ドル円見通し 7月10日の議長議会証言時水準まで戻す。109円の壁を越えられるか?(7/30)

週明け29日午前には108.41円まで一旦下げる場面もあったが、早々に切り返し29日深夜には108.89円まで上昇、7月10日高値108.98円及び109円に迫っている。

ドル円見通し 7月10日の議長議会証言時水準まで戻す。109円の壁を越えられるか?(7/30)

【概況】

7月10日のパウエル米連銀議長下院議会証言での利下げ姿勢をきっかけに7月10日高値108.98円から7月19日朝安値107.19円まで下げたが、6月25日安値割れを回避、大幅利下げ期待がトーンダウンしたことでその後は揺れ返しの上昇に入った。議長証言直後には7月末FOMCでの0.50%利下げ期待も強まったが、その後は0.25%利下げに留まるとの見通しに落ち着いたことがドルの巻き返し要因となり、7月25日の米耐久財受注が好調だったこと、26日の米4-6月期GDPも前期よりも鈍化はしたが予想程には悪くなかったことがドルを押し上げてきた。また英国のEU離脱問題でメイ首相の後任に強硬派のジョンソン前外相が就任したことで混乱懸念でのポンド安が進んだこともドルを押し上げた印象がある。
週明け29日午前には108.41円まで一旦下げる場面もあったが、早々に切り返して29日深夜には108.89円まで上昇、7月10日高値108.98円及び109円に迫っている。

【FOMC迫る、トランプ大統領の大幅利下げ要求】

7月30-31日FOMC(日本時間8月1日未明に声明発表・議長会見)では0.25%の利下げが決定されるだろうというのが市場のコンセンサスだ。このため7月10日の議長証言水準まで巻き戻してきた。7月10日から19日へ丸7日間の円高ドル安、その後の揺れ返しが30日朝時点で丸7日であり、値幅・時間共にほぼイッテコイとなっている。

FOMCが0.25%の利下げとなり、当面は様子見に入るという姿勢を示せばドル円はさらに戻り高値を試す流れへ進む可能性がある。その際にポンド安やユーロ安、新興国通貨安等が重なればドル円の上昇も大きくなる可能性は多少あるだろう。しかし、0.25%の利下げを決定した上で、年内追加利下げ及び来年へ向けた段階的な利下げにより実質ゼロ金利を目指すような姿勢が出始める場合や、量的緩和の再開等が検討される場合には再び利下げをテーマとしたドル安が進みかねない。その際にポンド安やユーロ安であってもドル円はクロス円全般での円高感を強めつつ円高ドル安へ向かいやすいと考える。

7月29日にトランプ米大統領は「小幅な利下げは不十分だ」「FRBの利上げは時期が早過ぎで引き上げ過ぎた」と述べ、さらに保有資産圧縮による量的金融緩和の収拾策も「大きな過ちの一つだ」と批判した。米中協議がなかなか進展しない状況で、高所恐怖症も抱え始めた株式市場において強気の梯子が壊れると値位置が高いだけに下落の衝撃も大きくなる。そのため予防的に市場を安心させる必要があるというのがトランプ政権の要請であり、パウエル議長も利下げ検討の根拠としていることでもある。
米中通商協議は7月30-31日に上海で閣僚級協議が持たれる。トランプ大統領は26日に中国がWTOで途上国として貿易上の優遇措置を受けるのは不公平だとして米通商代表部(USTR)に見直しを働き掛けるよう指示したが、これに対して中国外務省報道局長は29日に「米国の高慢と利己主義をさらけ出した」と批判しており、閣僚協議で果たして前向きな話がまとまるのか、90%は合意ラインに達しているが残り10%が問題としてきた部分の解決見通しが可能なのかという事への懸念も根強い。

【ポンドやユーロ、豪ドルの下落、クロス円の円高圧力】

ジョンソン新首相の強硬姿勢による混乱を懸念して英ポンドが2年4カ月ぶり安値を更新している。
2017年3月来の安値水準だが、2018年4月天井からの下落基調が継続しており、2016年10月安値1.1450ドルを試す流れへ進みかねない状況にある。月足レベルで見れば2018年4月からの下落角度は2014年7月天井からの下落時にも匹敵する。
ポンド安の他、ユーロの下落基調も目立つ。7月25日のECB金融政策発表で次回会合での利下げの可能性を示唆した事により1.1101ドルの安値をつけたがこれは2017年5月以来の安値水準となっている。7月25日安値の後は下げ渋っているものの、底割れにさほどの余裕も乏しい。

豪ドルも7月19日から連日の陰線で下落している。利下げ継続を嫌気したものだが、米連銀が金融緩和政策へ回帰し、ECBもマイナス金利の深堀を目指す中で資源輸出国や新興国等に対する利下げ等の緩和姿勢が波及しているためだ。

これら通貨の下落は短期的にはドル高要因であり、メジャー通貨の加重平均であるドル指数は6月25日から上昇基調を継続している。しかし米10年債利回りは7月3日安値の後は新たな安値更新を回避しているもののほぼ横ばいに止まっており、長期金利面でのドル押し上げ力は乏しいため、ドル円にとってはクロス円での円高がドル指数上昇効果を削いでいる印象がある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月24日深夜安値を直近のサイクルボトムとし、24日高値を上抜いたところから強気サイクルに入った。今回の高値形成期は29日から31日にかけての間と想定される。30日午前も高値を切り上げてきているのでまだ上昇余地ありとみるが、前回サイクルトップからも4日を経過していることと109円に迫っていることからサイクルトップをつけて弱気転換しやすい時間帯・水準と警戒する。このため108.70円割れからは弱気転換注意とし、108.50円割れからは弱気サイクル入りと仮定して次のボトム形成期となる30日の日中から8月1日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では29日深夜の上昇で遅行スパンが再び好転し、先行スパンを上回る状況も維持している。遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは弱気転換注意として安値試し優先とし、先行スパン転落からは弱気サイクル入りにより下げが加速しやすいと注意する。

60分足の相対力指数は70ポイント近辺にある。26日未明高値からの一段高に対しては指数のピークが切り下がった逆行にあるので60ポイント割れからさらに低下し始めるところからは弱気逆行型形成による下落再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.70円を下値支持線、109円を上値抵抗線とみる。
(2)108.70円以上での推移中は7月10日高値108.98円、109円超えを試しとし、109円超えの場合は109.25円まで上値目処を引き上げるが109円台を維持できずに割り込むところからは下げ再開を疑う。
(3)108.70円割れからは弱気転換注意として108.50円前後試しを想定する。108.50円前後では押し目買いも入ってくるとみるが、108.50円割れから続落に入るところからは弱気サイクル入りにより108.25円前後試し、さらに31日へ続落しやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

7/30(火)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
未 定 (日) 日銀展望レポート
未 定 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
10:30 (豪) 6月 住宅建設許可件数 前月比 (5月 0.7%、予想 0.2%)
10:30 (豪) 6月 住宅建設許可件数 前年同月比 (5月 -19.6%、予想 -24.3%)
15:00 (独) 8月 GFK消費者信頼感 (7月 9.8、予想 9.7)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
18:00 (欧) 7月 経済信頼感 (6月 103.3、予想 102.6)
18:00 (欧) 7月 消費者信頼感確定値 (速報 -6.6、予想 -6.6)
21:00 (独) 7月 消費者物価指数速報値 前月比 (6月 0.3%、予想 0.3%)
21:00 (独) 7月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (6月 1.6%、予想 1.5%)

21:30 (米) 6月 個人所得 前月比 (5月 0.5%、予想 0.4%)
21:30 (米) 6月 個人消費(PCE) 前月比 (5月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 6月 PCEデフレーター 前年同月比 (5月 1.5%、予想 1.5%)
21:30 (米) 6月 PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く前月比(5月0.2%、予想0.2%)
21:30 (米) 6月 PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く前年同月比 (5月1.6%、予想1.7%)
22:00 (米) 5月 ケース・シラー米住宅価格指数 (4月 215.68、予想 216.90)
22:00 (米) 5月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (4月 2.5%、予想 2.4%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前月比 (5月 1.1%、予想 0.5%)
23:00 (米) 6月 住宅販売保留指数 前年同月比 (5月 0.7%)
23:00 (米) 7月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (6月 121.5、予想 125.0)

7/31(水)
10:00 (中) 7月 製造業PMI (6月 49.4、予想 49.6)
10:00 (NZ) 7月 NBNZ企業信頼感 (6月 -38.1)
10:30 (豪) 4-6月期 消費者物価 前期比 (前期 0.0%、予想 0.5%)
10:30 (豪) 4-6月期 消費者物価 前年同期比 (前期 1.3%、予想 1.5%)
14:00 (日) 6月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (前期 -8.7%、予想 -2.2%)
14:00 (日) 7月 消費者態度指数・一般世帯 (6月 38.7、予想 38.5)
15:00 (独) 6月 小売売上高指数 前月比 (5月 -0.6%、予想 0.5%)
15:00 (独) 6月 小売売上高指数 前年同月比 (5月 4.0%、予想 0.6%)
16:55 (独) 7月 失業者数 前月比 (6月 -0.1万人、予想 0.2万人)
16:55 (独) 7月 失業率 (6月 5.0%、予想 5.0%)

8:00 (欧) 6月 失業率 (6月 7.5%、予想 7.5%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP速報値 前期比 (前期 0.4%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP速報値 前年同期比 (前期 1.2%、予想 1.0%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (6月 1.3%、予想 1.1%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (6月 1.1%、予想 1.0%)
21:15 (米) 7月 ADP雇用統計 非農業部門民間就業者数 前月比(6月 10.2万人、予想 15.0万人)
21:30 (米) 4-6月期 四半期雇用コスト指数 前期比 (前期 0.7%、予想 0.7%)
22:45 (米) 7月 シカゴ購買部協会景況指数 (6月 49.7、予想 51.5)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利発表 (現行 2.25-2.50%、予想 2.00-2.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

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