きそうだ。
そのほか、引き続き「米中関係」に関するニュースも波乱含みか。貿易協議の行方もさることながら、11-12日に一帯一路サミットが開催される香港情勢なども気掛かり。

そんな今週のドル/円予想レンジは、105.70-108.00円。ドル高・円安については、先週高値107.23円の攻防にまずは注目。上抜ければ107円半ば、107.70円などが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週上抜けてきたそれまでの抵抗である106.60-70円が最初のサポート。下回ると25日線が位置する106.20円前後がターゲットとなり、それを割り込むと105円台突入も。(了)

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