ドル円、一時急落するも、ショートスクィーズ主導で再び反発
海外時間の為替概況
7日の海外市場でドル円は急落後に急反発。@米中貿易摩擦の激化を背景にリスク回避的なムードが広がったことや、ANZ中銀による50bpのサプライズ利下げを受けて世界的な通貨安戦争(利下げドミノ)への波及が連想されたこと、Bトランプ米大統領より「FRBはより大幅で且つより速いペースで利下げを行う必要がある。馬鹿げた量的引き締めも直ちに終了させる必要がある」とFRBを批判する目的のツイートが発信されたこと、Cシカゴ連銀エバンス総裁より「リスクが増大しており、追加緩和が必要となる可能性がある」とハト派的な発言が見られたこと、D米主要株価指数が急落したこと(NYダウ平均は一時前日比▲587.95安)、E米10年債利回りが急低下したこと(1.694%→1.610%)などが重石となり、ドル円は、1/3以来、約7ヶ月ぶり安値となる105.50まで下げ幅を広げました。
しかし、急激に下げ過ぎた反動から買い戻しの動きが広がると、F低調な米10年債入札(結果2.20倍、過去6ヶ月の入札平均2.43倍)を背景とした米10年債利回りの急上昇(1.610%→1.734%)や、GNYダウ平均が前日比プラス圏まで反発したことなどが支援材料となり、ドル円も引けにかけて106.20台まで持ち直す荒々しい動きとなりました。ポジションの偏りの隙をついたショートカバーやショートスクィーズが連日で発生しております。
一方、ユーロドル相場は乱高下するも方向感見出せず。ドイツ6月鉱工業生産(結果▲5.2%、予想▲3.1%)が冴えない結果となったことで、一時1.1179まで下げ幅を広げるも、トランプ米大統領やシカゴ連銀エバンス総裁の発言を受けて、「米長期金利低下→ドル売り」の流れが強まると、1.1242まで急伸しました。もっとも、同水準では上値も重く、前日高値(1.1251)を抜け切れず失速すると、低調な米10年債入札を受けた「米長期金利の上昇→ドル買い」の流れも重なり、引けにかけて、1.1200付近まで押し戻される展開となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、前日安値(105.53)をわずかながら更新(105.50)するも、ショートカバー及びショートスクィーズ主導で106円台へ値を戻す展開となりました。ポジションに大きな偏りが見られることから、俄かショートをターゲットにしたロスカット合戦が相場にボラティリティを与えている状況です。
とはいえ、@6/25安値106.78→7/10高値108.98→7/18安値107.20→8/1高値109.32→8/7安値105.50を結んだダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)や、A強い売りシグナルを表す「一目均衡表・三役逆転」、B強い下落トレンド入りを示唆するボリンジャーバンド下限に沿った「バンドウォーク」の発生など、テクニカル的にみて、ドル円の上値余地は乏しいでしょう。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、@米中貿易摩擦の深刻化(報復合戦)や、A世界的な貿易戦争が世界的な通貨安戦争へ波及するリスク、B南ア中銀、トルコ中銀、FRB、インド中銀、タイ中銀に続いてNZ中銀までもが利下げに踏み切るなど、グローバルに「利下げドミノ」の様相を呈し始めたこと、Cイランやトルコ、朝鮮半島を巡る地政学的リスクの高まり、D英国を巡る合意なき離脱リスクの危険性、E世界経済の不安定化など、ネガティブ材料は山積みです。F追加緩和の手札に乏しい日銀と、2008年以来の利下げに踏み切った米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円にはテクニカル面、ファンダメンタルズ面双方の影響から下落圧力が加わり易い状況にあると考えられます。
本日も、米中貿易摩擦に関連したヘッジラインや、中国の対ドル基準値(日本時間午前10時15分)を睨みながらの神経質な展開が予想されます。当方では、米利下げ観測を背景とした「ドル売り」と、リスク回避ムードを背景とした「円買い」の大きな流れは不変と見ており、ドル円は一巡後に再び下落に転じると予想しております。但し、相場が極度に過熱する局面では、立て続けにショートカバーやショートスクィーズによって相場が押し上げられていますので、例えば60分足や240分足などのオシレータ系指標で売られ過ぎシグナル(過熱感)が発生した際には、ショートカバーやショートスクィーズに伴う反発リスクを警戒しておいた方が良さそうです(予想レンジ:105.25ー106.75)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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