ドル円、米中対立激化を背景に急落。株安、債券高、円高の典型的なリスクオフ相場(8/6朝)

トレンドが明確に発生している状況下、安易な逆張りは危険と考えられます。

ドル円、米中対立激化を背景に急落。株安、債券高、円高の典型的なリスクオフ相場(8/6朝)

ドル円、米中対立激化を背景に急落。株安、債券高、円高の典型的なリスクオフ相場

海外時間の為替概況

5日の為替市場でドル円は急落。@トランプ米大統領が対中関税「第4段」を発動したことや、A中国当局が11年ぶりに人民元相場(対ドル)の7.00突破を許容したことなどがドル安・円高の背景。上記@を受けた、「米中貿易戦争再燃→グローバルな株価急落→リスク回避の円買い」の経路と、上記Aを受けた、「世界的な貿易戦争→世界的な通貨安戦争→新興国通貨安→リスク回避の円買い」の経路が同タイミングで重なり、ドル円はアジア時間に1/3のフラッシュクラッシュ以来となる105.79まで下げ幅を広げました。FOMC後に付けた高値109.33からわずか2営業日で3円54銭の急落劇を演じた格好です。もっとも、短期間で下げ過ぎた反動から買い戻しが強まると、欧州勢参入後はやや持ち直す展開に。

一時106.35まで上昇する場面も見られました。しかし、BNY時間に発表された米7月ISM非製造業景況指数(結果53.7、予想55.5)が2016年8月以来となる低水準を記録したことや、C中国商務省より「米国産農産物の購入を一時停止する」と報復装置が発表されたこと、D米10年債利回りが一時1.718%と2016年11月以来の水準まで低下したこと、ENYダウ平均株価が一時前営業日比961ドル安まで下げ幅を拡大したこと等が重石となり、結局105.96付近まで反落してのクローズとなっております。

一方、ユーロドル相場は急伸。リスク回避ムードの高まりを背景に、アジア時間は、ユーロ円の下落がユーロドルの上値を抑制する展開が見られておりましたが、NY時間に発表された米7月ISM非製造業景況指数が弱かったことで、「米大幅利下げ観測再燃→米長期金利低下→ドル売り」の流れが強まり、NY時間午後にかけては、7/22以来、約2週間ぶり高値となる1.1213まで急伸しました。

ドル円のテクニカル分析

トランプ米大統領による対中関税発動を受けてドル円は急落しました。@6/25安値106.78→7/10高値108.98→7/18安値107.20→8/1高値109.32→8/5安値105.79を結んだダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)が成立していることや、A強い売りシグナルを表す「一目均衡表・三役逆転」、B強い下落トレンド入りを示唆するボリンジャーバンド下限に沿った「バンドウォーク」の発生など、テクニカル的にみて、モメンタムの弱さが確認されます。RSIなどオシレータ系インジケータの一部に過熱感(売られ過ぎ感)が見られるものの、トレンドが明確に発生している状況下、安易な逆張りは危険と考えられます。

ファンダメンタルズ的に見ても、米中貿易摩擦の激化や、世界的な貿易戦争が世界的な通貨安戦争へと波及するリスク、イランやトルコを巡る地政学的リスクの高まり、英国での合意なき離脱リスク、世界経済の不安定化など、ネガティブ材料は山積みです。また、追加緩和のカードに乏しい日銀と、2008年以来の利下げに踏み切った米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円にはテクニカル面、ファンダメンタルズ面双方から下落圧力が加わり易い状況にあると考えられます。通貨オプション市場ではリスクリバーサルが急拡大(円コールオーバーの拡大)するなど、更なる円高を織り込む動きが足元で広がりを見せています。本日もリスク回避ムードを背景とした「円高地合い」は続くと見られ、1/3安値104.97や、2018年3月の安値104.56を試す展開に注意が必要でしょう。(予想レンジ:105.00ー106.50)

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