来週の為替相場見通し 『ジャクソンホールがメインイベント。ハト派的となればドル売り再開も』(8/17朝)

短期筋のショート・ポジションは幾分軽くなったと見られることから、来週は一巡後の売り直し(ショート・ポジションの再造成)に警戒が必要でしょう。

来週の為替相場見通し 『ジャクソンホールがメインイベント。ハト派的となればドル売り再開も』(8/17朝)

ジャクソンホールがメインイベント。ハト派的となればドル売り再開も

今週のレビュー(8/12−8/16)

今週のドル円相場は、世界的なリスク回避ムードの高まりを背景に、週明け早々に約7ヶ月ぶり安値となる105.05まで急落しました。しかし、@米・7月消費者物価指数(結果1.8%、予想1.7%)や、同・コア指数(結果2.2%、予想2.1%)が市場予想を上回ったこと、A米通商代表部(USTR)が対中関税の第4 弾について、「一部製品に対しては12/15まで発動を延期する」と発表したこと、B中国商務省より「2週間以内に再度電話協議を実施すること」が報じられると、ショートカバー主導で急伸し、8/13には、一時106.97まで上値を伸ばしました。

もっとも、107円手前では戻り売り意欲も根強く、C中国・7月鉱工業生産(結果4.8%、予想6.0%)や、同・小売売上高(結果7.6%、予想8.6%)が冴えない結果となったことや、D香港におけるデモ隊と警察との衝突が激化したこと、 E米金利の長短金利差逆転を背景に米経済のリセッション懸念が強まったこと、F中国商務省による「米国は新たな10%の追加関税によって米中首脳による合意を破った」「対抗措置を取らざるを得ない」との発言が米中貿易摩擦の再燃を連想させたこと、G米10年債利回りが2016年8月以来となる1.475%まで急低下したこと等が重石となると、週後半にかけて再び下落。一時105.70 近辺まで下げ幅を広げる場面も見られました。

但し、その後発表されたH米・7月小売売上高(結果0.7%、予想0.3%)や、米・8月NY連銀製造業景況指数(結果4.8、予想3.0)、米・8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果16.8、予想10.0)が軒並み良好な結果を示すと反発に転じ、結局、106.30台まで持ち直しての越週となっております。

今週のユーロドル相場は、週初に高値1.1232まで上昇するも、1.12台前半に控える90日移動平均線に6営業日連続で続伸を阻まれると、@イタリアを巡る政局不透明感の高まりや、A米政権による対中関税一部延期のサプライズ、Bドイツ・8月ZEW景況感指数(結果▲44.1、予想▲28.0)の急低下、Cドイツ・第2四半期GDP(結果▲0.1%、予想▲0.1%)のマイナス転化、Dユーロ圏・6月鉱工業生産(結果▲1.6%、予想▲1.5%)の予想比下振れ、Eフィンランド中銀レーン総裁による「9月に大規模な景気刺激策を発表する」との発言などが重石となり、週末にかけては、8/1以来、約2週間ぶり安値となる1.1066まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも上値は重く、結局1.1090付近での越週となっております。尚、ドイツ10年債利回りはこの間、過去最低水準となる▲0.727%まで急低下。欧州の景気減速懸念の高まり→次回ECB理事会(9/12)での追加緩和観測高進→欧州債利回り低下の波及経路で、「ユーロ売り」が強まった格好です。

来週の見通し(8/19−8/23)

今週のドル円相場は、週初に約7ヶ月ぶり安値となる105.05まで下げ幅を広げるも、対中関税一部延期のサプライズを支援材料に、結局106円台を回復しての越週となりました。とはいえ、@ダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)、A強い売りシグナルを表す「一目均衡表・三役逆転」などを考慮すれば、リスクは依然「下方向」と判断できます。8/13に発生したショートカバーを受けて、短期筋のショート・ポジションは幾分軽くなったと見られることから、来週は一巡後の売り直し(ショート・ポジションの再造成)に警戒が必要でしょう。

ファンダメンタルズ的に見ても、@世界的な貿易戦争が世界的な通貨安戦争(利下げドミノ)に波及するリスクや、A米中貿易摩擦を巡る先行き不透明感の高まり(※2週間以内に電話会談の予定)、B米国で見られる2年債と10年債の逆イールドを巡るリセッション懸念、Cイランやトルコ、朝鮮半島、インドやパキスタンを巡る地政学的リスクの高まり、D英国を巡る合意なき離脱リスクの危険性、E世界経済の不安定化、F香港を巡る緊張継続、Gドイツ経済のマイナス成長、Hイタリアやアルゼンチンを巡る政局不透明感の高まりなど、ネガティブ材料は山積みです。また、I追加緩和の手札に乏しい日銀と、9月の大幅追加利下げ(50bp)を織り込みつつある米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円にはテクニカル面、ファンダメンタルズ面双方の影響から下落圧力が加わり易い状況が続くと考えられます。

来週は、8/22に公表されるFOMC議事要旨に加えて、8/22ー8/23に開催されるカンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)におけるパウエルFRB議長の講演に注目が集まります(※同氏の講演は8/23。講演テーマは「金融政策への課題」)。ハト派的なスタンスを滲ませれば、9月FOMCでの大幅利下げ(50bp)観測が高まり、ドル円に下押し圧力を加える可能性もあり警戒が必要です。また、8/21ー8/22に開催される日米の閣僚級通商協議にも注目が集まります。米国側が為替条項を盛り込んできた場合、突発的に円高リスクが高まる恐れもあり注意が必要でしょう。状況次第では、心理的節目105円丁度を割り込み、1/3のフラッシュクラッシュ時に付けた安値104.97を割り込む展開も想定されます。米中貿易摩擦を背景としたリスク回避的な「円買い」と、米利下げ観測を背景とした「米長期金利低下→ドル売り」の流れは当面続くと見られ、来週も「ドル安・円高」地合いの継続をメインシナリオとして予想いたします。(来週の予想レンジ:104.50ー107.50)

ユーロドル相場は、90日移動平均線をレジスタンスに約2週間ぶり安値圏へと反落しました。この間、トレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドや、一目均衡表基準線、一目均衡表転換線の下抜けに成功した他、強い売りシグナルを表す「三役逆転」も視野に入るなど、テクニカル的にみて、「下落リスク」が強く意識される状況です。

ファンダメンタルズ的に見ても、@次回ECB理事会(9/12)での追加緩和観測や、A米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスク、B米独関係の悪化懸念、Cユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感、Dイタリアの財政悪化懸念及び政局不透明感の高まり、E中東を巡る地政学的リスク、F英国のハードブレグジット懸念など、不安材料は山積みです。

8/22に予定されているユーロ圏・8月製造業PMIや、ユーロ圏・8月非製造業PMI、ユーロ圏・8月消費者信頼感指数が市場予想を下回る結果となれば、欧州経済の減速懸念→ECBによる追加緩和観測→欧州債利回り低下→ユーロ売りの経路で、年初来安値(1.1027)を下抜け、2017年5月以来、約2年3ヶ月ぶり安値圏へ急落する可能性もあります。来週は欧州経済指標の結果を睨みながらも、ユーロドルの続落リスクに警戒が必要でしょう。(ユーロドルの予想レンジ:1.0950−1.1200)

ジャクソンホールがメインイベント。ハト派的となればドル売り再開も

ドル円日足

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