ドル円、トランプ米大統領による対中追加関税発動で一時2円超の急落に
海外時間の為替概況
1日の海外市場でドル円は急落。ややタカ派寄りの米FOMC(連邦公開市場委員会)を受けてアジア時間朝方に一時109.32まで上値を伸ばすも、90日移動平均線をバックに戻り売りが強まると、その後は終始上値の重い展開に。@米7月ISM製造業景況指数(結果51.2、予想52.0)が2016年8月以来、約3年ぶりの低水準を記録したことや、A米6月建設支出(結果▲1.3%、予想0.3%)が2ヶ月連続でマイナスを記録したこと、B根強い米利下げ観測を背景に米10年債利回りが2016年11月以来となる1.88%まで急低下したこと、Cトランプ米大統領が、残りの3000億ドル相当の中国製品に対して9/1より10%の追加関税を発動すると発表したこと、
D上記Cを受けて「米中貿易摩擦の再燃→米主要株価指数の急落→リスク回避のドル売り・円買い」への波及が強まったこと等が重石となる中、ドル円はNY時間午後にかけて、約2週間ぶり安値となる107.26まで下げ幅を広げました。根強い米利下げ期待を背景に、アジア時間に付けた高値109.32からわずか17時間で、「2円超」もの暴落劇を演じる結果となっております。
一方、ユーロドルは下落後に急反発。FOMC後のドル独歩高の流れを受けて、一時約2年2ヶ月ぶり安値となる1.1027まで下落するも、@冴えない米経済指標や、A米債利回りの急低下、B米中貿易摩擦の再燃が「ドル売り」を誘うと、NY時間午後にかけて、1.1095まで反発する展開となりました。もっとも、同水準では戻り売り意欲も根強く、1.11乗せは阻まれる結果となっております。
ドル円のテクニカル分析
タカ派的な米FOMCを受けても尚109円台を維持できなかったことで、ドル円は結局、一目均衡表雲下限や、ボリンジャーミッドバンド、21日移動平均線や、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線など主要テクニカルポイントを軒並み割り込む結果となりました。6/25安値106.78→7/10高値108.98→7/18安値107.20→8/1高値109.32→8/1安値107.26を結んだダブルトップが成立しつつあること等を考慮すれば、ドル円は、テクニカル的にみて、「中立」→「下落」へトレンド転換したと判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、米中貿易摩擦の再燃や、イランやトルコを巡る地政学的リスクの高まり、英国での合意なき離脱リスク、世界経済の不安定化など、ネガティブ材料は山積みです。更に、緩和カードの手札に乏しい日本と、2008年以来の利下げに踏み切った米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円には当面下落圧力が加わり易い地合いが続くと予想いたします。本日予定されている米7月雇用統計が冴えない結果となれば、直近安値106.78を下回るシナリオも想定されます。本日は米経済指標や、米債利回り、グローバルな株価の動向を睨みながらも、続落リスクに警戒が必要でしょう。(予想レンジ:106.75ー108.25)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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