ドル円、値幅40銭の狭いレンジ内で膠着。、市場参加者はやや疲弊気味か
海外時間の為替概況
8日のドル円相場は方向感に欠ける展開。@中国の7月輸出統計(結果+3.3%、予想▲1.0%)が市場予想を上回ったことや、A米中通商協議が予定通り9月に開催される方針であることが報じられたこと、B中国人民銀行が公表する対ドル基準値が心理的節目7.0より上に設定されるも、ドル指数の変化幅に基づく市場の予想値よりは元高水準だったこと(元安誘導観測が幾分後退したこと)等が支援材料となり、ドル円はアジア時間にかけて一時106.29まで上値を伸ばしました。
しかし、同水準では上値も重く、前日高値106.38を抜け切れず失速すると、その後は、Cトランプ米大統領による「FRBが他国に比べ、金利を高水準に設定していることがドル高に繋がり、キャタピラーやボーイング、ディア、自動車メーカーなどの偉大な米国製造業者が公平な条件で競争することを困難にしている」とのFRB批判ツイートや、D米10年債利回りが1.786%→1.705%まで急低下したことなどが重石となり、ドル円はNY時間午後にかけて、105.89まで反落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局106円絡みでのクローズとなっております。1日の値幅が40銭に留まるなど、先週来続いた乱高下相場とは一変し、昨日は極めて落ち着いた値動きが続きました。
一方、ユーロドル相場は上昇後に反落する展開。@ドイツ政府が「気候変動対策で赤字国債の発行を検討している」との報道を受けて、「財政出動再開→ドイツ経済持ち直し」への連想から一時1.1228まで上昇するも、A独財務省報道官より「決定していない」との火消しがなされると、Bイタリア・サルビーニ副首相による「イタリア政府はもはや過半数ではない」「総選挙を実施する必要性がある」との発言も重石となり、引けにかけて、1.1178まで下げ幅を広げる展開となりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円はひとまず106円絡みで落ち着きを取り戻しましたが、@6/25安値106.78→7/10高値108.98→7/18安値107.20→8/1高値109.32→8/7安値105.50を結んだダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)や、A強い売りシグナルを表す「一目均衡表・三役逆転」、B強い下落トレンド入りを示唆するボリンジャーバンド下限に沿った「バンドウォーク」の発生など、テクニカル面の弱さを考慮すると、「ドル安・円高トレンドは不変」と判断できるでしょう。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米中貿易摩擦の深刻化(報復合戦)や、A世界的な貿易戦争が世界的な通貨安戦争へ波及するリスク、B南ア中銀、トルコ中銀、FRB、インド中銀、タイ中銀、NZ中銀に続いて、昨日はフィリピン中銀も利下げに踏み切るなど、グローバルに「利下げドミノ」の様相を呈し始めたこと、Cイランやトルコ、朝鮮半島を巡る地政学的リスクの高まり、D英国を巡る合意なき離脱リスクの危険性、E世界経済の不安定化、Fイタリアの政局不透明感など、ネガティブ材料は山積みです。G追加緩和の手札に乏しい日銀と、9月の大幅追加利下げ(50bp)を織り込みつつある米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円にはテクニカル面、ファンダメンタルズ面双方の影響から下落圧力が加わり易い状況が続くと考えられます。
とはいえ、先週来続く大相場(あらゆる金融市場で乱高下)を経て、市場参加者の「疲弊」も見られており、本日(週末)は昨日同様、狭いレンジ内での様子見ムードが続く可能性もあります。米中貿易摩擦に関連したヘッジラインや、中国人民銀行による対ドル基準値(日本時間午前10時15分)の設定、米7 月生産者物価指数の結果を睨みながらも、本日はやや方向感を見出し辛い時間帯が続きそうです。(予想レンジ:105.50ー106.50)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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