海外時間の為替概況
13日の海外市場でドル円は下落後に急反発。欧州時間序盤にかけて一時105.07まで軟化するも、前日安値(105.05)を抜け切れず下げ渋ると、@米7月消費者物価指数(結果1.8%、予想1.7%)や、同コア指数(結果2.2%、予想2.1%)の予想比上振れ、A米通商代表部(USTR)が対中関税「第4 弾」について、「一部製品に対しては12/15まで発動を延期する」と発表したこと、B中国商務省が「劉鶴副首相と、ライトハイザー通商代表部代表、ムニューシン米財務長官が電話で協議したこと。また2週間以内に再度協議を実施すること」を発表すると、ショートカバー主導でドル円は急伸し、一時106.97まで上値を伸ばしました、もっとも107円手前では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、香港での警察とデモ隊との衝突を嫌気する形で再び反落。結局106.60台まで押し戻されてのクローズとなりました。
一方、ユーロドルは上値の重い展開。米国債利回りの低下を背景に一時1.1228まで上値を伸ばすも、90日移動平均線に続伸を阻まれると、@米7月消費者物価指数が市場予想を上回ったことや、A対中関税の一部発動延期で米中貿易摩擦を巡る懸念が幾分緩和したこと、B上記@Aを受けて米国債利回りが上昇したこと等が重石となり、NY時間午後にかけて、安値となる1.1171まで反落しました。尚、欧州時間序盤に発表されたドイツ8月ZEW景況感指数(結果▲44.1、予想▲28.0)は市場予想を大幅に下回る結果となりましたが、市場の反応は限られたものに留まりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、心理的節目105円丁度や、そのすぐ下に控える年初来安値104.97を2日連続でトライするも、結局105.05(8/12安値)をボトムに押し返される展開となりました。ショート勢による利食いや、オプション(マーケットメイカー側のリバースノックアウトの売り持ち)絡みの買い支えが背景にあったと推察されます。その後は、対中関税の一部発動延期のサプライズも重なり、ドル円はショートカバー主導でボトムから約2円程度急伸する大相場となりました。とはいえ、@ダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)や、A強い売りシグナルを表す「一目均衡表・三役逆転」が継続していること等を考慮すれば、107円乗せは容易では無さそうです。俄かショートのロスカットを通じて市場全体のポジションが軽くなっている可能性もあり、一巡後は再び下落に転じるリスクが警戒されます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@世界的な貿易戦争→世界的な通貨安戦争へ波及リスクや、A南ア中銀、トルコ中銀、FRB、インド中銀、タイ中銀、NZ中銀、フィリピン中銀が利下げに踏み切るなど、グローバルな「利下げドミノ」が意識されること、B幾分緩和したとはいえ、米中貿易摩擦を巡る懸念が燻っていること、Cイランやトルコ、朝鮮半島を巡る地政学的リスクの高まり、D英国を巡る合意なき離脱リスクの危険性、E世界経済の不安定化、Fイタリアやアルゼンチンでの政局不透明感の高まりなど、ネガティブ材料は山積みです。G追加緩和の手札に乏しい日銀と、9月の大幅追加利下げ(50bp)を織り込みつつある米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円にはテクニカル面、ファンダメンタルズ面双方の影響から下落圧力が加わり易い状況が続くと考えられます。
本日は、中国の主要経済指標(小売売上高や鉱工業生産など)に注目が集まります。冴えない結果となれば、リスク回避の円買いが再燃する恐れもあり、注意が必要です。また。米中貿易摩擦に絡む続報や、トランプ米大統領のツイート、香港における警察とデモ隊との衝突に絡む報道からも目が離せません。リスク回避を意識させる材料が依然として多く燻っている他、107円手前では戻り売り圧力が強まると見られ、ドル円は一巡後に再び下落に転じると予想いたします。(予想レンジ:106.25ー107.25)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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