<< 東京市場の動き >>
週明け5日の東京市場は、ドルがさらに続落。106円を下回ると105円台突入、1月3日の年初来安値も意識されはじめている。
前週末には、米国務長官から「中国の悪い行いが自由貿易を阻害」との発言が聞かれたことに対し、中国の新国連大使が「貿易問題、米が戦いたいなら応戦」と応じるなど、米中貿易問題が改めてクローズアップされていた。また、米露締結のINF条約が失効するなど、「新軍拡時代」入りが懸念されるなか、週明けの為替市場は寄り付いている。
ドル/円は前週末のNYクローズと大差ない107円半ばで寄り付いたものの、その後はドル売り・円買いが優勢に。106円を割り込み日中安値の105.75-80円まで下落する局面も観測されていた。安値を示現後、ドルは小反発に転じるも上値はすでに重い。16時時点では105.95-00円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「荒れ模様の金融市場と、それにともなう要人発言」などについて。
ドル/円については前述したとおり、一時106円割れを記録するなか、複数の「口先介入」が観測されている。たとえば、安倍首相は「必要なら機動的マクロ経済政策を躊躇なく実施」、武内財務官からは「過度な変動は経済金融にとって望ましくない」とのコメントが聞かれていた。また、そうしたなか「日銀・財務省・金融庁が情報交換会合を開催する」との報道も観測され、さらなる円高進行に一定の歯止めをかけていた感も。
なお、それとは別に、韓国ウォンは日韓関係の悪化などを嫌気し、2017年1月以来の1ドル=1200ウォン台へと下落。韓国通貨当局者から「ウォンの動きは行き過ぎ、異常だ」との指摘もあったが効果は限られた。一方、中国人民元は対ドルで、2008年5月以来となる11年ぶり1ドル=7元台へと下落する局面が観測されていた。こちらについては、中国人民銀が「人民元は基本的な安定を維持できる」といったコメントで火消しに動いている。
<< 欧米市場の見通し >>
先週末からの相場を見ると、ドル/円だけでなくポンド/円や豪ドル/円などクロスも軒並み円高推移。また、前述したように中国人民元や韓国ウォンなどの相場も崩れ始めているうえ、株価や金相場、暗号資産(仮想通貨)などほかの金融市場も荒れ模様だ。ドル/円がここ3営業日で3円以上も下落するなど、ひとつの通貨ペアだけを見た場合には売られ過ぎの状況に陥っているものも少なくないが、もはや予断の許さない状況となっている。そうした考えは意味をなさないのかもしれない。今年の年初、1月3日にみられた「フラッシュクラッシュ」のように、行きつくところまでいかないと相場は止まらない可能性もある。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」のほか「米貿易問題」、「米金融政策」などが依然として注目されている。そのいずれも重要だが、先週後半以降再び存在感を高めているのは「米貿易問題」。なかでも、「米中貿易戦争激化」観測が気掛かりだ。実際、本日東京時間には、ブルームバーグが「中国政府、国有企業に米国産農産物輸入の停止を要請した」と報じ、市場で大いに話題となった。果たして上手い落し所があるのか、関係改善に歩を進めることが出来るのかどうか、関連報道などには注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、下値メドと目された106.05円レベルを本日東京に割り込んできた。ちなみに、同レベルは筆者の使用しているデータ上、今年の年初最安値は1月3日の104.10円なのだが、これを起点とした上げ幅のフィボナッチ76.4%押しにあたる。ともかく、106.05円を下回ってきたことで、フィボナッチ的には100%押し、つまり104.10円も視界内に捉えられた。もちろん、一朝一夕に到達するとも思われないが、ドルの続落には一応要注意だ。
一方、材料的に見た場合、7月の総合PMI確報や同ISM非製造業総合指数といった重要な米経済指標が発表される予定となっている。先週末の米雇用統計時もそうだったが、市場はドル売り材料を探している感もあるだけに、指標が悪化した場合の反応などはとくに気掛かりだろう。
また、別にブレイナードFRB理事による講演も実施される見込みで、こちらも注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、105.50-106.70円。ドル高・円安方向は、東京時間に106円割れ示現後、すでに上値が重くなっている106.20-30円が最初の抵抗。上抜ければ106.70-80円や107円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京で記録した安値105.75-80円の攻防にまずは注視。割り込んだ場合には、しばらく大きな下値メドはないのだが、ピボットを参考に105.20-30円を意識している向きもあるようだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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